子宮頸がんの検査・治療って何をするの?

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[投稿日] '16/06/16 [最終更新日] '18/03/18 377views
子宮頸がんの検査・治療って何をするの?

子宮頸がんの検査

子宮頸がんの検査では、まず、そもそもがん細胞があるのかどうか、がんの疑いがある場合には周囲にどの程度広がっているのかなど進行の程度、を調べます。

コルポスコープ検査(コルポ診)

婦人科の検査では、内診で膣内に指や「膣鏡」と呼ばれる検査用具を入れて子宮頸部や膣、おりものの状態などを観察します。 また、頸がんの検査としては「コルポスコープ」という膣拡大鏡を膣から挿入し、子宮頸部や膣壁などの様子を詳しく調べます。

コルポスコープ検査は、次に紹介する細胞診や組織診を行う部位を決定する上でも有用なため一緒に行うことが多いです。

細胞診・組織診

細胞診は子宮頸部を検査用の綿棒でやさしくこすって細胞を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べる検査です。がんの前段階といわれる「異形成」や、がんが強く疑われる場合には、細胞の一部を採取し、さらに精密な組織検査(組織診)を行います。

組織診は異形成の確認のほかに、がん細胞が粘膜の表面だけにある「上皮内がん」か、粘膜に深く入り込んだ「浸潤がん」かの確定診断をするためには必要な検査です。

超音波(エコー)検査

お腹の上から、または膣の中から超音波を当てて子宮や周辺にある臓器の状態を画像で確認します。

MRI・CTスキャン

組織診などの検査でがん細胞が確認されたときにはどこまで広がっているのか、リンパ節や「遠隔転移」と呼ばれる子宮から離れた肺や肝臓などへの転移の有無を調べることが必要です。主な検査としては、磁気を利用して撮影するMRI検査や造影剤を使ってX線で調べるCTスキャンなどが行われます。

MRIもCTスキャンも筒状の装置で360度の方向から撮影することができ、特にMRIは放射線を使わずに検査を行えることがメリットです。

 

子宮頸がんの病期(ステージ)

がんの進行の程度は、「病期」あるいは「ステージ(stage)」というもので表現します。

日本産婦人科学会の臨床進行期分類(1997年)(1)では子宮頸部の上皮内に限られた上皮内がんを子宮頸がんの0期としていますが、国際臨床進行期分類(1994年)(1)では異形成も0期に含んでいます。子宮頸がんは検診により早期の発見が可能となったため、この0期が増加しているといった指摘も多いです。

さらに、子宮頸がんのステージは、Ⅰ期~Ⅳ期の大きく4つに分かれています。Ⅳ期と呼ばれるのは、膀胱や直腸など他の臓器などにもがんが広がったもっとも重いステージです。ステージごとにどのような治療を行うかといった治療方針や手順などは、子宮頸がんの「診療ガイドライン」(2)の中で詳細に示されています。次に、治療について見ていきましょう。

 

子宮頸がんの治療

子宮頸がんは手術のほかに、抗がん剤を用いた化学療法、あるいは放射線をがん細胞に照射して小さくする放射線療法などを必要に応じて組み合わせて治療します。

手術療法

・円錐切除

異形成や粘膜の表面だけにできる上皮内がんのうち、早期であれば頸部を円錐形に切除する手術やレーザを当てて治療します。いずれの手術も膣から行うことができることがメリットです。

・子宮全摘術

上皮内がんのほか、微小浸潤と呼ばれる粘膜への入り込みが浅い浸潤がんの場合には、子宮だけを取り除く方法を選択します。しかし、頸部の深いところまで入り込んでいる、あるいはがんが周囲に広がっている場合には、子宮だけでなく周囲の臓器なども摘出する広汎子宮全摘術が必要になることも多いです。

広汎子宮全摘術では子宮と膣の一部、周囲の靱帯やリンパ節などを広く取り除き、尿管や直腸などにも転移していれば骨盤内臓器の摘出を行うこともあります。手術によってさまざまな臓器を取り除いた場合には、膣を形成する造膣術や人工肛門などの形成手術を行うことになります。

手術方法は、広汎子宮全摘術の多くは開腹術となりますが、単純子宮全摘術の場合は開腹術のほかに膣から取り除く膣式術も可能です。

・子宮頸がんにおける腹腔鏡下手術への期待

腹部から腹腔鏡を挿入して行う腹腔鏡下手術は子宮体がんは保険適用となりますが、子宮頸がんは適用外です。しかし、一部の病院においては厚生労働省に「先進医療」として認定を受け、子宮頸がんの広汎子宮全摘術を腹腔鏡下で行えるようになりました。

しかし、腹腔鏡下手術は手術中に出血が止まらない、予測以上にがんが進行し、癒着が激しいなどの場合は開腹術に切り替えることもあります。また、手術時間が開腹術よりも長くなるなどのデメリットもありますが、小さな傷で済むため回復が早く、術後の痛みが少なく、傷も目立ちにくいのは大きなメリットです。

 

子宮頸がんに対する先進医療の重粒子線治療

子宮頸がんに対する放射線療法は手術後の補助療法として用いられたり、ステージが進んだがんの場合には手術はせずにはじめから放射線療法が用いられたりしています。近年では、Ⅲ期やⅣ期の進行したがんに対して放射線の一つの「重粒子線」による治療を選択する場合もあります。

通常の放射線治療は腹部の上からターゲットとするがん細胞にX線を当てた場合、がん細胞だけでなく、腹部からターゲットの間にある臓器や組織なども被爆してしまいます。しかし、重粒子線は腹部から当てても、身体の奥にあるがん細胞の周りだけにエネルギーを集中させることができます。

そのため、X線による治療よりも身体へのダメージが少なく、また、これまで治りにくいとされていた種類のがんに対しても高い効果をもつことが期待されています。

ただし、重粒子線治療を行うには、がん細胞が肺や肝臓などの子宮から離れたところに移動していない(遠隔転移がない)など、いくつかの条件を満たす必要があります。また、重粒子線治療は実施している病院がごくわずかと限られており、一般の保険が効かず費用が高額になります。しかしながら、子宮温存を望む患者さんにとっては選択の一つとなりうる治療です。

 

<出典>
(1) 子宮頸癌取扱い規約.改訂第2版.日本産科婦人科学会・日本病理学会・日本医学放 射線学会(編),東京:金原出版,1997
(2) 子宮頸癌治療ガイドライン. 日本婦人科腫瘍学会(編),東京:金原出版,2011

 

 

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