子宮内膜症の症状を軽くするための治療法は?

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[投稿日] '16/06/13 [最終更新日] '18/03/18 273views
子宮内膜症の症状を軽くするための治療法は?

子宮内膜症の治療

子宮内膜症はエストロゲンの影響で症状が現れるため、閉経するまで治るのは難しい病気といわれています。子宮内膜症の治療の目標は、月経痛などの内膜症のある人を苦しめているそれぞれの症状を少しでも軽くすることです。

治療方法は症状の進行の程度、あるいは患者さんの妊娠の希望や子宮を残したいといった希望などを考慮し、薬物療法や手術から選択を行います。

 

子宮内膜症の薬物療法

薬物療法

子宮内膜症の主な症状は、月経痛をはじめとする痛みです。そのため、薬物療法としては痛みを和らげるための鎮痛薬、また、エストロゲンなどの女性ホルモンの働きを抑えるホルモン剤を使用して症状の緩和を図ります。

ここでは、ホルモン療法についてご紹介します。

 

・偽妊娠療法

妊娠するとエストロゲンは月経周期のように急激な分泌の変化は起こりません。授乳中もエストロゲンの働きが抑えられるため、妊娠や出産の機会が多い人は内膜症が少ないと考えられています。

偽妊娠療法は、エストロゲンと同じく女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)を含む低用量ピルを用いて妊娠に似た状態を作る治療です。経口避妊薬の低用量ピルを服用すると月経周期に伴う子宮内膜の増殖を抑えられ、月経血の量も少なくなるため、月経痛などの症状を軽減することができます。

しかし、低用量ピルによって吐き気や頭痛などの副作用が現れることも少なくありません。また、経口避妊薬を使用した治療のため、妊娠を希望するときには中止する必要があります。

 

・偽閉経療法

一方、偽閉経療法はエストロゲンの作用を抑えることで閉経に似た状態を作り、症状の改善を図ります。方法は二通りあり、強めの薬を短期に使う方法と弱い薬を長期にわたり使用する方法の二つです。

短期間の治療では「ダナゾール」などの飲み薬を使います。タナゾールは卵巣の機能を抑える働きがあるためエストロゲンの分泌が低下し、月経が止まり、痛みなどの症状改善が期待できる薬です。しかし、副作用として吐き気や体重増加などが起こることがあります。

長期の治療には「スプレキュア」などの薬を毎日、鼻に噴霧する、または月に一度の注射で使用します。スプレキュアはエストロゲンの分泌を調整する卵胞刺激ホルモンの分泌を抑える作用があるため、エストロゲンのコントロールに役立つホルモン剤です。しかし、エストロゲンが減少することで骨密度が低下したり、動悸やのぼせなど更年期障害のような症状が現れたりするので治療期間は通常、半年以内です。

長期に使用できる薬としては、黄体ホルモンの「ジェノゲスト」があります。ジェノゲストは子宮内膜症の細胞に直接、作用して小さくすることができ、更年期障害に似た症状も少ないため半年以上、長期に使用できることなどがメリットです。

 

・新しいホルモン療法 -超低用量ピル-

先ほどご紹介した偽妊娠療法では、従来の低用量ピルに比べエストロゲンの含有量がさらに少なくなった超低用量ピルの「ルナベル」や「ヤーズ」などが最近、使われています。いずれも経口避妊薬ですが、子宮内膜症によるひどい月経痛があれば健康保険も使えるようになりました。

超低用量ピルの特徴として、黄体ホルモンについても従来は採用されなかった種類の黄体ホルモンを含有しています。身体で分泌される黄体ホルモンの作用により近いホルモンを使用しているため、これまでの低用量ピルで副作用とされていたむくみも少ないことなどがメリットです。

しかし、副作用がないわけではなく、吐き気や頭痛、不正出血などが特に飲み始めに強く現れることがあります。

 

子宮内膜症の外科的療法

卵巣チョコレート嚢胞は卵巣がんの発症との関係が指摘されますが、40歳以上になると特に発症のリスクが高くなるといわれています。特に閉経後は、子宮筋腫は小さくなるのが特徴ですがチョコレート嚢胞は縮小することがなく、むしろ卵巣がんの発症につながることも少なくありません。

チョコレート嚢胞のように問題となっている場所(病巣)が特定できる場合にはその病巣を取り除く手術をします。手術は、以前はお腹を切って行う開腹手術でしたが、最近では「腹腔鏡手術」と呼ばれる細い管のような内視鏡と電気メスなどを使って病巣の切除や癒着した部分の剥離を行うことが多いです。

なお、妊娠を望まない患者さんには子宮や卵巣、あるいは卵管も一緒に摘出する方法を選択することもあります。

 

月経痛がひどくても、「病院に行くほどではない」と様子をみている人も多いことでしょう。しかし、子宮内膜症は徐々に症状が重くなり、不妊の原因にもつながることもあります。
痛み止めが効かなくなったなど気になることがある場合には、病院で診てもらいましょう。

 

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