統合失調症の治療ではレジリアンス(回復力)を身につけることが大事です

統合失調症の治療ではレジリアンス(回復力)を身につけることが大事です

統合失調症になると幻覚や妄想などの陽性症状のほかに、意欲の低下などの陰性症状など多くの症状が現れます。統合失調症はどのような治療を行うとよいのでしょうか。ここでは、統合失調症の治療で行われる薬物治療と心理社会的治療についてご紹介します。

統合失調症の治療

統合失調症の治療では薬物治療を基本としつつ、心理社会的療法として精神療法やリハビリテーションなどを併用して症状の改善や再発予防を目指します。

薬物治療

統合失調症の治療に用いる抗精神病薬はドパミンなどの神経伝達物質の働きを抑える薬です。従来からある薬はドパミンの作用だけを抑える薬で、幻覚や妄想、興奮状態などの改善に効果があります。ただし、身体のこわばりや小刻み歩行などのパーキンソン病に似た症状が現れやすく、意欲の低下などの陰性症状や判断などに必要な認知機能は改善しにくいことがデメリットでした。

しかし、近年、登場した薬はセロトニンとドパミンに作用する薬で幻覚や妄想のほかに陰性症状にも効果があり、パーキンソン症状も少ないなどのメリットがあります。

抗精神病薬の副作用としてはパーキンソン症状のほかに、身体がムズムズしてじっとしていられない静座不能症(アカシジア)なども多いです。また、ごく稀に悪性症候群という重大な副作用が現れることがあります。悪性症候群は高熱をはじめ、発汗や頻脈などの自律神経症状が現れ、さらに、生命の危険性が高くなる場合もあるので注意が必要です。

なお、統合失調症では不眠や不安、抑うつなどさまざまな症状が現れるため症状に応じて眠剤や抗不安薬、抗うつ薬などを組み合わせて使います。

●アドヒアランスの重要性

統合失調症の薬物治療で重要なのは、症状がよくなっても医師の指示があるまできちんと服薬することです。統合失調症は、服薬を勝手に中断すると再発の可能性が高くなります。薬の服用は副作用もあるため不安や抵抗感が生じやすいものですが、良い状態を保ち、再発を予防するには良くなってからも服薬を継続することが必要です。

かつて患者さんに対しては医師の指示や医療者の指導に従うといったコンプラインスが重要視されていました。しかし、治療は受け身ではなく、患者さん自らの意思決定で積極的に治療に取り組む「アドヒアランス」が治療の効果を高めるうえで重要といわれています。

 

心理社会的治療

●精神療法

精神の安定などを目的に個人面接を行うほか、集団精神療法で病気や治療に対する正しい知識を学んだり、認知行動療法を活用した生活技能訓練と呼ばれるトレーニングを行ったりします。

病気の知識や治療の継続の必要性などを学ぶためのアプローチは「心理教育」と呼ばれていますが、対象は患者さんだけではありません。家族が病気や治療の必要性を学び、患者さんへのかかわり方などを身につける場として家族向けの教室を開いている病院も多いです。

また、生活技能訓練(SST:Social Skills Training)ではコミュニケーションや対人関係に問題を抱えやすい人などを対象に、ストレスへの適応力や対人スキルなどを身につけることを目指します。

●リハビリテーション

リハビリテーションは症状を改善するだけでなく、患者さんの持っている能力を高めて生活への支障をできるだけ少なくし、その人らしく生活できることを目指します。

精神科で行っているのは作業を通して集中力や作業能力、人とかかわる力などを養う作業療法です。また、レクリエーション療法ではゲームやスポーツなどを通して楽しさや達成感などを味わう機会を作り、感情や意欲に働きかけます。

さらに、デイケアに通うことで生活リズムを整え、居場所を作ること、就労移行支援を行う施設などを利用して一般就労に向けた準備を行うなど症状の程度や目標に合わせた施設の利用が重要です。

 

レジリアンス(回復力)を身につける

「統合失調症の原因」のところでご紹介したレジリアンス(回復力)のトレーニングは治療の場だけでなく、一般企業や学校などでも「折れない心を育てる方法」として注目されているトレーニングです。これまでの研究の中でレジリアンスの心理的特徴として以下のような点が挙げられています。

レジリアンスの高い人は自分を価値あるものと考え(自尊心)、辛い出来事に対しても逆の視点が持てるなど楽観的で柔軟な考え方、“しなやかな思考”の人が多いといわれています。また、挨拶を含め人とのつながりを持つ習慣があり、社会的なサポートを受けられること、さらに、一喜一憂しないなど感情のコントロールができることも重要な要因です。

食生活と運動の習慣づけが重要

レジリアンスを高めるには食事や運動といった生活習慣も重要です。食事では3時間おきに少量ずつ食べる、たとえば朝昼夕のほかに午前10時と午後3時頃におやつなどを軽く食べると血液中のブドウ糖をある一定のレベルに保つことができます。ブドウ糖は脳のエネルギー源となるため一定レベルを保つと集中力が高まり、感情のコントロールにも役立つとされているのです。

また、運動は「インターバルトレーニング」といった全力で運動するなど負荷の高い運動を繰り返す方法もありますが、体調に合わせた軽い運動で行うこともできます。大切なのは目標を設定して「達成できた」という体験を増やすことです。運動に限りませんが、努力することでうまくいった経験を繰り返すことにより「やればできる」という自己効力感が高まると自信になり、レジリアンスの向上につながっていきます。

しなやかな思考で回復力を高める

しなやかな思考を身につけるためのトレーニングのうち、“感謝”をテーマにして日記、あるいは手紙を書く方法をご紹介しましょう。

日記では日頃、見逃しがちな「感謝の気持ち」に向かい合い、3つほど書くようにします。日記を続けていくと、他の人にしてもらったことや不十分でありながも満たされたものが数多くあること、その尊さなどに次第に気づけるようになります。また、感謝の気持ちを手紙にして相手に伝える方法もあり、手紙にすると人とのつながりを大切にするうえでも役立つでしょう。

ストレスの高い状況として震災などの非常事態がありますが、被災者に生じる感情としては他者や物への「感謝の気持ち」が少なくないそうです。そして、厳しい状況下でも感謝の気持ちをもてる人はストレスのダメージから身を守ることができ、苦境を糧に成長できる人が多いなどの指摘があります。

新しい考え方を取り入れるためには日々の心がけと実践が重要です。また、しなやかな思考を身につけるには、一人ではなく専門家のサポートを受けるとよいでしょう。専門家のかかわりを通して自分の強みや弱みに気づき、強みを活かす方法などを知ることはレジリアンスの向上につながります。

 

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