心臓がどんどん大きく薄くなってしまう拡張型心筋症!

心臓がどんどん大きく薄くなってしまう拡張型心筋症!

拡張型心筋症の概要

拡張型心筋症は平成26年の時点で、約4万人(平成26年患者調査傷病分類編より)が罹患していると言われています。軽症の場合や初期の場合は自覚症状がないことがあります。症状の現れ方や重さには個人差がありますが、疲労感や倦怠感、息苦しさ、むくみ、動悸、痰や咳の増加や横になると苦しいといった症状が多くみられます。主に40-70代の男性に好発すると言われています。まれに10歳以下の小児にもみられます。

これらの症状を放置すると心不全が進行し、徐々に心臓の機能が低下していきます。不整脈や血栓症、肝臓や腎臓の機能も低下するなど合併症も引き起こします。拡張型心筋症の5年生存率は約76%ですが、突然死の場合も確認されています。

拡張型心筋症のメカニズム

心臓には心房と心室と呼ばれる4つの部屋があります。心室は心臓から血液を送り出すポンプの役割を果たしていますが、何らかの原因で、心臓の筋肉細胞の性質が変化することで、心室の部屋が必要以上に大きくなり、ポンプの機能が十分に果たせなくなります。そのため、心臓のポンプ機能が低下し、全身の血液の循環が悪くなり、水が溜まって心臓への負担が増加します。これが拡張型心筋症のメカニズムです。

さらに全身及び心臓の筋肉への血液供給が不足すると、心臓の筋肉は損傷を受け壊死します。結果、心臓は拍動できなくなり、心臓の他の機能も低下して合併症を併発し、限界を超えると死に至ります。

拡張型心筋症の進行

前で述べたように、初期は自覚症状を感じない場合もあります。やがて、心臓のポンプ機能が低下するにつれ、少しのことで疲れやだるさを感じやすくなり、運動をすると胸がドキドキする動悸や息が切れて呼吸が苦しいといった症状が現れるようになります。そして、風邪はひいていないのに痰や咳がみられたり、横になると胸が圧迫されたように感じたり息苦しくなってきます。また、血液などの循環が悪くなり、顔や手、足などがむくんだりもします。

最初は症状が出たり引いたりを繰り返しますが、状態が悪くなるにつれて、手足の先が腫れたように水が溜まってむくみ、指で押すとその形が残る場合もしばしばみられます。さらに症状がもっと進むと、肝臓が弱って大きく腫れ、うまく代謝できず黄疸が出たり、腎臓が弱って尿を作ることができず尿の量が減ったり、心臓に血の固まりができてその固まりがとび、脳の血管が詰まったりすることもあります。突然激しい動悸や胸の痛み、不整脈が起こり死に至る場合もあります。

 

拡張型心筋症の原因

この疾患の原因は遺伝子の異常やウイルス感染による心臓の筋肉の炎症、免疫反応の影響などが考えられていますが、未だ詳細は解明されておらず原因不明です。近年では全体の2割が変異した遺伝子やその遺伝子が子どもへ遺伝し発病する家族性によるものが原因と言われています。

拡張型心筋症 循環器内科

 

拡張型心筋症の治療法

拡張型心筋症は原因不明のため、病気そのものを治す薬は現在開発されていません。そのため、病気の進行を遅らせたり、合併症の症状を軽減するために薬物治療を行います。代表的な内服薬として、予後改善のため、β遮断薬、ACE阻害薬が使われます。β遮断薬は心臓が働きすぎないよう、心臓を休め、心不全を改善する働きがあります。また、ACE遮断薬は心臓の負担を減らして、同様に心不全を改善します。他にもARB、スピロノラクトンといった薬が心不全改善に有効と言われています。

また、病気が進行すると身体に水分が溜まり、心臓に負担がよりかかってしまいます。そのため、尿の量を増やす目的で利尿剤が使われます。合併症として、血栓・塞栓症に対しワーファリン、不整脈に対し抗不整脈薬が併用されます。

病気が進行した場合の手術

薬物療法で経過が良くならず、病気が進行した場合、心臓移植が必要になります。心臓移植は、全身麻酔下で、人工心肺を使用しドナー(臓器提供者)から提供された心臓を植え込む手術です。2006年より保健適応になり、心臓移植の待機患者の約8割がこの拡張型心筋症にあたります。

心臓移植のメリット・デメリット

拡張型心筋症は予後不良の病気ですが、これまで心臓移植を受けられた患者の半数近くの方が10年以上生存されています。それまで、拡張型心筋症による体調不良で日常生活に障害が生じ、生活上での制限が余儀なくされていた場合でも、移植し術後の経過が安定すると、通常通りに日常生活を送れるようになり、修学や仕事も可能になります。

こうした利点の一方で、心臓移植にはデメリットもあります。

まず、移植の適応となるにあたり、病気の進行具合や身体の全身状態などいくつかの条件をクリアしなくてはなりません。この条件を満たした後、移植待機者として登録されますが、登録後すぐに手術できるわけではなく、自身に適合する臓器提供が現れるのを待たなくてはいけません。

我が国ではアメリカなどの海外と比べて、臓器移植提供に関する啓蒙と理解が十分に進んでおらず、待機期間が長いのが現状です。待機期間中に病気が悪化した場合、心臓の動きを助けるため補助人工心臓と呼ばれる機械を身体に植え込む手術を行う場合があります。加えて、手術を受けた後も、自身の免疫が移植された新しい心臓を「異物」とみなして攻撃し排除しようとする拒絶反応の危険性があります。この拒絶反応を抑えるため、免疫機能をおさえる薬を内服し続けなくてはならず、そのため感染症にもかかりやすくなります。手術後も移植した心臓がきちんと活動を続けるために、自己管理や定期的な検査や受診が必要不可欠です。

 

拡張型心筋症の最新治療

これまでは心臓移植が治療解決のほぼ唯一の方法と言われてきました。

現在、この病気や治療法の解明に向けて、世界中の様々な医療機関で研究が行われています。我が日本でも、自身の足の筋肉からつくられた細胞シートを心臓に貼付けるように移植し、心臓の機能を回復させる画期的な治療が治験で始まりました。

また、血液中に心臓の筋肉を攻撃する抗体がありその影響で拡張型心筋症へと病変するという考えに基づき、血液を濾過してその抗体を取り除き、攻撃をなくして正常な心機能に戻すという免疫吸着療法も注目されています。

いずれの治療法も今はまだ研究段階ですが、心臓移植に比べて治療の適応の幅も広がり、患者への身体的負担も少なく、今後の発展や実用化に期待が高まっています。

 

 

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