膀胱がんを切除しない最新治療も研究されています

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[投稿日] '16/05/03 [最終更新日] '18/03/18 945views
膀胱がんを切除しない最新治療も研究されています

膀胱がんの最新治療

・膀胱温存療法(OMC-regimen)

根が深く、膀胱全摘術を勧められた患者さんの、どうしても膀胱を取りたくない、という声を受けて開発された治療法で、膀胱内に高濃度の抗癌剤を注入することでがん細胞を死滅させるというものです。

方法は、風船のついたカテーテルを動脈に入れて膨らませ、膀胱に向かう大腿動脈を遮断した上で高濃度の抗癌剤を注入します。普通、抗癌剤というと点滴で注入し、血液の流れに乗せて全身に運ばれますので、正常な細胞も攻撃して副作用が出ます。それもあって高い濃度のものは使えません。ですが、血流を遮断して膀胱の血管にのみ抗癌剤をいきわたらせることができるこの方法では、より抗癌作用の強い高濃度の抗癌剤を使用することができるというわけです。

しかし、遮断したのは動脈なのでこのままでは静脈から流れて全身へ巡ってしまいます。そこで、膀胱に近い内腸骨静脈という静脈に透析用のカテーテルを設置してろ過します。これで約90%の抗癌剤を回収できるそうです。

そうして癌細胞を攻撃した後にはさらに放射線療法を行い、抗癌剤との相互作用で残った癌細胞をもやっつけるのです。

この方法で実際に膀胱を摘出せずに根治した患者さんもいるそうです。現在は高度医療に認可され一部の病院で行われている治療法です。

・光線力学的療法(PDT)

光線力学的療法は、薬剤とレーザー光線を使った治療法です。

事前に、レーザー光線を当てると蛍光になる光感受性物質を注射します。この光感受性物質には癌細胞が集まりやすく、癌細胞を殺す性質をもつものが使われます。ファイバスコープを使って癌細胞にレーザー光線を当てると光感受性物質が活性化し、癌細胞を攻撃します。こうして集まってきた癌細胞だけを攻撃するため、健康な細胞をほとんど傷つけることがなく、副作用の少ない治療法として期待されています。

また、この方法とTUR-BTを併用し、光らせた癌に狙いを絞ることで、より正確に癌を切除できるようになります。

現在はまだ保険適用にはなっていません。一部の医療機関で高額医療として行われている治療法です。

・樹状細胞ワクチン療法

私たちの体には免疫機能という、体が菌やウイルスなどの侵入を防いだり、体内の有害な細胞を攻撃するという働きがありますが、これを利用して有害細胞を攻撃する細胞を活性化して癌細胞を攻撃する治療法を免疫療法と呼びます。樹状細胞ワクチン療法はこの免疫療法の一つで、癌だけを狙い撃ちにできるものです。

有害細胞を攻撃する細胞は癌細胞を判断できず見過ごしてしまうことが多いため、自力では癌を治すことが難しいのです。樹状細胞という細胞が有害細胞を攻撃するように指示を出す司令官のような働きをしているので、この樹状細胞に癌抗原という癌の目印を教えることで、癌細胞目掛けて攻撃するように指令を出すことができるようになります。これが樹状細胞ワクチン療法です。

方法は、まず、この治療法が適応するか検査することから始まります。適応すると判断されたら、血液を採取し、血液から樹状細胞をとりだし、培養します。そして樹状細胞に癌の目印を見分ける方法を学習させて体に戻します。すると樹状細胞が指示を出して癌細胞を攻撃できるようになります。

 

この治療法はまだまだ研究段階で、明確な根拠はなく、また、保険適応ではありません。行っている医療機関はありますが、全額自費となっています。

 

 

 

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