健康診断って受ける義務はあるの?前日の食事は何時まで?などの疑問を、看護師が解説します!

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健康診断って受ける義務はあるの?前日の食事は何時まで?などの疑問を、看護師が解説します!

みなさん、健康診断は受けていますでしょうか。小学校から始まり、社会に出てもほぼ毎年必ず「健康診断を受けるように」という案内が来ていると思います。学生時代は受ける頻度も多かった健康診断ですが、社会人になると忙しくてなかなか受けられていない方もいらっしゃると思います。

当たり前の話ですが、健康診断は病気の早期発見にとても大きな役割を果たします。ぜひご自身の身体のことや将来の事を考えて、健康診断を受けに行っていただきたいと思います。今回はそんな健康診断に関して、みなさんが抱きがちな疑問、質問にお答えしつつ、お役立ち情報をお伝えしていきます!よろしければぜひご覧下さい。

 

健康診断は受ける義務があるのか、受けないと何か罰則があるのか

健康診断は学生のころはほぼ全員が受けていると思いますが、社会人です受けている頻度も人によってまちまちです。実際はどのぐらいの方が受けているのでしょうか。

一つ参考になるデータとしては、メタボ健診として以前話題になった、特定健診というものがあります。これは『40歳以上の方の生活習慣病予防を目的として、2008年から始まった健診』ですが、国としては70%の受診率をめざしています。しかし、現実は2014年の段階で、48.6%とまだ半数以下にとどまっています。

一般の健康診断に関しては、40歳以下の若い方も対象に入ってくるので、もしかするとさらに受診率が低くなっているかもしれません。看護師の視点からすると、ぜひもっと受けていただきたいと切に思います。しかし、実際に健康診断は受けないと何か罰則などあるのでしょうか。そのあたりを調べてみました。

まず、一口に健康診断といっても、健康診断には「法令により実施が義務付けられているもの」と、「受診者の意思で任意に受診するもの」の2種類があります。

「法令により実施が義務付けられている健康診断」とは、学校や職場、地方公共団体で定期的に行われる「一般健康診断」や、危険物や特定の化学物質などを扱う職業の従事者に対する「特殊健康診断」があてはまります。

「受診者の意思で任意に受診する健康診断」とは、「診断書の発行を目的とした健康診断」や、全身的により詳細な検査を行いより多くの疾患の早期発見を目的とした「人間ドック」が当てはまります。

法令義務の健康診断は、労働安全衛生法という法律によって規定されており、事業者は労働者に対して健康診断を行わなければならない、とされています。健康診断を行わない事業者は最大50万円の罰金も課せられるようです。同時に、労働者側にも健康診断を受ける義務があります。そのため、忙しいからという理由で受け続けないでいると、事業者側から注意を受けたり、悪質な場合には減給処分などの処分を受けたりする場合がありますので、気をつけてくださいね。勤めている会社や地方公共団体から届く健康診断の案内は無視せずに期限内にしっかり健康診断を受けるようにしましょう。

後者の場合には、”任意の”とすでについているとおり、特に受けなくても問題はありません。人間ドックは受けたい人が受けるものですが、特に家族にがんの方がいる、年齢が40歳を超えているなど、がんなどの重大な疾患のリスクの高い方は定期的に人間ドックを受診して健康状態を詳しく調べるのも有益に思います。

 

健康診断の前日22時以降に食事を食べた、お酒を飲んだ、結果に影響あるの?

次は健康診断前日の食事などの影響についてお伝えします。

健康診断を受ける際に、「前日の夜からは絶食、禁酒。検査当日は禁煙をしてください」といった指示を受けたことのある方が多くおられるかと思いますが、これはなんのためのものかご存知でしょうか?

検査前の「食事」「飲酒」「喫煙」が健康診断の結果に及ぼす影響についてそれぞれご説明します。

検査前の食事の影響

検査前の食事は、まず血糖値に影響を及ぼします。検査前に食事を摂ってしまうと、食事中の炭水化物がブドウ糖に分解されて血中に取り込まれる影響で、血糖値が高めに出ます。食事のタイミングによって上下するようでは検査としての意味を成しません。血糖検査というのは、9時間以上絶食した状態(空腹時)の血糖値を測定すると決まっています。

食事を取ってしまったせいで、本来であれば健康と判定される人でも「糖尿病の疑いあり」と診断されてしまい、後日更に詳しい検査を受けなければならなくなります。これを疑陽性といいます。

こうなってしまうと、精密検査にかかる時間と費用が無駄になってしまいます。前日の夜22時よりあとに何か食べたぐらいであれば、血糖値には影響ない場合もありますが、朝食をとってしまった場合にはほぼアウトになります。気をつけてください。

同様に検査前の飲み物も同じです。お茶や水分であれば、特に血糖値には影響しませんが、ジュースや糖分の含まれているコーヒーなどでは血糖値があがってしまいます。

また一般的な健診項目に加えて、肝臓のエコー(腹部超音波検査)や胃のバリウム・内視鏡検査を受ける場合にも絶食が必要となります。肝臓の超音波検査の場合には、食事をすると胆嚢という臓器が胆汁を出し切ってしまい、しぼんで見えなくなってしまうためであり、胃のバリウムや内視鏡検査の場合には、食物が胃の中にあることで胃の中の観察がしづらくなるからです。せっかく受ける検査ですので、検査の精度をあげるためにも絶食時間はしっかり守りましょう。

 

検査前のアルコールの影響

次に検査前のアルコール、飲酒の影響です。検査前に大量に飲酒をすると、みなさんの想像通り肝臓の数値があがります。特にγ-GTPという数値が上昇しますので、気をつけてください。ただ、肝機能の項目(GOT、GPT、γ-GTP)は、肝臓の細胞が飲酒や肝炎などによりダメージを受けることにより徐々に上昇するものですので、普段お酒を飲まない方が検査前日に飲酒しただけでは、大きな異常値にはなりにくいです。ですのでγ-GTPに異常があった場合には、前日に飲酒していたとしてもそのせいにだけはしづらいですので普段からお気をつけを。

前日の飲酒が影響を及ぼす検査項目は他にもあります。

尿検査では尿蛋白、尿糖、血液検査では尿酸値、血糖値、中性脂肪などです。飲酒がこれらの検査項目に影響を及ぼすのは意外かもしれませんが、アルコールには利尿作用(おしっこを出す作用)があるので体内が軽度の脱水状態となり、尿の濃度が濃くなることで尿蛋白が陽性になったり、カクテルなど糖分を多く含むアルコールを飲みすぎることで血糖値が高くなり、尿糖も陽性となったりします。また、アルコールを体内で分解する過程で発生する、尿酸によって尿酸値が高めとなります。

さらにアルコールを摂取すると、肝臓はアルコールと一緒に摂った食事の脂肪を分解するよりも先に、身体にとって毒素と認識されるアルコールの分解を行います。そうなることで、血中の中性脂肪の分解が後回しになり、中性脂肪の値が高くなってしまいます。

このように、健康診断の前日の飲酒は多くの項目に影響を及ぼしてしまいますので、どうしても避けられない飲み会などがある場合には、検査を受ける時間の10時間以上前までに、量は乾杯の1杯程度に済ませるようにしましょう。

 

検査前のタバコの影響

最後に、検査前のタバコが検査結果に及ぼす影響についてです。検査当日の喫煙は胃バリウム検査、血圧検査に影響することがあります。喫煙により胃酸の分泌が促進され、バリウムが胃の粘膜にくっつきにくくなるため、胃バリウム検査をしても潰瘍などの異常を発見できない場合があります。(これを偽陰性といいます。)

またタバコの煙に含まれるニコチンには、血管を収縮させる(血管を一時的に細くする)という作用があります。そのため検査前に喫煙した場合は、血圧が高めになってしまうことがあります。ニコチンの半減期は20-30分程度ですので、検査1時間前以内にタバコを吸った場合には、血圧が通常より高くでる可能性があります。

これらの理由から、正確な検査結果を得るという目的においては、検査当日の起床後から検査までは禁煙されることをおすすめします。もちろん、タバコは長期的に見るとがんなど様々な重大疾患の要因となりますので検査前だけでなく、これをきっかけに禁煙をはじめてみるのも手かもしれませんね。禁煙をしたいと思っている方、ご家族などから禁煙を勧められている方は、健康診断の問診時に医師に相談してみましょう。

 

前日に服用したサプリメントや運動の影響

絶食、禁酒、禁煙の他にも、サプリメントの服用、過度な運動にも念のため気をつけておきましょう。

サプリメントについては、基本的には食事と同じ対応をすれば問題ありません。検査前日の夜に服用しても検査までには身体に吸収されてしまっているからです。ただし、ビタミンCが含まれているサプリメントを日常的に服用している場合は、検査の2〜3日前から服用を中断しましょう。尿中に含まれるビタミンCが検査に用いる試薬の効果を阻害することで、尿潜血や尿血糖といったいくつかの尿検査の検査結果が偽陰性となることがあるからです。

過度な運動については、会社員の方よりは学生によく当てはまると思います。激しい運動により筋繊維が傷つき炎症を起こすことで、クレアチンキナーゼやGOT(肝臓機能の指標となる酵素ですが筋肉にも存在しています)と呼ばれる酵素が血中に漏れ出し、血液検査の結果クレアチンキナーゼやGOTが高値となることがあります。さらに激しい運動によって全身の筋肉の血流量が増えると、腎臓へ流れる血液が少なくなってしまい、更に大量に汗をかくことで脱水状態となるため、尿の濃度が濃くなって、尿蛋白が陽性になる可能性があります。そのため、検査前日の運動はほどほどにしておきましょう。

このように、検査の前日、当日の指示を守らないと、誤った検査結果が出てしまう場合があります。本当は正常であるのに要精査の結果がでたり、本当は異常があるのに正常な結果となって早期発見の機会を逃したり、といったことがないように検査の案内をよく確認してから健康診断を受診しましょう。

 

いかがでしたでしょうか。「健康診断は、受ける前の制限が色々あってちょっと面倒」と思われている方も、身体の仕組みを知ることで、少しその面倒な気持ちも解消されたのではないでしょうか。そう思われた方が一人でもいらっしゃったら、お伝えした私としてもとても嬉しく思います。

次のコラムでは「健康診断や人間ドックの検査項目」についてお伝えさせていただきます。健康診断を受けられる方も受けられた方も、次のコラムを見ていただいて、その検査や数値の意味を理解していただければと思います。

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