病院ランキングの7つの落とし穴!病院ランキングはこう読む!

病院ランキングの7つの落とし穴!病院ランキングはこう読む!

 

今回は下記のような内容で、世の中の「病院ランキング」の正しい読み方をお伝えしてみたいと思います。

  • 病院ランキングとは
  • 病院ランキングがなぜ存在するか
  • 病院ランキングの3つの方法
  • 病院ランキングの7個の落とし穴!
  • 病院ランキングの正しい読み方
  • おわりに

それでは早速いってみましょう!

 

病院ランキングとは

みなさんは雑誌の特集や書籍、ウェブサイトなどで「がんの病院ランキング」「いい病院300!」みたいな見出しを見たことがありますでしょうか。じっくりと見たことはないけれども、ちらっと見たことがある、そういうものがあるというのは知っている、という方がほとんどだと思います。

医療関係者であれば、自分に関わりある病院がどう評価されているか興味本位で見てみることはあると思いますが、そうでなければ実際に何か大きな病気にならない限りは目を通さないでしょう。しかし、読む必要性が出てきてしまった時に、初めて見るランキングを正しく解釈するのはなかなか難しいと思いますので、今回はその「病院ランキング」の問題点や、注意すべきポイントなどをご紹介出来ればと思います。

 

病院ランキングがなぜ存在するか

病院ランキング いい病院

そもそもなぜ病院ランキングが存在するかというと、「日本には病院の選択肢が多く」 、「病院のいい悪いというのは非常にわかりづらい」からです。

医療機関は、国の統計上は、”病院”と”診療所”と”歯科診療所”の3つに分かれていまして、 20床以上(入院用のベッドを”床”という単位で数えます )あると”病院”と呼び、20床未満だと”診療所”と呼びます( いわゆるクリニックや開業医です)。日本全国で病院が8,500施設、診療所が10万施設、歯科診療所が7万施設程度あります。

いわゆるランキングが最も活発な飲食業の店舗が日本に40万店舗以上あることを考えると、病院は1万施設にも満たないのでそんなに選択肢としては多くないように見えます。ただ、ラーメン店は全国に1万7千店舗しかないのに、毎週のように新しいランキングを目にすることを考えると、やはり病院でも選択肢を絞るためにランキングが作られることは不思議ではありません。(さすがに例えば、日本で中国語の話せるクリニックランキングなんてものは数が少なすぎてありませんね)

そして、 病院のいい悪いというのは非常にわかりづらいです。また詳しくは別の機会に述べますが、やはり「医療の質」というものが患者さん側からは受診してもまずわからないということと、ラーメン店のようにいくつも病院を受診してみて比較するということが難しいこと、などが大きな理由としてあります。

そのため、どうしても周りの人のお勧めや、専門家の意見、テレビ、病院ランキングなどを参考に受診先を決めるしかないのが現状です。

 

病院ランキングの3つの方法

それではそもそも病院ランキングとはどのようなものがあるのでしょうか。少しグーグルで「病院」+「ランキング」などで検索してみると、実にいろいろなサイトや本・雑誌がヒットして、そのランキングの付け方も多様であることがわかります。まずここでは大きく3つにわけて概要を説明いたします。

  1. 手術数(入院患者数)ランキング

これは非常にシンプルで、「手術数」もしくは「入院患者数」の多い順にいい病院とする方式です。考え方としては、1時間並んでまで食べたいコッペパンはきっとおいしいに違いない、という感じです。ここで「手術数」もしくは「入院患者数」としているのは、がんのように手術するような病気であれば手術数でいいのですが、肝炎や白血病などのように手術をしない病気ももちろんあるため、そのような場合では手術数に相当するものとして入院患者数を用いるからです。

この方式を用いている代表的なものとしては、朝日新聞社の「手術数でわかるいい病院」やウェブサイトの「病院情報局」というサイトなどがあります。

手術数(入院患者数)ランキングのいいところは、いくつかあります。まず1つ目はやはりシンプルで最もわかりやすい点です。手術数が多いということは、それだけ患者さんが集まってきているということ、患者さんが集まってきているということは、それだけ地域でのその病院の評判が高いということです。大きな病院の場合には、患者さんが直接来院する場合もあれば、クリニックからの紹介状を持ってくる場合も多いので、手術数が多いということは、患者さんからの信頼ももちろんのこと、周りのクリニック・開業医からの信頼も厚い、ということになります。

そして、2点目は、多くの病院の手術数情報が得やすいことです。

日本の病院には DPC(診断群分類包括評価)という仕組みがあります。これは薬を使ったら使った分だけ治療費として請求できる出来高方式ではなくて、どれだけ薬を使おうが各病気に応じて治療費があらかじめ定められているという医療費の決め方です(それにより、病院側の薬の無駄遣いなどを防ぎ、医療費を抑えるというのが狙いです)。

DPCに対応している病院は、毎年厚労省にどんな病気で年間何人入院したかを報告する義務があります(ちなみにDPCを取り入れている病院は、病床数の割合でいうと50%超あります)。そして毎年それらの病院から集められた入院患者数などの統計データは、厚労省のウェブサイト上で一般公開されていますので、非常に精度の高い情報を簡単に得ることができます 。これを手術数の多い順に並べることでランキングがすぐにできあがります。

手術数を病院へのアンケートで独自に集めている出版社もあります。その場合は全国の大きい病院に一斉にアンケートを投げて、返ってきた数字を掲載するという形になります。その場合はDPCに参加していない病院の情報も得られる一方で、返事を返してくれない病院がほとんどなので、ランキングの母数となる病院は一部に限られます。

3つ目のよい点は、手術数(入院患者数)ランキングの場合は、次の2つの方法と違ってランキングが病気別に出されるという点です。単純に全ての手術数の合計でランキングにしてしまうと、白内障手術のような時間が短くて済む手術を山ほどやっている病院が日本トップになってしまいかねないので、病気別にするのは当然と言えば当然なのですが。ですので、ランキングも胃がん手術のランキング、冠動脈バイパス手術のランキングというように病気や治療法別のランキングになり、より詳細で患者さんの探したい情報に沿った情報になります。

 

  1. 口コミランキング(口コミサイト)

そして2つめは口コミによるランキングです。こちらはウェブサイトでよくあるランキングなのでみなさん馴染みが深いと思います。飲食であれば「食べログ」、化粧品であれば「@コスメ」、不動産であれば「マンションノート」、などなど様々な業界で使われているランキング方法(評価方法)です。

他業界では「ユーザー」による評価になりますが、病院の場合はもちろん受診した「患者さん」による評価になります。代表的な口コミサイトとしては「いい病院ネット」や、ランキングではないですが「QLife」などがあります。

口コミのいい点としては、やはり実際に受診された方の感想なので、満足した点や不満な点など、受診する前に知っておきたい有益な情報が多いというところでしょう。口コミを書かれているのが自分と同じような患者さんであるために、気になるポイントがほぼ同じで、待ち時間の短さや医師・看護師の対応の良さなど、本当に欲しい情報、かつ、受診しないとわからない情報を得ることができます。

また、偏った意見や少し感情的な口コミも一部含まれることもありますが、基本的には多くの方の評価の平均値になるために、それほど違和感がうまれにくいです。一部の方が故意に評価を上げたり下げたりしたとしても、他の方が正当に評価をすれば、平均的には実態に即した評価になるからです(もちろん口コミ数が少ない場合は別です)。そういう意味では一人の優れた専門家による独断のランキングよりも公平なものになりやすいかもしれません。

そのため、家の近所にどんなクリニックがあるかをグーグルで検索して、そのクリニックの口コミを確認して、受診しても大丈夫なところかどうかを確認してから受診するという方は多いのではないでしょうか。

 

  1. 独自の評価基準でのランキング

病院ランキング いい病院

最後の方式は、出版社などが定めたそれぞれ独自の評価基準でのランキングになります。 こちらが3つの中で最も複雑なやり方になります。先ほどあげた「手術数(入院患者数)」などを含む病院に関する5~15ほどの項目を、一定の基準でスコア化して、総合点でランキング付けするというものです。

こちらはランキングごとに全く評価基準が違うため、一概には語れません。ダイヤモンド社や東洋経済社など様々な出版社が独自の方法でランキングを出しています。多くのところで取り入れられている評価基準としては、「病院の患者数」や「専門医の数」などに加えて、「ベッド数に対する看護師の多さ」、「MRIやCTなど病院の設備の充実さ」などが含まれます。中には日経ビジネスの「病院経営力ランキング」などのように、「1日あたり患者単価」や「研修医の応募の倍率」などを基準として含め、病院経営の健全さをランキングしている、もはや患者さん向けなのか病院の従業員向けのランキングなのか、 独自路線のおもしろいものもあります。

こちらの独自の評価基準によるランキング、は各社ごとに用いている項目は違いますが、複数の項目を評価に使っていますので、手術数だけによるランキングよりも実態と大きくずれる可能性が少ないかもしれません。 ポイントとしては「患者数」にとどまらず、「病院としての体制」まで評価に含めているところにあります。

例えば、患者数や手術数はすごく多いが、専門医が通常よりもかなり少なく、数少ない医師がへろへろになりながら毎日大量の手術をこなしている、というような病院は、体制が追いついていないとして評価が下がりそうです(実際にそのようなところはあまりないと思いますが笑)。また看護師さんの人数を削りに削って、手術後のケアなどで手を抜いている病院なども評価がさがると思われます(こちらもあまり聞いたことはないですが)。

ですので、こちらのランキングで上位の病院は、一部のスター医師に頼った経営ではなく、病院全体として一定以上の基準を満たしている、より着実な病院といえるでしょう。

 

病院ランキングの7個の落とし穴!

それでは上で紹介した病院ランキングのやり方はどれが一番いいのでしょうか。病院を探す時にどの方法のランキングを見れば頼りになるのでしょうか。それを判断するためには、それぞれ特徴やいい点・悪い点がありますので、まずはそれを理解することが大事です。それを理解した上でランキングを「解釈する」のと、理解せずにランキングを「鵜呑みにする」のでは大きく違います。

これまでに3つの方法の特徴をお伝えしたので、ここではそれぞれの問題点や落とし穴を7個にまとめてご説明したいと思います。

①患者数(手術数)がわかる病院は一部だけ!

手術数もしくは入院患者数は、上で述べたように、DPCデータという国に報告するデータか、病院へのアンケートに基づくことが多いです。しかしこれらはまだまだデータとしては部分的で、食べログのようにすべての病院があますところなく網羅されている感はありません。

DPCに対応している病床(入院用のベッド)というのが50%超あると書きましたが、裏を返せば50%弱はDPCに対応していないということになります。そして、DPCに対応していない病院はそもそも入院患者数のデータが統計情報として公開されていないために、最初から手術数ランキングにでてこないことになります。

例えば、東京では山王病院や、心臓血管研究所付属病院などがDPCには対応しておらず、大阪では吹田徳洲会病院など、福岡だと博多心臓血管病院などが対応していません(2016年時点)。病院数でいうと500床以上の大病院でまだ4割弱がDPCに対応していないです。つまり4割の病院は手術数が多かろうと少なかろうとデータがないので、そもそもランキングにでてこないことになります。

また病院へのアンケートによる患者数調査も同様です。こちらもアンケートに答えていない病院はデータがないことになり、ランキングに載りません。出版社からのアンケートに対して、各病気や治療法ごとに1年間の手術数や入院患者数を数えて記載していく必要があるため、忙しい病院の事務の人が答えずにほっておくこともしばしばあります。それこそDPCの仕組みで機械的に患者数が集計できる病院はまだしも、そのような仕組みが入っていない病院ですと、各診療科の先生に、今年は胃がん手術は何件でしたか、虫垂炎手術は何件でしたか、と聞いて回る必要があるため、アンケートに答えるハードルはかなり高くなります。

実際に900病院にアンケートを投げて 有効回答が200病院というような記述も見られますので、こちらも最大でも40%程度のカバー率になりそうです。

ですので限られた中でのランキングであることは理解しておく必要があります。

 

②手術数が多くても治療法が偏っている可能性!

病院ランキング 治療法バランス

そして手術数だけからは見えてこないのが治療法のバランスです。ここも注意すべきポイントになります。

例えば胃がんの手術を年間500件やっている病院があったとします。胃がんの手術には実際にお腹を開けて手術する”開腹手術”と、お腹に小さい穴をいくつか開けてそこからカメラをいれて手術する“腹腔鏡手術”と、口から胃カメラをいれてお腹を開けずに手術する”内視鏡手術”とがあります。同じ年間500件でも、開腹手術400件、腹腔鏡手術50件、内視鏡手術50件、の病院と、開腹手術100件、腹腔鏡手術300件、内視鏡手術100件では大きく違います。腹腔鏡手術を受けるのであれば後者の病院の方が6倍行なっていますので圧倒的に良いでしょう。しかし全体の手術数からはこれが見えてきません。

医師は、患者さんがどちらの治療法をうけるかをかなりコントロールできますので、治療法がいくつかある時にその治療法のバランスは大事です。

例えば、みなさん飛行機の機内食をもらう時に「beef or fish?」みたいな質問をされたことがあると思います。機内にいかに肉好きの欧米人ばかりが乗っていようと、魚好きな日本人ばかりが乗っていようと、ベテランのキャビンアテンダントは人数分半分ずつしか搭載していないビーフとフィッシュの機内食を綺麗にちょうど使いきれるといいます。どちらかの減りが早い場合には、もう一方を少しだけ”推す”からです。例えばビーフの減りが早い場合には、「お魚には香ばしい餡がかかっています」「秋が旬の魚になります」など一言付け加えることでフィッシュに誘導して、減りが同じになるようにします。

少しずれましたが、胃がんの治療法も同じです。主治医に「あなたの状態では開腹手術がいいと思います」と言われれば、そちらを選ぶし、「腹腔鏡手術の方が傷が小さいのでいいでしょう」といわれればそちらを選ぶのは、医師と患者との知識の差を考えればしごく当然です。医師は自分の得意な治療法ややりたい治療法に誘導することができますので、時として治療法に偏りがでてしまうことがあります。そのため、病院の治療法のバランスを確認することは非常に重要です。

また前立腺がんなどは、治療法として”何もしない”という選択肢があります。なぜならばタイプによっては非常に足の遅いがんであるため、進行するのに数十年かかる場合があるからです。それであれば下手に手術や抗がん剤で体力を削るよりは、何もしないで経過を見た方がいいよねということです。また手術や抗がん剤を使うとしても日帰りでできてしまう場合があるので、その場合は入院患者数としてはカウントされません(DPCは入院患者数のデータなので日帰りの患者はカウントされません)。

一方例えば、全ての前立腺がんの患者さんに対して、入院で手術をしますという病院があったとすると、手術数は他の病院を圧倒して、ランキングの上位になりかねません。しかしそれが本当に正しい選択肢かどうかは疑問が残り、手術しなくてもいい患者さんを手術しているのではという疑惑の念が浮かびます。それを払拭するためにも、前立腺がんの患者さんをどれだけ診ていて、そのうちどれだけが手術を受けているか、放射線治療を受けているか、という確認は重要です。

なので手術数だけを頼りにすると、治療法が偏った病院を受診してしまう恐れがあります。

 

③大病院ほど手術数は多いだろうけど、医師1人あたりの手術数は!?

手術数による病院ランキングを見ると、聞いたことがある大学病院や総合病院が上位に来ています。これはある意味当たり前でして、病院が大きい方が受け入れられる患者さんの数が多いので、結果手術数も多くなるからです。

ただしそういう病院には医師の数も多いことに注意が必要です。特に大学病院は若手医師の教育や研究という目的も抱えているため、通常の病院よりも医師数が豊富になっています。実際に手術を担当する医師は一部なので、手術数を単純に全体の医師数でわってしまうのも乱暴といえば乱暴なのですが、1人あたりの手術数にするとランキングががらっと変わる可能性があります。

もちろん病院全体としてその手術数が多いということは、病棟や手術室の看護師さんがその病気に慣れるなどのメリットがありますので確実にプラスなのですが、それでも経験値の高くない医師にあたってしまうリスクというのはあります。

そのため病院全体の手術数だけではなく、「医師数」や「医師1人あたりの手術数」にも気をつける必要があります。

 

④口コミでは治療の質はわからない!

患者さんの口コミは非常に有用です。しかし、病院がレストランや不動産などと違うのは、患者さんの満足度と治療の質がかならずしも一致していないという点です。言い換えると、患者さんが満足したとしてもそれがいい治療とは限らない、患者さん側からはほぼ間違いなく治療の質がわからない、という点です。

確かに、あまり外来で待たなくて済んだ、先生が優しく話を聞いてくれた、というような満足感は大事ですし、それも必要と思うのですが、やはり病院は病気を治すところですので、治療の質を知ることが重要になります。しかしながら、風邪を引いた時にいろいろな病院を受診して比較してみるなんてことは通常しません。もちろん、がんの治療などはもっと頻度が少ないので、比較がさらに難しいでしょう。どこの病院はこの症状でどんな薬を出すぐらいなら比較することはできますが、どの病院を受診した時には何日ぐらいで治ったとか比較している人はまずいないでしょう、というか毎回全く同じ病気かどうかは誰にもわかりませんので、厳密には比較ができません。

よくある話としては、風邪の時の抗生物質を出すか出さないかという話があります。あの病院はPL顆粒で済ませるけど、あそこはフロモックス(抗生物質)まで出してくれる、みたいな話ですね。実際は、本当に風邪なら抗生物質は飲まない方がいいし(ウイルス性であれば抗生物質が効かないし、体内に変な抗生物質の耐性菌を作りかねないので)、風邪に似た症状だけど実は細菌による扁桃炎などであれば抗生物質を飲んだ方がいいでしょう。ただ自分がウイルス性なのか細菌性なのかなんて患者さんはもちろんわからないですし、医師もわからないことも多い(症状や診察からでは「ウイルス性が疑われる」ぐらいしかわかりません)ので、「とりあえず」」抗生物質を出してしまう医師も多いです。

病院ランキング いい病院

そうするとちゃんと風邪(感冒症候群)であることを診断していて、「とりあえず」を避けている優良な医師は抗生物質を処方しないので、「あそこは抗生物質もくれないところ」というネガティブな口コミになってしまいます。逆によくわからないけどばんばん抗生物質を処方する医師は「手厚い」として、いい口コミを得ることになってしまいます。

ですので、口コミは、患者サービス面の評価には非常に有用なのですが、治療の質に関していうとまず評価はできないと思われます。(心療内科などでは「対応の優しさ」なども治療の質に入るかもしれませんが、ここでは内科や外科での薬や手術での治療をイメージしています。)

 

⑤どうしても口コミにはサクラが、そして荒らしが

そして口コミといえば、どうしてもサクラの問題があります。こちらは説明も不要だと思いますが、いわゆる自作自演です。上で書いたように口コミが多数あればサクラの影響はもちろん小さくなるのですが、残念ながら、病院やクリニックはそもそもレストランよりも利用する回数が圧倒的に少ないので、口コミがたまりづらいです。日本では年間1人あたり平均13回ほど病院を受診するとのことですが、確かに外食の回数の方が、病院を受診する回数よりも多い方がほとんどでしょう。

そのため、病院の口コミ評価において、サクラ、もしくは逆に、荒らし(わざとネガティブな書き込みをする人)の影響は大きくなってしまいます。

 

⑥「計算方法が複雑なほどおれはお前が数字をいじっているとみなす!」?

これは昔私が上司に言われた言葉です。どういうことかといいますと、評価の計算が複雑になればなるほど、より多くの項目が計算に使われ、より多くの前提が必要になってくるため、計算結果を自由にいじりやすくなるということです。例えば、純粋に手術数が多い順に並べただけのランキングですと、そのランキングの順位を誰かが調整するのはほぼ不可能ですが、手術数と医師数と看護師数の3項目を総合評価したようなランキングの場合には、手術数の多いところを上位にするか医師数が多いところを上位にするかは、どれに重きをおくかですので、かなりランキングを自由に調整できてしまいます。

つまり、ランキングを見る際には最低限どのような評価項目が入っているかを理解する必要があるということです。例えば、先ほどの日経ビジネスの「病院経営力ランキング」ですと、「退院患者数シェア」「退院患者数増加率」「臨床研修競争率」「1床あたり収入」などが評価項目として入っています。これらの項目は説明をじっくり読めばどういう数字を計算したものかはわかりますが、その項目の意味するところを理解するのはなかなか難しいでしょう。理解できないままでは、このランキングを鵜呑みにしてあの病院の経営力は高い、というように思い込むのは危険ですので、日経ビジネスはこう考えているんだ、ふーん、ぐらいにとどめておくのが無難でしょう。

 

⑦ランキングと広告!?

最近食べログに関してニュースになりましたが、お金を払えば評価を上げるというようなランキングと広告がごちゃごちゃになってしまう問題があります。病院のランキングもやはり同様の問題を抱えていて、「何万円払えば雑誌の中に、優良病院として、広告枠とはわかりづらい形で載せます」、という話はよく耳にします。ものによっては純粋にいい病院として掲載されている病院よりも広告枠の病院の方が圧倒的に多いものもあります。

もちろんよく見れば小さく”広告”とか”Ad”とか書いてある場合もありますが、すみずみまでみてようやく気づくレベルなので、普通に目を通している方はまずそれが広告であると気づかないでしょう。であるので、しっかりとどれが広告かどれが広告でないかを見ながら情報を参考にしていく必要があります。

 

病院ランキングの正しい読みかた

ここまでに病院ランキングの3つの方法や、7つの問題点について書いてきましたが、それではどう病院ランキングとつきあえばいいのでしょうか。

病院に関する数字への詳しさやどこまで深く読み込みたいかというところで、初級者、中級者、上級者の3段階にわけて、オススメの読み方を書いてみたいと思います。

病院ランキング 読み方

【初級者】

ポイントとしては2つです。

まずは「最新のランキングをみること」です。医師がその病院を退職していることがあるからです。入退職が多い病院ですと、毎年1/4~1/3ぐらいの医師が入れ替わります。その病気の治療の核となる医師がいなくなってしまうことで、その病院におけるその病気の患者数が一気に減ることがあります。逆に、その核となる医師が新しく入ってきた病院はその病気に対して、”強く”なります。

雑誌や書籍は基本的には毎年新しいものが出版されていますので、古いものを参考にするのではなく最新版を手にしましょう。ウェブサイト情報もなるべく新しい情報が載っているかどうかを気にしましょう。ウェブサイトの場合ははっきりと書いていない場合が多いのですが、サイトの雰囲気や、一番下に最後にアップデートした年などがかいてあることがありますので、そちらを参考にしましょう。

そして2つめは、「広告として掲載されている病院は除くこと」です。当たり前ですが純粋には掲載されていないからです。そして、広告として載っている病院は最新鋭の治療や医療機器などにスポットがあたり取り上げられていることが多いのですが、必ずしも最新鋭の治療が優れているとは限らないからです。確実に優れていることが証明されている治療であれば全ての病院が取り入れるはずですが、最新鋭の治療はまだそうなってはなく、ほとんどの場合はまだこれまでの治療法よりもいいかどうかの結果がはっきりしない治療になります。広告を見分ける方法は先ほども書いた通り、ページのどこかに”広告掲載“などといった文字が入っているのでそれをみつけることです。ただ、広告を広告と気づかせないように自然に掲載するのが、出版社の仕事でもあるので、かなり気をつけないとわかりません。

【中級者】

上記のポイントに加えて、どんなランキングであれ、「その病気での手術数」もしくは「患者数」を見ましょう。こちらも先ほど述べたように、患者数は、患者さんや周りのクリニックからの信頼を表しているからです。手術数の多い病院の中には、簡単な手術ばっかりやっている病院、患者集めだけうまい病院が入ったりするよね、という方もいると思いますが、そんな表面的な努力だけでは患者さんは集まってきません。何かしら医療者も信頼するようなポイントがあるから、患者さんを紹介しているのです。

また、患者数の多い病院は医師が経験豊富というだけでなく、病棟のスタッフも同じ病気の患者さんを数多く見ているので、患者さんに何か異変があれば気付きやすいです。また手術の後にどういう変化が起きるかを把握しているので、手術前の説明などもわかりやすくなり、安心感があります。

“手術数でわかる””実績でわかる”などの病院ランキングはもちろん、ほとんどのランキングでは手術数を項目として取り入れていますので、ランキングそのものにはとらわれずに、手術数の数字だけを参考にしましょう。先ほどDPCに対応していないために、そもそもランキングに載っていない病院も多数あると書きましたが、家のそばで気になる病院、評判のいい病院などがありましたら、その病院のホームページをみてみるのもいいでしょう。かなりじっくりみないとわからない場合が多いですが、多くの病院は診療実績として、その病気の手術数や入院患者数を掲載しています。その数字と雑誌に載っている病院の数字と比較してみるといいと思います。

【上級者】

上級者向けとしては、やはり患者数だけではなく、「治療法のバランス」を見るべきでしょう。そのためにはまず、そもそもその病気に対してどのような治療法があるかを知っておく必要がありますので、ネットや書籍でその病気の勉強をしましょう。どんな治療なのか、それぞれどういうメリット・デメリットがあって、どういう患者さんに適当がある治療なのか、というところを押さえましょう。ネットなどをみてもよくわからない場合には、かかりつけ医や診断を受けた病院で各治療法に関して相談して見るのもいいでしょう。

手術、薬物療法、放射線治療、経過観察、などの治療法をおおまかに理解したら、 雑誌や病院のホームページで、各病院のそれぞれの患者数の割合を確認します。雑誌や病院ホームページによっては、その病気の患者数だけをばっくりと載せていて、内訳を載せていない場合も多いですが、そういうものは一旦無視して詳細にかいていあるものだけを参考にしましょう。

各病院における治療法のバランスを見ていると、病院ごとの特性が見えてくると思います。あきらかに腹腔鏡手術に偏っている病院、通常の開腹手術に偏っている病院、まんべんなく行なっている病院、などなど 。自分の受けたい治療法がそもそも固まっている方は、純粋にその治療法が多い病院を受診されるといいと思いますが、とくに自分の受けたい治療法が固まっていない方は、治療法の内訳のバランスがとれている病院を受診するのがよいでしょう。バランスがとれている病院は、特に何らかの治療法に誘導するということはせずに、患者さんの状態をみて決めていると思われるからです。

 

ちなみに病院ランキングの読み方の部分で病院の口コミに関して触れませんでしたが、口コミは病院選びにおいては補足的な情報であると考えます。”患者さんが選んだ!”というようなランキングも同様ですが、どうしても患者さん側からは医療の質は判断できませんので、あくまでも待ち時間や対応の良さなどの患者サービス面を評価しているものとして参考にするのがいいでしょう。

 

おわりに

ここまで病院ランキングに関してみてきましたが、いかがだったでしょうか。私としては、様々な病院ランキングがここ10年ほどで出てきたということは、患者さんが受診先を選ぶためにそういう情報を求め始めており、病院側もそれに答えようと情報を提供し始めた、といういい流れだと思っています。今後も患者さんは積極的に自身の医療に参加していくべきだと思いますし、それに対して、患者さんが全く迷わずに最適な受診先にたどりつけるような仕組みを提供していきたいと思っています。

「どの名医に治療をお願いすればよいのかわからない!」とお悩みの方には、クリンタルの名医紹介サービスをお勧めしています。クリンタルが独自に厳選した「2,500人の有数の専門医」「30,000人の街の名医」の中から、あなたの病気/症状やご希望を考慮して、クリンタルの医師が最適な名医をご紹介します

クリンタルの名医紹介サービス