脇と手から汗が止まらない!多汗症!

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脇と手から汗が止まらない!多汗症!

汗が止まらない・・・・。

「暑いわけではないのに、拭いても拭いても汗が出てくる。」「緊張すると汗が出る。」

こんな症状に困っている方はいませんか?もしかしたらそれは多汗症かもしれません。今回は多汗症の症状や治療についてご紹介します。

 

多汗症の概要

多汗症とは手のひら、足の裏、脇、頭部から異常な量の汗がでる病気のことです。重度の場合は機械を壊してしまったり、持っていた紙が破れてしまったりと日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。人前で症状がでることを恐れて精神的ダメージを受ける人も少なくないようです。

厚生労働省の研究班によると日本の患者数は約80万人でその数は増加傾向にあります。アメリカと比べると2倍の患者数です。患者数増加に伴い、社会的ニーズに対応するため2010年に初めの診療基準・診療ガイドラインが作成されました。さらに2015年日本皮膚科学会によって「原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版」が新たに作成されました。

このガイドラインによると発症する年齢は平均25歳で、人種間により発症頻度や年齢に差があることから何らかの遺伝様式の背景があると考えられています。

治療せずに放っておくと、人によっては「人前にでたくない」「人と会うのが怖い」というような思いが強くなり、対人恐怖症やうつ病にかかってしまう人もいるようです。

 

多汗症の原因

まずは汗をかくメカニズムについてご説明します。

私たち人間の汗は「エクリン汗腺」「アポクリン汗腺」という2つの汗腺からでています。この2つの汗腺からでる汗は性質も、でる場所も異なります。

エクリン汗腺は粘膜、まぶた以外の全身に存在し、汗は酸性で、ほとんど水分で構成されています。エクリン汗腺は体の大事な機能である体温調整の役割を果たしています。

アポクリン汗腺は体の一部に存在し、脇の下、陰部などに存あります。その汗は、アルカリ性で水分は少なく、脂肪や尿素、アンモニアなどを含んでいます。これらに細菌が混ざることで臭いを発します。「ワキガ」もアポクリン汗腺からの臭いです。アポクリン汗腺から排出する汗は毛穴からでます。

多汗症の原因となる汗腺はエクリン汗腺です。エクリン汗腺は交感神経・副交感神経の2つの自律神経のうち交感神経優位で支配されています。人間は緊張状態になると交感神経優位になります。発表の時など緊張して交感神経優位になり、エクリン汗腺が活発に働いて汗をかくのです。緊張状態で多少の汗がでることは誰にでもあることですが、異常な発汗は自律神経が乱れていることが考えられます。

 

多汗症の分類

多汗症は大きく2つに分類されます。「原発性多汗症」と「続発性多汗症」です。

原発性とはよく病名で目にすることが多いかと思いますが、疾患が他の病気の延長線上で引き起こされているのではなく、それ自体の病変によって引き起こされている病気のことを示します。つまり原発性多汗症の場合は何か特定の原因があるわけではなく、体が異常に汗をかくようになってしまっているのです。

これに対し続発性は他に疾患があり、それが原因で二次的にもたらされていることを示します。続発性多汗症の場合は他の病気が原因で汗を必要以上にかいてしまっているのです。

原発性多汗症の分類

原発性多汗症は、前述した通り特定の原因はわかりませんが、過度なストレス、精神的な緊張により自律神経が乱れていることが考えられます。原発性多汗症は発汗する場所によって4つに分類されています。

1:原発性腋窩(えきか)多汗症

脇に大量の汗をかくもので、思春期、更年期に発症することが多いとされています。服の外側まで汗がびっしょり浸透してしまい、目立ってしまうことも精神的ダメージにつながります。

2:原発性手掌(しゅしょう)多汗症

平均発症年齢は若く14歳前後です。手に異常な汗をかくため手をつなぐことを躊躇したり、紙が破れてしまったりと思春期あたりの子供にとってつらい病気です。

3:原発性足底多汗症

足の裏に多汗症状が見られます。目立たないですが、水虫になりやすかったり靴の中に雑菌が繁殖しやすく足の臭いが気になるようになります。

4:原発性頭部顔面多汗症

頭部から汗が多量にでます。髪の毛がびしょびしょにぬれるほどの汗をかきます。頭部顔面多汗症に関しては女性よりも男性に多い疾患とされています。

続発性多汗症の分類

続発性多汗症は、薬剤性、循環器疾患、悪性腫瘍、感染症、神経学的疾患、内分泌・代謝疾患、末梢神経障害、Frey症候群などが原因疾患とされています。原発性多汗症よりも多いため、詳しくはガイドラインで記されている下記の図を御覧ください。

多汗症 皮膚科

多汗症 皮膚科

出典元:原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/125/7/125_1379/_pdf

 

多汗症の治療法

まず、続発性多汗症の場合は原因となる疾患の治療が最優先です。基礎疾患が治ることで多汗症の症状が消えることがほとんどです。

続いて原発性多汗症の治療方法についてです。同ガイドラインによると、原発性多汗症の診断基準は下記の通りです。

局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま 6 カ月以上認められ,以下の 6 症状うち 2 項目以上あてはまる場合を多汗症と診断している。
1)最初に症状がでるのが 25 歳以下であること
2)対称性に発汗がみられること
3)睡眠中は発汗が止まっていること
4)1 週間に 1 回以上多汗のエピソードがあること
5)家族歴がみられること
6)それらによって日常生活に支障をきたすこと

これらの 2 項目以上を満たす症例や幼小児例では家 族からの指摘などを参考にして,それぞれ発汗検査を 行って診断および重症度を確定する。

主な治療法は、以下の4つです。

1:塩化アルミニウムの外用薬

多汗症の第一選択の治療法です。制汗剤にも入っている成分で一般的に使われています。クリームやローションタイプがあり、病院で処方してもらえますが、ドラッグストアなどでも購入できます。塩化アルミニウムは物理的に汗腺のフタをする役割を果たします。一時的な作用しかないので毎日塗らなければなりません。市販でも売られているものなので副作用は軽いですが、塗るのをやめると症状がまたでてしまいます。現在のところ、保険適用ではありません。

2:イオントフォレーシス

水に患部をつけて弱い電流を流します。電気により分解された水の水素イオンが汗腺を小さくする役割を果たします。週に1回程度治療に行く必要がありますが、保険適用で治療費も1000円もかかりません。こちらも対症療法なので治療をやめると汗腺が開き、元に戻ってしまいます。また、患部が手か足の場合にしかこの治療法は使えません。

3:A型ボツリヌス毒素局注療法

A型ボツリヌス毒素は、“ボトックス注射”というシワに対する美容外科でも使われている成分です。シワの場合は筋肉と神経の結合部に作用し緊張をほぐします。多汗症の場合は、神経の伝達を遮断し汗腺の異常な活動を抑える効果があります。A型ボツリヌス毒素局注療法は重度の脇に対する多汗症の治療法において推奨度が高く、2012年から保険適用になりました。ただ脇以外は保険適用になっていません。

4:交感神経の一部切除

交感神経そのものを切除するのは根本治療に近いですが、副作用に代償性発汗があることや、医師の技術面による手術後のトラブルなども多いようです。リスクが大きいので治療の選択としては最終手段とお考えください。

これらの治療法以外にもレーザー治療、カウンセリングを行う心理療法も行われています。また、治療選択の少ない顔面の多汗症にはプロバンサインという内服薬が保険適用です。抗コリン薬という分類の薬です。汗をかく指令を送る神経系に働きかけ、発汗を抑えます。即効性があり、患部が広くても症状を抑えることが可能です。しかし抗コリン薬には多飲、多尿、口渇の副作用があります。眠気、めまいをひきおこすこともあるので気をつけましょう。また持病、併用薬などで服用できない場合もあります。

 

多汗症の最新治療

どの治療法も効果がない患者さんや、頭部顔面多汗症の患者さんに関してはイオントフォレーシス、A型ボツリヌス毒素局注療法の治療法が使えないため、新たな治療法が望まれています。

近年、佐賀大学や理化学研究所が多汗症の治療につながる遺伝子をいくつか特定しています。これらを基に新たな治療法の確立に期待が寄せられています。

 

 

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