乳癌(手術、ラジオ波、放射線、薬物療法)ー知っておくべき治療法③

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乳癌(手術、ラジオ波、放射線、薬物療法)ー知っておくべき治療法③

女性が最もかかりやすいがん−乳癌

乳癌にかかる女性は年々増加しており、日本人女性の20人に1人は生涯のうちに乳癌になるといわれています。最も身近ながんの1つです。また、他の臓器のがんにくらべて若い年代の女性に多いという特徴があり、30歳代から増加しはじめ、40~50歳代が発症のピークです。

がん罹患人数

”身近”なんて、がんという恐ろしい病気にはそぐわない表現をしてしまいましたね。現代でも多くの人が「がん=死」というイメージを抱えていることでしょう。しかし、がん医療は発達しており、必ずしも「がん=死」ではなく、この病気を乗り越えられる時代になっています。特に乳癌の治療法は進化を遂げています。乳癌になる女性の人数はがんの中で1位ですが、乳癌で死亡する人数は1位ではありません。つまり、乳癌になったけど治った方が多いということです。実際に、5年生存率(がんと診断されてから5年間生き続けている割合)は、ステージⅠ,Ⅱでは90%以上,ステージⅢでも70%以上あります。ただし、早期のものでは治る可能性が高くても、やはり進行したものでは治る可能性は低くなってきますので、乳癌検診などを受け,早期発見に務めることはとても重要でしょう。

”治る”とはいえ、そのためには、手術、薬物療法などに少なからず伴う苦痛を乗り越えていかなければなりません。また、「治療法の進化」はある意味「複雑化」であり、同じ乳がんで同じ進行度(ステージ)であっても、個人個人によって違う治療法が選択されることがしばしばでてきます。

乳癌の治療は多種多様ですが、ここでは代表的な治療の概要を解説します。

 

乳癌治療の全体像

乳癌では、極早期のものを除いて、手術に加えて薬物療法が行われます。この薬物療法は、診断時には画像検査などでは見えないレベルでがん細胞が全身に散らばっているかもしれないため、後になって再発してこないように、薬物で全身のがん細胞を根絶することを目的にしています。また、乳房温存手術(後述)を行った場合に残した乳房や、乳房に近いリンパ節に放射線治療を組み合わせる場合もあります。

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①乳房切除術(乳房全摘術)VS 乳房部分切除術(乳房温存手術)

乳房内にあるがん病巣を切除するために手術が行われます。乳癌ではいわいる“しこり”を触れる場合がありますが、それががんの病巣です。がん細胞は目に見えないレベルで周りに広がっているため(浸潤といいます)、しこりの部分を取り除くだけでは不十分で、周囲の正常と思われる乳房ごと切除する必要があります。乳房を全て切除する手術が乳房切除術です。全て取ってしまったのですから、乳房内にがん細胞を残しているということは基本的にはありません。

一方、しこりの周りの一部だけ正常乳房を切除し、乳房を残す手術が乳房部分切除術、いわいる乳房温存手術です。手術の目的はあくまでもがんを治すことですので、がん細胞を残してしまう可能性が高い場合には、患者さんが希望したとしても、乳房温存手術を選択することはできません。具体的には、がん病巣が大きすぎない(3~4cm以下)、乳房内に多発していない、周囲に広がっている所見がない、などの条件を満たさなければなりません。また、再発の可能性を下げるため、残した乳房に放射線療法を追加する必要があります。なお、手術の前に薬物療法を行うと(術前薬物療法)、しこりが小さくなって温存手術ができるようになることもあります。

②ラジオ波焼灼術(RFA)

乳癌に対するRFAの原理は肝がんでのRFAと同じです(参照:肝臓がん(手術,ラジオ波,など)ー知っておくべき治療法②)。手術よりも身体への負担が少なく、治療後の乳房の整容性も保たれます。

ただし、この治療法はまだ開発段階といってもよく、治療ガイドラインでは臨床試験として行うことを推奨しています。どのような状態であればRFAで治療しても手術と同等の治癒率が得られるかが不明であるため、日常の診療で施行することは現時点では推奨できないということです。乳房をきれいに残すことができるからといって、やたらめたらにこの治療法に飛びつくのは危険かもしれません(治療の目的はあくまでもがんを治すことです)。

とはいえ、慎重に適応を判断すれば、メリットの大きな有望な治療法であることは確かでしょう。RFAを希望する場合には、乳癌の専門医のなかでもさらにRFAに関する経験・知見が深く、その限界をしっかりと見極めることができるエキスパートに依頼する必要があります。

③薬物療法(抗がん剤治療)

乳癌を治すためには、多くの場合で薬物療法が必要になってきます。手術などでしこりを取りきれたと思っていても、診断時には目に見えず散らばっていたがん細胞が、しばらく経ってから大きくなって再発してくる場合があるからです。

乳癌に使用する抗がん薬(抗癌剤)には多くの種類があります。いわいる化学療法薬とよばれる従来からの抗がん薬に加えて、分子標的薬、ホルモン薬などが使用されます。既にご自身やご家族が、薬物療法をお受けになっている場合、

「私に使っている抗がん薬は副作用が強いらしいから、副作用の軽いホルモン剤にしてください」とか、

「今は新しい分子標的薬があるんでしょ?なんで私に使ってくれないの?」

などのように感じたことがあるかもしれません。

しかし、現在では、人によって(がん細胞の特徴によって)どの薬が効くのかは詳細に調べられており、ガイドラインも固まってきていますので、どの薬を使うかに迷う(医師によってばらつく)ことはあまりありません。ある人のがんは新しい薬が効くタイプであっても、あなたのがんには全く効かないという場合があるのです。つまり、その薬自体の強さや副作用だけで、どの薬がいいかを選ぶことはできないのです。

また、薬物療法は手術に組み合わせて行われることが多いのですが、その組み合わせ方として、術前薬物療法と術後薬物療法があります。字のごとしですが、手術の前に薬を投与するか、後に投与するかの違いです。基本的にはどちらも効果(治癒率)は同じと考えられています。ただし、乳房温存手術を希望する場合には、術前薬物療法の方が、しこりを小さくしてから取るため乳房温存率が向上するという付加価値があります。

 

このように乳癌の治療法は複雑ですが、ガイドラインでしっかりと固まっているものもあれば、まだ試験段階で一部の専門の医師にしか判断ができないものもあります。いずれの場合も、治療法の選択に疑問点や希望があれば、医師に聞いてみて納得がいく説明をもらうことが大事になります。

 

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