乳がんの早期発見にはマンモグラフィ検査と超音波検査を同時に行う方がいい!

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[投稿日] '16/08/01 [最終更新日] '18/08/09 1,072views
乳がんの早期発見にはマンモグラフィ検査と超音波検査を同時に行う方がいい!

乳癌の検査

自治体の乳癌検診で行われるのは「マンモグラフィ検査」という乳房のレントゲン(X線)検査です。検診で異常があった場合、精密検査が必要になりますが、実際に乳癌と診断される割合は検診を受けた人のおよそ0.4%、1,000人に4人程度といわれています※1

乳癌の検査はがんを発見し、診断するとともに治療方法を決定する上で極めて重要です。治療は乳房の腫瘤(しこり)の大きさやがんのできた位置、またリンパ節や他の臓器への広がりの有無とその程度などで決定されます。

乳房の視触診(視診と触診)

乳癌になると乳房にしこりや乳頭のただれなどが現れます。また、両方の乳房の大きさが違っていたり、乳頭の向いている方向が異なっていたり、左右に違いが生じることも少なくありません。

さらに、乳頭から血液が混じった分泌液(黒っぽい色やうすいピンク色など)が出ることもあり、視触診ではこれらの症状について観察や乳房を手で触れて調べます。

マンモグラフィ検査

マンモグラフィ検査は乳房をX線で撮影する検査で、「乳房撮影」と呼ばれることもあります。自覚症状がなく、視触診ではわかりにくい早期の乳がんを発見する方法として有用な検査です。

しかし、若い女性など乳腺の発達している人には、あまり適さないともいわれています2。それは、乳腺の量がが多い人にマンモグラフィ検査を行うと、がんも乳腺も同じように白っぽく写るため乳癌を発見しにくいからです。そのため、医師の画像を読み取る力が重要であるといった指摘もあります。

・「痛いから」と敬遠されがち?

マンモグラフィ検査は乳房をできるだけ薄くのばし、圧迫板ではさんで撮影をする検査です。乳房を平らにする方がよりキレイな画像が得られ、はさむ部分を薄くすると放射線の被ばく量も軽減できるという利点もあります。しかし、マンモグラフィ検査を受けたことがある人は、乳房をはさむときの痛みが辛くてその後、マンモグラフィを敬遠するという人も少なくありません。

圧迫した際に痛みを感じやすいのは、乳腺の量が多い人や生理前~生理中などの乳房の張っている時期であった場合が考えられます。そのため、乳腺が発達し、乳房に張りのある20歳代や30歳代の若い人は、他の年代に比べて痛みとして感じる可能性があるようです。

一方で、他の人から「痛い」と聞いて不安だったが「実際にはそれほどではなかった」という人、一回目は痛かったが二回目は痛みが少なかったなどの声も聞かれます。痛いのは辛いことですが痛みのイメージだけで検診を控えてしまわず、40歳を超えた人は乳がんの早期発見のために「2年に1回」の割合で検診を受けるとよいでしょう。

超音波検査

乳がんの検査ではマンモグラフィ検査を行った上で、更に超音波検査(エコー)を行うことが多いです。超音波検査は、乳腺が密集してマンモグラフィ検査で異常を見つけにくい場合でも、併せて行うことで小さながんを発見できることもあり、超音波検査を追加で行うと1,000人あたり1.1~7.2人の乳癌発見が増えると言われています※3

しかし超音波検査では数多くの良性の腫瘤も写ってしまう(検出)ことがデメリットです。また、超音波の当て方により、がんを的確に発見できるかどうかが変わるため検査を行う医師のスキルも重要となります。

さらに、腫瘤の中には専門医が触診をしても触れない腫瘤も存在するといったことが、早期の発見をより困難にしています。

・乳癌の新しい画像検査:超音波エラストグラフィ検査

乳癌の早期発見には腫瘤が良性か、悪性かの判断がいかに早く、しかも的確に行えるかが重要です。良性と悪性の相違点として、良性の腫瘤は悪性に比べて柔らかいといった傾向がみられます。その特徴を利用して、腫瘤の硬さを測ることを通して良性か悪性かの判断の目安とする検査が超音波エラストグラフィ検査です。

超音波エラストグラフィ検査は腫瘤部分を軽く圧迫した際に変形する(柔らかい腫瘤と考えられる)ものと変形しない硬い腫瘤を色で区別して現します。ただし、腫瘤の硬さを直接、測る検査ではないため、良性と悪性の識別については検査の限界も指摘されています。

細胞診・組織診

がんの疑いがある場合には、しこりのところに細い針を刺して細胞を採取して顕微鏡で調べる細胞診や少し太い針で組織の一部を取って確認する組織診を行います。細胞診のうち「穿刺吸引細胞診」と呼ばれる方法は、しこりなどの病変部に細い針を刺して細胞を吸い取って顕微鏡で確認する方法です。そのほかの細胞診としては、乳頭から分泌された分泌物を調べる方法などもあります。

画像検査

MRIと呼ばれる磁気を用いた磁気共鳴検査やCTスキャン(コンピューター断層撮影)というX線による検査は、乳癌と診断された後、より詳細に調べるために行う検査です。基本的に、検診を目的とした検査ではありませんが、MRI検査は乳癌を発見する上でもっとも有用な検査法といわれています。特に、がんの広がり(転移)を確認するにはMRI検査やCTスキャンは必要な検査です。

 

乳癌の診断

乳癌の診断には細胞診や組織診によってがんの性質を調べ、画像検査ではがんのできた位置や大きさ、また、転移の有無と程度など確認します。乳がんが確定した後、手術の前にはMRI検査でがんがどの範囲まで広がっているか「広がり診断」を行うのが一般的です。広がり診断によって、乳房の温存手術が可能か、切除術が必要なのか、化学療法などの薬物療法の必要性などを決定します。

<出典>
※1 国立がん研究センター「乳がん検診の勧め 2.マンモグラフィによるがん検診」(http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q19/)
※2 日本乳癌学会「乳癌診療ガイドライン 若年者に対する診療マンモグラフィは勧められるか」(https://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q17/)
※3 日本乳癌学会「乳癌診療ガイドライン 診療において超音波検査は乳癌検出手段として勧められるか」(http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q27/)

 

 

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