狭心症(心臓外科手術、心臓カテーテル手術)―知っておくべき治療法⑥

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狭心症(心臓外科手術、心臓カテーテル手術)―知っておくべき治療法⑥

狭心症とは

皆さんは、“狭心症”という病名を聞き、何をイメージするでしょうか?

「何となく心臓の病気だということはわかるけれど、心臓の病気といえば“心筋梗塞”という病気もあったっけ…違いがよくわからない…」そんな風に思う方も、いるかもしれません。

そもそも、狭心症も心筋梗塞も、「虚血性心疾患」という心臓の病気の1種です。

それでは虚血性心疾患とは、一体何でしょうか。虚血性心疾患のお話に移る前に、まずは心臓の役割についておさえておきましょう。

 

心臓は、とっても働き者!

心臓は、重さがたった約 250 〜300 g の小さな臓器ですが、身体の中でとても重要な「ポンプ機能」の役割を担っています。

つまり、一定のリズムで“縮むこと”(収縮)と“緩むこと”(弛緩)を繰り返し、全身の臓器に、必要な血液を送っているのです。1分あたり50〜100回収縮と弛緩を繰り返すので、1分あたりに心臓から出てくる量は、4.0〜5.0 Lにも及びます。1日あたりに換算すると、何と、6~10トンもの大量の血液を送り出していることになります。

この重労働を考えると、心臓を動かすのに必要な「酸素」が不可欠なものであることが容易に想像できると思います。

 

心臓に必要な酸素を運べない、狭心症・虚血性心疾患

虚血性心疾患とは、心臓が必要とする酸素を含む血液を心臓自身の筋肉(心筋)に送ることができなくなり、心筋の一部が酸素不足(虚血)になる病気です。

何故、このような虚血が生じるかというと、動脈にコレステロールや中性脂肪などがたまって動脈硬化をおこし、つまったり、血管自体が硬くなったりして、血管の弾力性や柔軟性を失うからです。この動脈硬化によって血液が心臓自身に酸素を送る「冠動脈」という血管を通れなくなってしまうのです。

ご説明した内容から容易に想像できると思いますが、虚血性心疾患は、命にかかわる重大な病気であり、症状も特徴的です。

症状としてわかりやすいのは、胸の痛みや圧迫感です。痛みを感じる場所は、胸の真ん中や左側を中心に、それ以外にも背中、肩、腹部まで広がることがあります。最悪の場合、死の恐怖を感じるほど激しい痛みを感じることもあります。

それでは、虚血性心疾患にはどのような種類があるのでしょうか。

 

虚血性心疾患の種類

虚血性心疾患には、大きくわけて以下の安定狭心症と急性冠症候群があります。

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安定狭心症

労作性狭心症と冠攣縮性狭心症を総称して、安定狭心症と言います。症状が数ヶ月以上安定していて、慢性的に経過している、心筋梗塞への移行の心配が少ない狭心症です。硝酸剤の舌下・スプレーが有効です。

●労作性狭心症

コレステロールを含む“かさぶた”のようなものが進展し、徐々に冠動脈が狭くなります。

重いものを持ち上げた時、歩行時、階段や坂道を登った時など、その名の通り、運動(労作)を行った際に発作が生じます。病気が進行すると、少しの動作や安静時でも発作が生じるようになる、頻回に発作が生じるようになるなど、急性冠症候群へ移行する悪化することがあり。このように命にかかわる悪化には、注意が必要です。

 

●冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症

冠動脈が一時的にけいれんして、血液の流れが悪くなります。

運動よりもほぼ一定の時間帯の夜間や早朝・未明の安静時に症状が起こることが多いと言われています。症状が頻回になるなど悪化の徴候がみられる場合は、労作性狭心症と同様、急性冠症候群への移行が懸念されるため注意が必要です。

 

急性冠症候群

不安定狭心症、急性心筋梗塞を総称して急性冠症候群と言います。数日~数週間のうちに急変する可能性があり、突然死を引き起こす危険性があります。

●不安定狭心症

冠動脈のかさぶたのようなものに突然何らかの原因で亀裂が入り、そこに血栓という血の固まりが生じます。その血栓によって冠動脈の流れが悪くなる重症な狭心症のことを言います。

狭心症発作を頻回に繰り返し、安静時にも発作が起こるようになります。短期間のうちに病状が悪くなる可能性があるため、直ちに医療機関を受診する必要があります。

 

●急性心筋梗塞

冠動脈が血栓で完全に詰まってしまい、心筋が死んでしまう=壊死する状態のことです。壊死した心筋は再び元に戻ることはありません。狭心症よりずっと激しい胸の痛みが20分以上続き、舌下薬もほとんど効果がありません。

心不全や不整脈を引き起こし、突然死に至ることがある最も危険な状態です。一刻を争う危険な状態であるので、直ちに救急車を呼びましょう。

 

虚血性心疾患の種類を理解したところで、今回の本題である狭心症の治療法についてお話します。

 

狭心症の治療

狭心症の治療では、症状を軽くさせるための薬物治療と、侵襲的な心臓カテーテル手術や冠動脈バイパス手術などに大別されます。

症状に応じて、色々な治療法を組み合わせて行っていきます。それぞれの利点・欠点をみていきましょう。

 

薬物治療の利点・欠点

狭心症では、まずは症状を軽くするため薬物治療を開始します。

・硝酸薬

“ニトログリセリン”と聞くと、ピンとくる方もいるかもしれません。硝酸薬は、発作治療薬の第一選択薬です。血管平滑筋を弛緩させ、心臓の仕事量を減らします。ただし、副作用として血圧低下や頭痛、めまい、動悸などを起こすことがあり、注意が必要です。

・カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬は、血管拡張薬です。冠攣縮性狭心症などの血管の痙攣を抑える効果があり、発作予防に効果的です。

・β遮断薬

β遮断薬は心拍数や心収縮力の増大を抑えることで、心臓の仕事量を減少させるので、労作型狭心症に対して有効です。突然の投与中止により強いβ作用が引き起こされる可能性があるので、中止に際しては時間をかけて徐々に投与量を減らしていく必要性があります。なお、気管支喘息の患者に投与することはできません。

 

ここまでの説明でお分かりの通り、薬物治療はあくまでも症状軽減のために行う治療であり、原因を取り除くような根本的な治療とはなりません。

根本的な治療が必要となる場合、以下に挙げるような侵襲的な治療が主となります。

心臓カテーテル手術の利点・欠点

カテーテル治療とは、医療用に用いられる柔らかい管を用いて、冠動脈が狭窄・閉塞している部分にバルーン(風船のようなもの)やステントなど(拡張できる網目状の金属製の筒)を送り込み、拡張したり再開通させたりする方法です。

冠動脈バイパス術と違って、侵襲が少ない治療法なので、入院期間も2、3日で済みます。ただし、急性冠動脈閉塞、ステント血栓症、急性心筋梗塞、冠動脈穿孔など、手術に伴う合併症があります。また、カテーテル治療の数か月以降に、再狭窄がみられることがあります。

 

冠動脈バイパス手術の利点・欠点

全身麻酔が必要な開胸心臓手術で、患者の脚、胸、腕、腹部などから健康な血管を採取し、この血管を冠動脈の閉塞部分に移植し、新しい迂回路(バイパス)をつくります。カテーテル治療では治せない、リスクの高い不安定狭心症や心筋梗塞までカバーできます。最も多く行われている外科的心臓手術で、効果が長続きし、再発率の低いのも特徴的です。ただし、出血性の合併症などが生じる危険性がありますし、低侵襲性のカテーテル治療と比べて、長い入院期間(約10日から2週間入院)が必要です。こういった身体への負担に加え、金銭的な負担も大きいという欠点があります。

狭心症治療は、薬物に対する患者の正しい理解と、侵襲的な治療を行う際には、きちんと理解したうえでの選択が必要となります。信頼できる経験豊かな名医のもとで、治療に取り組みましょう。

 

 

 

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