健康診断の検査項目ってなに?人間ドックって何を調べる検査なの?

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健康診断の検査項目ってなに?人間ドックって何を調べる検査なの?

社会人になって健康診断を受けた方で「健康診断の項目って毎年受けていても少しずつ違う気もするし、会社によっても違う気もする。去年は身長も測った気がするけど今年はないのかな?」と感じたことも、もしかしたらあるのではないでしょうか。

今回のコラムでは一般的な健康診断についてと、人間ドックの各検査項目についてお伝え致します。

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一般的な健康診断ではどのような検査項目があるの?

実は健康診断では、原則として労働安全規則44条に定められた以下の11項目の検査が行われています。

  1. 既往歴、業務歴の調査
  2. 自覚症状、他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査、喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
  8. 血中脂質検査(LDL、HDL、中性脂肪)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

これだけみると「いや、喀痰検査とかやったことあるかなぁ…。」という方もたくさんいらっしゃると思います。実際に私もいつ痰の検査をしたか記憶にありません。しかし、だからといって多くの企業や自治体が規則違反をしているというわけではありません。

実は一部の項目に関しては、医師が必要でないと認める場合には、省略してもよいことになっています、例えば身長ですが、通常成人になってから身長が大きく変化することは少ないと思われます。そのため、20歳以上の場合で医師が必要でないと認める場合には、身長測定は省略可能であったり、喀痰検査に関しては、40歳未満で5の倍数の年齢でなくて胸部X線を省略された場合には、受けなくてもよい、となっていたりします。

どの検査項目が自分に当てはまるかを知るのは、性別や年齢などにもよって変わってくるため、複雑ですので、深く考えずに案内された検査を受けるというのがよいでしょう。

そしてここに上げた検査項目11項目以外のものが、健康診断に含まれている場合もあります。それは胃のバリウム検査や便の検査などです。これらは、所属している会社や自治体などが独自に定めているメニューでして、特に受けなければならない項目というわけではありません。ですので意味合いとしては、会社や自治体からの”サービス”とも言えます。そのため手厚い自治体は検査の実施項目も多くなり、人によって健康診断の項目に差がでるのです。

また健康診断の中でも特殊なものとして、特定健康診査と呼ばれる40〜74歳までの公的医療保険加入者全員を対象とした健康診断があります。これは別名「メタボ健診」とも呼ばれ、近年問題となっているメタボリックシンドロームを発見するために特化した健康診断となっています。検査項目については、一般健康診断と大きく変わらず、メタボ健診を受けると年に1回健康診断を受ける義務は果たされたものとみなされます。

 

健康診断の検査項目の意味

検査項目を見ると、11項目もあって様々な検査を受けるのは大変そうといった印象を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、実際は貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査などは1度の採血で全ての項目を検査することができますし、1つの検査にかかる時間もそう長くはないので、全ての検査を行っても待ち時間などを除けば所要時間は1〜2時間程度といったところでしょう。

それぞれの検査を通して、身体に疾患が隠れていないか、健康を維持するためには何が必要かを判断していきます。以下にそれぞれの検査を簡単に説明します。

  1. 既往歴、業務歴の調査
    これまでにかかった病気やこれまでどのような仕事に従事したかを問診することで、検査項目に異常があった際の診断に役立てます。またこれを確認することで省略してよい検査、してはいけない検査などを判断します。例えば粉塵を扱うような業務の場合には、胸部X線検査は必須となります。
  1. 自覚症状、他覚症状の有無の検査
    受診者本人が自覚している、どこかが痛いなどの症状がないかを確認し、問診を行う医師も受診者に何らかの異常がないか診察します。
  1. 身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
    身長、体重、腹囲は肥満度を調べるためのものです。身長と体重からBMIを算出し、腹囲はメタボリックシンドロームを判定するための材料となります。
    視力、聴力は目や耳といった感覚器が正常か(屈折異常がないか、聞こえにくさはないか)どうかを調べます。
  1. 胸部エックス線検査、喀痰検査
    胸部エックス線検査では胸のレントゲンを撮ることで、肺がんや肺炎、結核など肺の異常がないか調べることができます。喀痰検査では、痰の中に病原菌がないか(細菌性肺炎、肺結核)、痰の中に含まれる細胞にがん細胞がないか(肺がんの可能性がないかどうか)を調べる場合もあります。
  1. 血圧の測定
    血圧はご存知のとおりですが、病院で血圧を測ると緊張により血圧が上がり、いつもは正常血圧であるのに高血圧となってしまう方がいます。このような状態を白衣高血圧といいますが、健康診断で血圧が高めに出る方は、本当に高血圧なのかどうかを知るためにも普段から自宅やジムなどで定期的に血圧を測定しておくことがおすすめです。
  1. 貧血検査
    血液中のヘモグロビンの量を測定し、貧血の有無を調べます。血液検査の1項目です。
  1. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
    血液中にある肝臓由来の酵素(GOT、GPT、γ-GTP)の量を測定し、肝臓の働きに異常がないかを調べます。肝炎や肝臓がんなどの際に異常がでます。
  1. 血中脂質検査(LDL、HDL、中性脂肪)
    血液中にある各種脂質の量を調べ、動脈硬化のリスクが高くないかなどを調べます。
  1. 血糖検査
    血液中のブドウ糖もしくはHbA1c(糖と結びついたヘモグロビン)の量を調べ、糖尿病の可能性がないかを調べます。
  1. 尿検査
    尿に糖、蛋白、血液が含まれているかどうかを確認し、糖尿病や腎臓・膀胱などに異常がないかを調べます。腎炎や膀胱炎などがあると異常値がでます。
  1. 心電図検査
    心臓の動きを電気的に確認し、不整脈や狭心症など心臓の疾患の可能性を調べます。

このように、健康診断では身体の様々な部位について検査し、疾患の可能性を洗い出していくわけです。もちろん健康診断で引っかかっただけで、がんや糖尿病と診断されるわけではありません。健康診断で特定の項目に異常があった場合に、その部位についてさらに詳しく検査をしていきます。そうすることで、異常値が本当に病気を示しているものなのか、病気であればなんの病気なのかを特定していくのです。

一般健康診断では、エックス線や血液検査、尿検査など様々な検査項目がありますが、これらは全て検査により身体が受けるダメージ(針で刺すことによる痛みやエックス線撮影時の被爆、など)に見合った(もしくはそれ以上の)有益な情報が得られるために行われています。

特に血液検査は、上記の検査の中で唯一痛みを伴う検査ですが、血液中の成分からは健康状態を確認するために有益な情報をたくさん知ることができます。そのため、採血が行われているのです。とはいっても注射を行うときの痛みが苦手な方もおられるのではないでしょうか?注射針を刺されるときのチクッとした痛みはもちろんのこと、採血時もしくは採血後にめまいを起こした方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。(中には失神してしまったことがある方もおられるかもしれませんね。)

採血時にめまいが起こったり気分が悪くなったりするのは、血液を抜かれることによる貧血だと思っておられる方が多いと思います。ですが、採血で貧血になることはまずありません。

通常、出血によって発生する貧血(出血性貧血)体重50kg前後の成人ですと、500〜1,000mLの出血が起こらなければ起こりません。これに対して採血時に抜く血液の量は1〜2mLですので、採血による気分の悪さは貧血によるものではなく、血管迷走神経反射と呼ばれるものなのです。

血管迷走神経反射とは、採血時の不安などストレスが原因となって血圧低下、徐脈(脈拍が遅くなる)が起こることを指します。不安やストレスにより脳への血流量が低下するため、めまいなどの症状が現れます。もし過去に採血によって気分が悪くなったなどの経験がある方は、採血前に医師または看護師に相談してみましょう

通常だと採血は座って受けますが、ベッドに横になった状態で(脳に血液が流れやすい状態で)採血を行うことで、血管迷走神経反射によって起こる気分の悪さをなくすことができるのです。

 

人間ドックではどのような検査をするのか?

人間ドックは様々な疾患の早期発見を目的として一般健康診断に比べてより全身的に、より詳細な検査を行うものとご説明しましたが、一般健康診断に加えてどのような検査をするのでしょうか?人間ドックについて簡単にご説明いたします。

人間ドックは受診者が任意で申込をして受けるものですので、特に受けなければならない項目も決まっておりませんし、自由に選べるように多種多様なメニューが用意されています。

日帰りでいくつかの検査を受けるだけのメニューから、施設に一泊して身体の隅々まで検査を行うメニューもあります。また、脳ドックや心臓ドックといった身体の中でも特定の部位に特化したメニューもあるのが人間ドックの大きな特徴です。

人間ドックでは一般健康診断の11項目の他に、頸部MRA、眼圧/眼底検査、呼吸機能検査、上部・下部消化管内視鏡、腹部エコー検査、便潜血検査、CT検査、MRI検査、マンモグラフィ、各種腫瘍マーカー検査、腎機能検査、感染症検査などといった検査を受けることができます。

詳しく調べたい部位、気になる疾患に対応したメニューを選択するようにしましょう。先程挙げた人間ドックで代表的な検査からどのようなことがわかるのかをご説明します。

  1. 頸部MRA
    頸部MRAはMRI検査に用いる機器を使って行います。頸部MRAは脳に血液を送っている頸動脈を立体的に画像化することで、血管に異常がないかをチェックします。血管の狭窄(狭くなっている部分)や血流の異常、クモ膜下出血の有無やその状態、動脈硬化の進み具合を確認することで脳梗塞になりかけているかどうか、なっているかどうかなどを知ることができます。
  2. 眼圧/眼底検査
    眼圧/眼底検査では、それぞれ眼球の内圧(眼球の中は房水という液体で満たされており、この液体の量によって眼圧が変動します)を調べる検査、眼底鏡という特殊な器具を使って瞳を覗き込み、目の奥にある網膜や血管に異常がないかを確認する検査です。
    眼圧/眼底検査は、緑内障、網膜剥離、脈絡剥離、などの重大な目の病気を発見することができます。視神経乳頭陥凹という結果が返ってくる場合がありますが、それは緑内障の疑いがあるということですので、その時は眼科にいきましょう。
  3. 呼吸機能検査
    呼吸機能検査はスパイロメーターという機械を用い、息を吸ったり吐いたりして肺の機能を調べる検査です。間質性肺疾患や肺線維症といった、本来スポンジのようにやわらかい肺がかたくなってしまい、肺の機能が低下する病気や、喘息といった気管支が狭くなる病気、COPDのような長期の喫煙による肺の炎症から起こる病気も発見できます。
  4. 上部・下部消化管内視鏡
    それぞれ、一般的には胃カメラや大腸カメラと呼ばれている検査です。内視鏡で胃や大腸の壁を確認し、ポリープや潰瘍、がんがないかを確認していきます。体内に異物を挿入する検査であるためある程度の苦痛を伴いますが、特に上部消化管内視鏡では、これに似た検査である胃バリウム検査と比較すると、胃壁を医師が直接目で確認できるため胃バリウム検査よりも病気を発見しやすいこと、仮にポリープがあった場合には、その場でポリープを切除することができる点がメリットです。
  5. 腹部エコー検査
    腹部に超音波を当てて、肝臓や胆のう、膵臓、腎臓などを動画として確認することができます。腹部エコー検査を行うことで、主に脂肪肝や胆石、肝臓や腎臓の腫瘍も確認することができ、その後の治療につなげることができます。
  6. 便潜血検査
    いわゆる検便です。事前に便を採取しておき、便の中に血液が混じっていないかを確認します。大腸がんを発見するのに有用な検査です。
  7. CT検査
    X線を使って身体の断面を撮影する検査です。最近では、断面として撮影した画像をパソコン上で3次元化して、立体的に臓器や血管を確認することも出来ます。身体の様々な部位の病変を発見することができますが、特に心臓、大動脈、気管支、肺、肝臓、腎臓といった部位の病変を抽出するのに優れています。X線を用いるため、ごく微量の被爆が起こりますが、特に問題のない量ですでの心配はいりません。
  8. MRI検査
    磁気の力を利用して体内の臓器や血管を撮影する検査です。脳や脊椎、四肢、子宮、卵巣、前立腺等の骨盤腔に生じた病変を発見するのに優れています。検査時に大きな装置の中に入ったり、画像を撮ったりと、CT検査と似ている検査になりますが、X線ではなく磁気を使って画像を撮影するのが特徴です。
  9. マンモグラフィ
    乳房専用のX線撮影装置のことをマンモグラフィと呼びます。触診ではわからないほど微小な早期乳がんの発見にも役立ちます。
  10. 各種腫瘍マーカー検査
    血液を採取し、発生するがんによって血中の量が増加する特有な成分(タンパク質)の量を検査します。代表的な腫瘍マーカーには、肝細胞癌に対するAFP、前立腺がんに対するPSAなどがあります。腫瘍マーカーの量が高ければ高いほど、その腫瘍マーカーに対応したがんが発生している可能性が高くなります。
    ただし、早期がんでは腫瘍マーカーが上昇しないことが多いため、基本的には健康診断目的にはあまり適しません。腫瘍マーカーはどちらかというと、がんの治療をおこなっている最中の経過のフォローや、がんの治療後にがんが再発してないかどうかなど、確認のために用いられる項目です。
    唯一前立腺がんに対するPSAのみが早期発見にたいして効果があると言われています。健康な方が、その他の腫瘍マーカーを定期的に検査するよりは、大腸内視鏡やCT検査などを定期的に受けるのが一番良いでしょう。
  11. 腎機能検査
    血液を採取し、血液中に存在する尿素窒素、クレアチニン、尿酸を測定し、それらの数値やそれらを用いて腎臓のどのくらい働いているかを示すeGFR、クレアチニンクリアランスを算出して判断します。腎炎や腎不全、尿路結石などの存在を確認することができます。
  12. 感染症検査
    梅毒やB型肝炎、C型肝炎など、ウイルスなどに感染することで引き起こされる病気に対して、現在感染していないかどうか、過去に感染したことがあるかどうかを調べる検査を行います。

少し説明が長くなってしまいましたが、ここまでご覧いただきましてありがとうございます。このコラムを読んでいただいて、健康診断の結果を見返していただくと、ご自分の身体の状態を少し詳しく理解できるかもしれません。また、もし異常が心配になられたら、これを機会に一度しっかりと人間ドックを受けてみるものいいと思います。

次回のコラムでは「健康診断の費用」や「異常値が見られた時にどうしたらいいか」についてお伝えさせていただきます。ぜひご覧ください。

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