多発性硬化症の治療は症状に応じた薬物治療を継続することが重要

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[投稿日] '16/05/24 [最終更新日] '18/03/18 731views
多発性硬化症の治療は症状に応じた薬物治療を継続することが重要

多発性硬化症の治療法

多発性硬化症の治療は、薬物による治療が中心です。治療のポイントとなるのは、発症した早期から治療を開始し継続することと、寛解期・再発期など病期に即した薬物療法を行うことです。多発性硬化症の治療では、再発を防止する、進行を抑える、重症化を防ぐ、脳萎縮を抑える、炎症を抑える、などそれぞれの薬剤の持つ効果性と病型や病期をマッチさせて投与しなければなりません。どの薬剤を使用して治療するかは、効果と副作用をよく考慮して、専門医と相談して決定することが非常に重要です。

多発性硬化症の再発期、つまり症状が強く出ている時には、ミエリンで起きている強い炎症反応を抑えるために、ステロイド(副腎皮質ホルモン)を点滴で大量投与する、ステロイドパルス療法を実施することがあります。ただし、ステロイドパルス療法には、感染症にかかりやすくなる、高血圧・糖尿病、骨粗しょう症・大腿骨頭壊死、精神不安定、などの副作用が起きる可能性があります。

症状が治まっている寛解期には、インターフェロンβ製剤の自己注射を2日に一度行う療法がよく行われます。この注射薬には、免疫反応をコントロールすることで、脳萎縮を抑え、再発を防止する効果が期待されています。しかし、筋肉痛や発熱など、インフルエンザ様の副作用が起こりやすいことが指摘されています。

 

もし、インターフェロンβ療法に効果がない場合や副作用が強く出る場合には、フィンゴリモド療法が推奨されています。これは、リンパ球のミエリンへの障害をコントロールし、脳萎縮と再発、進行を抑える療法です。2011年に保険適用が承認されたカプセル薬(商品名:ジレニアまたはイムセラ)を毎日内服するだけでなので、簡単だというメリットがあります。しかし、徐脈や悪性リンパ腫、脳血管障害などの重い副作用が起こる可能性があり、死亡例も報告されています。

進行型の多発性硬化症や、早期の治療機会を逃し症状が進行してしまった場合には、ミエリンの炎症を抑え神経を保護する働きのあるイブジラスト(商品名:ケタス)を投与することがあります。また、様々な機能障害の症状に対しては、薬物による対症療法(症状に応じてをそれを軽減しようとする治療)が行われます。例えば、筋肉の痙攣・震えに対しては筋弛緩薬や抗痙縮剤薬、尿失禁に対しては頻尿治療薬や排尿障害治療薬、抑うつ状態に対しては抗うつ薬を服用するなどして対処します。

 

多発性硬化症の最新治療

多発性硬化症の治療薬は、年々開発が進んでいます。2015年から日本で販売され始めたグラチラマー(商品名:コパキソン)という注射薬は、4つのアミノ酸を合成したペプチドと呼ばれる製剤です。グラチラマーは、多発性硬化症で起きる脱隋(ミエリンの障害)の原因となるリンパ球の働きを活性化させないように、免疫過程をコントロールして「再発を予防」し「再発時の重症化を防ぐ」薬です。注射部位の炎症がよく起こる副作用とされていますが、注射直後に動悸や呼吸困難などの重い副反応も報告されています。

多発性硬化症は、専門医による適切な治療を早期に開始することが、必要な病気です。気になる症状がある場合には、早めに検査を受けましょう。

 

 

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