円形脱毛症の原因はストレスではない!?

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[投稿日] '16/08/09 [最終更新日] '18/03/18 887views
円形脱毛症の原因はストレスではない!?

円形脱毛症とは

円形脱毛症は、ある日突然、円形もしくは楕円形に毛が抜けてしまう病気です。円形に近い形で、髪の毛が何の前触れもなく突然にごそっと抜けてしまう症状です。

毛が抜ける範囲の広さについては、一般的によく”10円ハゲ”といわれますが、爪くらいの大きさから、手のひらくらいの大きさまで様々です。脱毛の発現箇所も一カ所の人もいれば、何カ所にも及ぶ人もいます。 また、場合によっては頭の髪の毛がすべて抜けてしまうこともあります。これを全頭脱毛症といいます。

特に頭に多く見られますが、その他の場所でも毛がはえているところなら起こります。また、爪に小さな凹みや溝が出来ることがあります。円形脱毛症は毛だけの病気ではありません。こうした爪の変化も症状の一つです。

 

円形脱毛症の原因

今までは、自律神経が悪いのではないかとか、遺伝性の病気ではないか、と疑われていましたが、近年になり、髪の毛の元である毛母細胞と言われる部分に、体が持っている抵抗力(=免疫力)が異常に作用した結果ではないかと考えられるようになりました。免疫力というのは、本来は異物に反応するものですが、自分自身に作用してしまうことがあり、こうした病気を自己免疫疾患と呼んでいます。円形脱毛症もこの自己免疫疾患の一つではないかとされています。

ストレスとの関係

世間一般では、精神的ストレスを感じた時に、円形脱毛症が発病すると思われています。確かに、そういう患者さんもいますが、多くの場合は精神的ストレスとは無関係に発現しています。あくまでも、精神的ストレスと言うのは、円形脱毛症を引き起こす数ある”きっかけ”のうちの一つに過ぎず、根本的な原因とは考えられていません。

 

円形脱毛症の症状に応じた分類

①全頭脱毛症

頭の髪の毛がすべて抜け落ちてしまうタイプ

②悪性脱毛症

全頭脱毛症に加えて、まゆ毛やまつ毛、ひげまで抜けてしまうタイプ

③汎発性脱毛症

さらに、わき毛や陰毛など全身の毛まで抜けてしまうタイプ

④蛇行性脱毛症

頭の後ろから横の部分にかけて、境目がはっきりとした帯状に毛が抜けるタイプ

いずれの場合も、治るときは自然と治っていく場合も多いですが、中にはなかなか治りくいこともあるようです。また、一度治っても再発してしまうこともあります。こういった場合にはきちんと専門医に診てもらうことが必要です。

 

円形脱毛症の頻度

患者数は人口の1~2%と推測されています。ちなみに、この比率は日本を始め、世界各国変わらない様です。また、患者さんの約20%に家族内に円形脱毛症の患者さんがいるそうです。なりやすい年齢というのはありませんが、円形脱毛症の患者さんの25%以下は15歳までに発病しています。また、10代と40代に患者数のピークがありますが、基本的にどの年齢層でも発病します。

また、円形脱毛症は、前述の様に年齢や性別に関係がありません。脱毛というと成人男性だけに起こる症状のイメージですが、実際のところは、女性だけでなく子供にも起こりえる病気です。特に、最近では子供の円形脱毛症が増えているそうです。子供の場合でも、全頭型円形脱毛症や汎発型円形脱毛症を発病することもあります。この原因はよくわかっていないのですが、喘息やアトピーなどのアレルギー性の病気を持っているとなりやすいと言われていますが、直接的な関係性はありません。

 

円形脱毛症の治療

日本皮膚科学会が円形脱毛症用の治療ガイドラインを作製しており、概ねこれに沿って治療はすすんでいきます。下記がその流れです。

①円形脱毛症の初期段階

ステロイド剤の塗り薬や塩化カルプロニウムなどの軟膏を塗布します。または、グリチルリチンやセファランチンなどの薬を飲みます。

②円形脱毛症が長引くようなら

毛が抜けた部分に、ステロイド剤を注射したりします。この方法はステロイド剤を注射したところにだけ毛が生えてきますので、広い範囲の脱毛には合いません。

また、冷凍療法を用いることもあります。冷凍療法とは別名、雪状炭酸圧抵療法ともいいます。ドライアイスを頭の上に置き毛が抜けている部分を軽く冷却します。これにより頭皮の血の流れを良くし、発毛を促進します。

③円形脱毛症が急速に広がる場合

飲み薬タイプのステロイド剤を使います。けれど、数ヶ月以上に及ぶ長期間使用しますと、副作用が起こってしまいますので、長くても2~3ヶ月程度としています。その後、例え中止したら円形脱毛症が再発してしまう場合であっても、二度目の使用はしません。また、子供の患者さんに使うことはありません。

④円形脱毛症が半年以上の長期に及ぶ場合

発病してから半年以上継続している場合は、局所免疫療法という方法になります。これは、頭皮がかぶれるような薬剤を毛が抜けている部分に塗布し、そこが軽くかぶれた状態にし、これを繰り返すというものです。1〜2週間に1回のペースで行ないます。60%以上の患者さんに有効と言われています。ただし、治療を中断すると再発することがあります。

 

円形脱毛症の薬について

グリチルリチン(製品名グリチロン)
肝臓病の薬ですが、湿疹や口内炎にも効果があります。炎症やアレルギーを抑える作用があります。

ファランチン(製品名セファランチン)
造血薬の一つです。アレルギーを抑えてくれる効果や、血液の中の幹細胞を増やす作用があります。

ステロイド
炎症や免疫機能を抑える効果があります。飲み薬と塗り薬と注射薬と3種類の剤型があります。

 

円形脱毛症の最新治療

円形脱毛症の最新治療として、ここでは3つご紹介します。

①紫外線療法
従来から治りにくい場合に紫外線治療は行なわれてきました。この従来型とは異なる波長のエキシマライトと呼ばれる紫外線を用います。作用機構については、体の抵抗力(=免疫力)が毛根に作用して排除しようとするのを防ぎ、毛根を守る効果があると考えられています。従来型の紫外線療法と比べて、より少ない回数で改善を期待出来ます。ただし、紫外線ですから当てすぎると日焼けした様な痛みがでる副作用もあるので注意しましょう。

②低出力レーザー照射療法
出力の低いレーザーを頭皮に照射する方法です。レーザーと言うと当てられると痛い様なイメージですが、少し異なりますが眩しいライトを当てる様なものなので、心配ありません。ただし、目に当てない様、注意しなければなりません。
レーザーの効果で照射を受けた部分の頭皮の血管を広げます。これにより、頭皮の血の巡りを良くして、髪の毛に栄養がしっかり行き渡る様にします。この結果として発毛促進を期待する方法です。海外では、家庭用の照射器が発売されているそうです。

③HARG(ハーグ)療法
再生医学で耳にしたことがあるかもしれませんが、幹細胞と呼ばれる、いろいろな細胞に成長出来る特殊な細胞を利用するものです。そこから髪の毛を成長発育させる細胞(成長因子)を採取し、頭皮に作用させて発毛促進を試みるものです。これにより、髪の毛の元である毛母細胞といわれる細胞を活性化させることで発毛の促進を図ります。

 

 

 

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