統合失調症は「病気と障害が併存する」といわれる疾患です

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統合失調症は「病気と障害が併存する」といわれる疾患です

統合失調症は思春期から青年期の人に多い病気で、一生のうちに発症する割合(生涯有病率)はおよそ0.7%です。ここでは、統合失調症の病気の特徴や発症の原因について紹介します。

統合失調症の概要

統合失調症の急性期には現実と異なることを思い込んでしまう妄想や、実際にはないものが聞こえる幻覚(幻聴)などが起こります。また、話しが支離滅裂になってしまうなど会話や行動にまとまり(統合)がなくなり、日常生活や社会生活に影響が及ぶことも多いです。さらに、慢性期になると興味や関心もなくなり、意欲も低下して一日中、何もせず無為(むい)に過ごす人も少なくありません。

「病気と障害が併存する」といわれる統合失調症は薬物治療とリハビリテーションによって治療する必要があります。医療の進歩により、統合失調症のおよそ3分の2の人が回復、あるいは再発を繰り返しながらも支援を受けることで自立できるようになりました。

しかし、1~2割の人には日常生活を送るのも困難なほどの重い障害が残ることもあります。統合失調症は精神科の入院患者のうちもっとも多くを占め、しかも入院が数十年に及ぶなど入院期間の長期化が今も課題です。

患者数

厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査によると、統合失調症で受診中の患者数(総患者数)は平成26年には約77.3万人と推計されています。過去に遡ると平成17年は75.7万人、平成20年には79.5万人に増えましたが、うつ病の急増などに比べるとほぼ横ばいの状態です。

また、統合失調症は10歳代後半~30歳代に発症する人が多く、性別では男性に多い病気で女性のおよそ1.4倍といわれています。さらに、男性は30歳以前に発症することが多く、男性の発症年齢は女性より3~5歳ほど若いようです。

 

統合失調症の原因

統合失調症の発症には遺伝的な要因が関与しているのではないかという意見があります。それは、片方の親が統合失調症のときの子どもの発症率は約10%になるなど、親や兄弟姉妹に統合失調症の人がいる場合は発症の可能性が高いといった研究などがあるためです。

しかし、一卵性双生児の片方が統合失調症の場合、同じ遺伝子を持つもう一方が発症する割合は100%ではなく、およそ半数に過ぎません。

では、なぜ統合失調症を発症するのか、詳しいことは今もわかっていません。ただし、ドパミンという脳内の神経伝達物質という神経細胞の情報のやり取りをする物質が過剰になると統合失調症でみられるような幻覚や妄想が現れることが知られています。ドパミンの働きを抑制する薬が幻覚や妄想の改善につながることからも、ドパミンが発症に関与しているのではというドパミン仮説が今のところ有力です。

統合失調症はドパミンによる脳の機能障害に加え、遺伝的要因や周囲のかかわりなどの環境的要因、脳の構造の変化などさまざまな要因が組み合わさって発症すると考えられています。脳の構造の変化というのは、たとえば脳の萎縮です。統合失調症の患者さんの脳をMRI(磁気共鳴画像装置)などで調べると、頭の前の方にある前頭葉や耳の上あたりの側頭葉などが健常者に比べて萎縮して小さい傾向があります。

さらに、妊娠中や生まれてすぐの時期に起きた出来事も発症に関係するといわれる要因です。妊娠中に母親が感染症にかかった、あるいは出産のときに赤ちゃんの脳が酸素不足でダメージを受けた、生まれたときの体重が極めて少なかったなどが挙げられています。

 

「ストレス脆弱性モデル」と「レジリアンスモデル」

ストレス脆弱性(ぜいじゃくせい)モデルは統合失調症の発症を理解するための一つの仮説です。脆弱性モデルでは、ストレスに対する遺伝的な素質としての脆弱性(もろさ)という「かかりやすさ」によって発症する割合が異なるとしています。ストレスに対してもともと弱い(脆弱性がある)人はストレスが重なると、それほど強いストレスでなくても誘因となって発症するのではないか。逆に、脆弱性の低い人は強いストレスに遭遇しても発症しにくいとされています。

一方、近年、注目されているのはレジリアンス(レジリエンス、resiliens)の考え方です。レジリアンスという回復力や適応力などが備わっていれば素因として脆弱性がある人も困難を跳ね返して発症しにくく、たとえ発症しても回復につながると考えられています。

レジリアンスは生まれ持った素質だけでなく、トレーニングで養えられることが特徴です。そのため、統合失調症の治療にもレジリアンスを高めるトレーニングを導入する動きが始まっています。レジリアンスのトレーニングについては「統合失調症の治療ではレジリアンス(回復力)を身につけることが大事です」で詳しくご紹介していますのであわせてご覧ください。

また、次の「統合失調症の症状は幻覚・妄想・思考障害・行動の異常などがあります」では、統合失調症の主な症状や早期発見・早期治療につながる検査などについてご紹介しています。

 

 

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