疲れてくるとまぶたがピクピクする…これってどうしたら治るの?

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[投稿日] '16/11/24 [最終更新日] '18/03/18 1,807views
疲れてくるとまぶたがピクピクする…これってどうしたら治るの?

まぶたがピクピクして気になる…という経験は誰でもあるでしょう。鏡で見ると、まぶたの一部が時々わずかにピクピク動いています。疲れているだけなのでしょうか。それとも思いがけない病気が隠れていたりするのでしょうか。まぶたがピクピクするという症状について分かりやすくご説明しましょう。

 

まぶたがピクピクして止まらないときのチェックポイント

まぶたがピクピクしている時、目の周りを鏡で見るとまぶたの一部が小刻みに震えていたり、まぶたが実際にピクっと動くのが確認できるかもしれません。まぶたがピクピクするとまぶたの不快感や違和感、場合によっては痛みを感じることもあります。まぶたがピクピクする症状が起きた時に確認しておきたいのは次の点です。病院に行って診てもらうときに、こういったポイントが診断に際して確認されることがあるので、できるだけ自分でも振り返って覚えておくとよいでしょう。

  • まぶたがピクピクする場所・範囲はどこ?片側だけそれとも両側?
  • まぶたがピクピクするときに痛みはある?
  • まぶたがピクピクするはいつから?またどんな時に起きやすい?寝ている時は?
  • まぶたがピクピクするのがどれぐらい続く?頻度は?
  • ほかに気になる症状はある?

 

そもそもまぶたがピクピクするのはなぜ?

まぶたは目を挟んで上まぶたと下まぶたで構成されています。まぶたは眠っている時以外、まばたきにより常に動いています。まばたきは1分間に15~20回のペースで行われ、意識的に動かすことも可能ですが、そのほとんどは無意識に行われています。

こういった無意識下でのまばたきとは別に、筋肉が自分の意思に関係なく収縮することを「痙攣(けいれん)」と呼びますが、まぶたが突然勝手にピクピクする場合も痙攣と呼ぶことができます。ですから、まぶたがピクピクするというのは、目の周りの筋肉に収縮が起きている状態で「まぶたが痙攣している」と言い換えることもできます。

この目の周りの筋肉というのは、まばたきの動きを作り出している、まぶたの下に隠れている「眼輪筋(がんりんきん)」という筋肉です。まぶたの内側には、目の上下左右を取り囲むように眼輪筋が輪状に広がっていて、上まぶたも下まぶたもこの眼輪筋により動いています。

眼輪筋の筋肉疲労

筋肉が痙攣を起こす理由として考えられるのは、筋肉の疲労です。筋肉は神経からの命令によりコントロールされています。筋肉の働きは、カルシウムやマグネシウムなど電解質のバランスを保つことで維持されていますが、筋肉が疲労すると電解質のバランスが乱れ神経からの命令がうまく伝わらず、筋肉が急に勝手に収縮します。眼輪筋はまばたきにより休みなく働いていますから、疲労しやすい筋肉と言えます。

脳からの神経の伝達の問題

脳神経とまぶたの痙攣には深い関係があります。眼輪筋は顔面神経により支配されていますが、顔面神経は脳神経の一部です。脳神経→顔面神経→眼輪筋の順で指令が伝わりますが、脳神経の指令自体に問題が生じて眼輪筋が収縮した状態になることがあります。

まぶたのコリやむくみ

筋肉のコリや皮膚のむくみも筋肉が痙攣を起こす原因となります。コリやむくみが神経を圧迫し、筋肉の収縮を起こし、痙攣につながっていると言われています。

筋肉のコリというのは、筋肉が収縮して硬くなり弛緩しにくい(伸びにくい)状態を指します。ですからまぶたのコリというのは、何らかの理由により眼輪筋が収縮し動きが悪くなった状態です。また、眼輪筋の外側には脂肪や皮膚が覆いかぶさり、何かの原因で水分が皮下(皮膚の下の組織)に溜まると、まぶたのむくみとして現れます。

健康な人にも起きる眼瞼ミオキア

健康な人にも起こり得る眼輪筋の痙攣を「眼瞼ミオキア」または「眼瞼波動症(がんけんはどうしょう)」と呼びます。眼瞼ミオキアは、睡眠不足・疲労・精神的ストレスが原因で、一時的にまぶたの一部がピクピク痙攣する・虫が這うように動く症状です。病気ではないので、休息をとり数日から長くても数週間のうちにまぶたの痙攣する症状が治まれば、治療の必要はありません。

筋肉疲労・コリ・浮腫みの原因となる生活習慣として、以下のようなものが挙げられます。休息を取るときにも、以下のような原因をできるだけ生活から遠ざけるように意識されると良いと思います。

  • 疲労・ストレス
  • 睡眠不足
  • パソコンの使い過ぎ
  • お酒の飲み過ぎ

 

まぶたがピクピクする原因としてはどういう病気が考えられる?

まぶたがピクピク痙攣するのは、病気が原因で起きる場合もあります。また、必ずしも、目やまぶたの病気が原因というわけではなく、思いがけない病気が隠れているケースもあります。下記に、まぶたがピクピクする症状を起こす可能性のある病気をご紹介します。

眼科 老眼

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)

眼瞼痙攣は、40~50歳代の女性に多く発症する病気です。眼瞼痙攣とは、まぶたの痙攣という意味です。眼瞼痙攣の原因は脳神経からの誤った命令が顔面神経を通して眼輪筋に伝わり眼輪筋が過度に収縮したままになるためで、目が閉じにくい状態になります。原因は、脳腫瘍や耳下腺腫瘍などによる神経の圧迫や、神経の働きをコントロールする薬物(安定剤や向精神薬)の影響や精神的ストレスです。

眼瞼痙攣になると、主な症状は目が開けにくいことで、両目に症状が出ることが多くドライアイやうつ病の症状と間違われやすいようです。なお、まぶたのピクピクも症状なのですが、眼瞼痙攣のかたが必ずピクピクするわけではないので注意が必要です。主な症状は次のとおりで、訴えの多い順に並べています。(日本眼科学会参照)

  1. 目を開けているとまぶしい
  2. を開けにくい/開けているのがつらい(目を開けていると痛い)
  3. 目が乾く
  4. 目が自然に閉じてしまう
  5. 目の違和感。ごろごろする
  6. うつ向いていると楽
  7. まぶたが垂れる
  8. まばたきが多くなった
  9. 片目だけ閉じてしまう
  10. まぶたを手で開けないと開かない
  11. 眉間にしわが寄る
  12. 上下のまぶたがピクピク動く

顔面痙攣

顔面痙攣は40代以上の女性に好発します。原因は、顔面神経が血管や血管瘤(血管にできたこぶ)と接触し圧迫すると、顔面神経により支配されている眼輪筋の動きに影響を及ぼすためです。

顔面痙攣はほとんどの場合、左右のどちらか片側にのみ症状が出るので片側顔面痙攣とも呼ばれます。初期にはまぶたの周囲のみに症状が出ますが、口元やあごにも痙攣が広がります。顔面痙攣の症状の特徴を下記にピックアップしました。

  • 右側か左側のどちらか一方に症状がある
  • 痛みがない
  • 上下のまぶたがピクピクする
  • 口の周りや頬の辺りがピクピクする
  • 顔の筋肉を動かしている時、緊張した時にまぶたのピクピクが出やすい
  • 眠っている時にもまぶたや顔のピクピクがある
  • 耳鳴りがする

チック症

チック症は、幼児や学童期の男児に好発する精神疾患の一つです。チック症は心理的または遺伝的な要因が指摘されていますが、はっきりした原因は不明です。この疾患の特徴は、無意識に身体の筋肉が動いてしまうことで、まぶたの筋肉(眼輪筋)も例外ではなく、不自然にまばたきしたり、まばたきが異常に多くなるなどの症状があります。

脳の病気が隠れている場合

まぶたがピクピクする場合に、脳神経や脳血管の病気が隠れている場合があります。この場合には緊急性があるケースもあり、他の症状と合わせて鑑別し適切な治療を受けることが必要です。

  • 多発性硬化症…症状の一つとして眼瞼ミオキア(まぶたのピクピク)が現れることがあります。
  • くも膜下出血…出血の前兆で、脳動脈瘤が神経を圧迫するためにまぶたが下がってくることがあります。
  • 脳腫瘍…腫瘍が脳神経を圧迫して顔面痙攣(まぶたのピクピク)を起こすことがあります。

まぶたピクピク

 

まぶたがピクピクするのはどれぐらいだと病院の受診が必要か

前述してきたように、まぶたのピクピクが病的なものではなく一時的なものである場合と病気が隠れていて治療が必要な場合とがあります。ほとんどの場合は一時的なもので様子を見ていて大丈夫なのですあ、病気が隠れている場合は、どんな場合で、何科を受診すればいいでしょうか。

まぶたがピクピクする場合に受診する目安は「休息しても症状が治まらない場合」や「他にも気になる症状がある場合」「症状が1カ月以上続く場合」などです。ただの疲労ではなく病気が隠れている場合には、早めの対応が肝心です。気になるときは、早めに受診しましょう。

受診すべき診療科は?

まぶたは眼科の領域なので、まず眼科を受診することができます。ただし、眼瞼痙攣を抑えるボトックス治療(ボツリヌス菌の毒素を定期的に眼瞼に注射する治療法)は神経内科やペインクリニックでも行いますし、顔面痙攣の外科的手術を神経外科で行うこともあります。

 

まぶたがピクピクする原因を調べるのにどういう検査をするか

症状だけでは診断が付きにくい場合やよく似た病気と鑑別するため、また症状の程度を知るために各種の検査を行うことがあります。

瞬目(しゅんもく)テスト

眼瞼痙攣になると、まばたきの強さや速さを自分では制御できなくなります。瞬目テストでは、軽いまばたき(軽瞬テスト)・速いまばたき(速瞬テスト)・強いまばたき(強瞬テスト)を医師の指示により行い、結果をを点数化して眼瞼痙攣の重症度を測ります。

筋電図(きんでんず)

まぶたの痙攣を確認するために行う検査で、眼輪筋の収縮の程度を調べます。眼瞼ミオキアの場合、筋電図に特有の波形が現れます。

ポジトロンCT

脳の糖代謝測定のことで、薬剤を注射して体内から出る放射腺を計測し断層画像にする検査です。脳の糖代謝に異常があると、眼瞼痙攣を起こすことがあります。

MRI/CT

顔面痙攣は、MRIで脳の血管と顔面神経が近接しているのが確認できる場合があります。また、脳のCTで脳腫瘍の有無を確認することもあります。

 

まぶたがピクピクしたときに自分でできる対処法

まぶたがピクピクしたら、まずどうするべきでしょうか。疲れによるものか病的なものかを見分けるため、受診する前に自分で行うことのできる対処方法をご紹介します。

  • 作業を中断する…パソコンの画面やスマホ・テレビ・本なども見るのを控え、目を休ませます。
  • 睡眠をとる…6~7時間以上睡眠をとって目の筋肉を休ませます。眠ると眼球が上方向に向くので、筋肉がリラックスします。
  • 遠くを見る…遠くを見るとことで、眼球が動き、収縮した眼輪筋をリラックスさせることができます。
  • 目をマッサージする…目を適度に揉んで、筋肉の緊張をほぐします。
  • 目を温める…蒸しタオルなどで目の周りを温めて血行を良くすると硬くなった目の周りの筋肉が柔らかくなり、緊張が取れます。

 

まぶたがピクピクしないようにするには

目を疲れさせない

目の疲労は、まぶたがピクピクする原因になります。パソコンを使って仕事をしている方は、目の疲れだけでなく精神的な疲労も蓄積します。パソコンを用いた連続作業は1時間以内にし疲れを感じる前に1~2回の小休止をとりましょう。また作業と作業の間は15分以上のパソコンから目を離して休息をとりましょう。またスマホを見る時間もセーブして、普段から目に疲れを溜めないように意識することが大切です。

ストレスを溜めない

眼瞼痙攣でまぶたがピクピクする背景には、精神的ストレスが隠れていることが多いようです。特に女性はストレスの影響を受けやすいため注意が必要です。日々のストレスをうまく解消する方法として、身体の休息と心の休息の両方を意識してみましょう。軽い汗をかく有酸素運動をする・だれかと話したり食事をする・趣味や娯楽を楽しむまたは集中する・適宜気分転換を取り入れることなどは役に立ちます。

高血圧や高脂血症の管理を

まぶたがピクピクする原因の一つである顔面痙攣は、高血圧や高脂血症など動脈硬化(動脈が弾力を失い硬くなる状態)を引き起こす生活習慣病をもつ人に好発することが、最近のデーターで分かってきたようです。顔面痙攣は中年になって発症することが多い病気ですが、30代のうちから生活習慣病の予防に取り組むことで予防できます。

 

 

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