咳が止まらない…気管支炎の薬出されたけど良くならない…非結核性抗酸菌症かも!?

咳が止まらない…気管支炎の薬出されたけど良くならない…非結核性抗酸菌症かも!?

非結核性抗酸菌症の概要

非結核性抗酸菌症とは、結核とらい菌を除く、抗酸菌という細菌による感染症のことです。

結核の仲間の菌類ですが、結核との違いは、感染力が弱いため、人から人に感染しないことです。また、病気の進行が結核と違って比較的緩やかです。しかし結核は約6ヶ月間薬を飲めば原則完治するのに対して、非結核性抗酸菌症では4~5年は飲み続ける必要があり、抗菌剤による治療が難しい点にあります。しかし、10年~20年以上かけて自然軽快することもあり、まだ不思議な点がおおい病気です。

非結核性抗酸菌症は全身に感染する可能性もありますが、多くは肺への感染です。最も多いイントラセルラーレ菌とアビウム菌を合わせて、MACと呼び、MACの肺への感染を肺MAC症と呼び、慢性的な呼吸器感染症を引き起こします。呼吸器症状には、咳や痰があり、進行していくと血の含まれた痰もみられます。また全身のだるさ、微熱、体重減少などもみられます。肺の組織が壊れてしまうため、呼吸困難から最悪の場合、死に至る恐れもあります。

なお、結核については「空気感染する数少ない病気、結核」のコラムでご紹介しています。

 

非結核性抗酸菌症の人口

日本とアメリカでは、中高年女性の感染者が多いとの報告がされていますが、はっきりとした原因はわかっていません。以前は男性で慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎やじん肺、肺切除後など肺疾患を持つ男性に多いとされていました。2014年に10万人中14.7人という報告が出されており、2005年では10万人に対して5.7人であったため、以前に比べると感染者が2倍以上に増加していると考えられます。

しかし結核のように感染が判明したあとの登録が必要ではないため、はっきりとした統計はわかっていません。結核は減少傾向にありますが、非結核性抗酸菌症の場合、病気が治りにくいことも多く、患者数は蓄積し、増加傾向にあります。

 

非結核性抗酸菌症の原因

抗酸菌は一般的に土壌や水中、家畜などの動物の体内に生息しており、菌を含んだ埃や水滴を吸い込むことによって、感染すると考えられています。約20種類ある菌種のうち、MACによる感染が全体の80%程度、カンサシ菌によるものが8%程度となっており、残りはその他の菌によって占められています。最近では中高年女性に多いとされていますが、家族内でも感染しないため、原因ははっきりしていません。結核菌と違って、これらの菌は人の生活環境に多く存在しているため、はっきりとした感染源はわかりにくいのです。

MAC菌の場合は、水周りに生息しており、特に温水を好む性質があるため、風呂場のフィルターの中に非常にたくさんいるという報告がありますが、どの程度いるのか、またどの程度清掃したら減菌できるのか、などはわかっていません。日本では風呂に入ることが多く、風呂場のぬめり取りなどの掃除をしている際に飛沫を吸い込んでしまっている可能性はあります。また土壌の中にも菌類の生息がみられるため、ガーデニングを趣味としている方などは感染しやすいという報告もありますが、実際には多くの方が飛沫や菌を吸い込んでいるはずなのに発症する人としない人がいるため、発症の原因は具体的にはわかっていません。遺伝的にかかりやすい人がいる、ということも考えられています。

非結核性抗酸菌症を悪化させる原因

慢性閉塞性肺疾患や気管支拡張症、じん肺などの肺疾患の既往歴がある場合は、感染する可能性が高くなります。その他、HIV感染患者や白血病患者、臓器移植患者等で抵抗力が低下している場合、感染しやすいといえるでしょう。しかし、免疫力が低下していると、発症の原因にはなりますが、元気な人でも健康診断や人間ドックなどで胸部X線をとった際に、肺の陰影があるといわれ、検査して発見されることもあります。また咳や痰がひどくなったことや、または血痰がでたために検査をして見つかるという場合もあります。結核の経過観察中に発見されるという場合もあります。

 

非結核性抗酸菌症の検査

まずは結核と区別することが重要なため、結核に詳しい呼吸器内科を受診することが望ましいと考えられます。

咳や痰、血痰、発熱などの症状がなくても、胸部X線やCTなどの画像検査で、肺MAC症の疑いがあり、またMACが検査で見つかれば、診断されます。MACは環境(水周りや土壌、家畜)に存在しているため、1回の検査では不十分であり、最低2回菌が見つかることが重要です。菌の採取・培養には時間を要します。しかし画像検査だけでは、結核と区別することは困難なため、培養検査を行うことが必要です。

きちんと診断を受けるためにも、結核/非結核性抗酸菌症の名医を受診することをお勧めします。

 

非結核性抗酸菌症の治療

治療には結核と同様に、薬物治療が中心となります。しかし、有効な薬剤は限られており、またいつから始め、終了すれば良いかなどの明確な治療基準もまだありません。そのため、高齢者で症状が軽い、あるいはまだ出ていない場合や、経過観察となることもあります。日本では長く治療すれば予後が良い、という報告もありますが、一般的には2~3年の治療は必要と考えられています。また治療後に、症状が再発した場合、すぐに薬物治療を行う必要があります。症状の経過観察中でも、3ヶ月から半年に一度は通院を行う必要があります。血痰や呼吸困難がひどい場合は、入院の可能性もあります。

結核と違い、ヒトからヒトへの感染はみられないため、症状が重症化していない場合は、自宅で家族とともに過ごすことや、仕事に通うことなども可能です。運動なども症状の程度によりますが、軽い場合はできますし、風呂場などを清潔に保ち、土を触る時などはマスクをするなどの一定のこと以外は特に日常生活で制限はありません。しかし薬物治療中の場合は、肝臓にかかる負担が大きいため、飲酒は控えた方がよいでしょう。

非結核性抗酸菌症の中で最も頻度が高い、肺MAC症に対して、決定的に治療できる薬剤はまだないため、結核の治療で用いるリファンピシン、抗生物質のクラリスロマイシン、菌の活動を鎮める静菌剤のエタンブドールなどの3種類の薬剤を初めから同時に使用します。なぜなら、長期に渡って1種類だけの薬剤を使用していると、薬に対する耐性ができてしまい、薬の効果がなくなってしまうためです。また途中で使用を自己判断で中断することや、飲んだり飲まなかったりを繰り返すと、耐性菌ができてしまうので、決められた用法や用量を守って使用することが必要となります。時に薬剤に耐性ができているかどうかを検査で調べる必要もあり、結果によっては組み合わせを変更することもあります。副作用には、アレルギー反応や肝臓や腎臓への影響、血小板減少や白血球の減少、味覚障害などがあります。また視神経障害など目への副作用が出る薬剤もあります。そのため、定期的な血液検査を行い、血液の中の白血球数が減少していないかなどを調べ、日頃から新聞や本などの見え方に対して違和感がないか注意をしていく必要があります。

薬の副作用による胃腸障害で、食事が十分にとれないことや、症状の進行で体重減少がみられ、痩せている人が多いため、食事管理が大切となってきます。特に糖尿病など他の病気と合併している場合、より重要となります。栄養や睡眠が十分にとれないと、免疫力低下を引き起こすため、規則正しい生活を送るようにしましょう。

外科手術

肺に主病巣があり、全身状態や年齢など考慮した上で、手術を行うことがあります。肺の病巣の広がりや、形状などを確認した上で切除を行います。病巣が一箇所にまとまっていない場合などは、手術が困難になるため、まずは薬剤治療を行います。

HIV感染と非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌症はヒトからヒトへの感染はしませんが、免疫力が低下していると発症しやすくなります。HIV患者の場合、極度に免疫が低下してしまうため、発病しやすくなります。HIV患者に感染した非結核性抗酸菌症の場合、肺の病気にとどまらず、全身に症状が広がり、または肺や皮膚以外に、肝臓や腹部リンパ節などが腫れる症状が出現します。また発熱、下痢、腹痛など複数の症状も伴います。HIVに感染している場合、MAC菌は水中に存在することが多く、また消化器から侵入すると考えられているため、水泳や魚介類の生食などは避けた方が良いでしょう。

 

 

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