血液検査の項目のCRPが高いときにはどんな疾患が疑われる?

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[投稿日] '16/10/22 [最終更新日] '18/03/02 98,770views
血液検査の項目のCRPが高いときにはどんな疾患が疑われる?

健康診断の項目の1つに「CRP」という項目があります。CRPは炎症マーカーの1つで、体の中の状態を知る上で医師にとっても、あなたにとっても非常に大事な指標です。

CRPは血液検査で調べられる値ですが、身体に異常があるとCRPの値が高くなります。では、「CRPが高い」とはどういう状態か、どんな病気が潜んでいるのか、どういう対策をしたらいいのかをあなたはご存知でしょうか。今回はCRPについて詳しくご説明したいと思います。

 

CRPとは体の中で炎症が可能性を調べる検査値

CRPとはC-reactive proteinの略でC反応性タンパクのことです。このC反応性タンパクは、体の中で炎症や組織の破壊がおきているときに血液中に現れるタンパクです。つまり血液中のCRPの値を調べることで「体のどこかに炎症がある」「組織破壊がおきている」といったことが内視鏡などで直接確認しなくても血液検査だけで分かってしまうのです。

さらにCRPは体内で炎症が始まって24時間以内に急増するという特徴ももっているので炎症の早期診断にも役立ちます。逆に炎症が治まるとCRPは最長でも2~3日で減少します。

通常、私たちの体は、痛みなどの症状が無い限り、体の中の炎症には気づかないと思います。しかし、炎症が持続することで細胞内の遺伝子が傷つき、それが引き金となってガンをもたらこともあります。つまり、CRPの値を調べることで、体内の炎症の有無、炎症期間の目安、病気の可能性の有無、疾患がある場合の重症度などを探ることができるのです。

参考:http://www.jaclap.org/labo/labo_no404.pdf

 

CRPの正常値は0.3 mg/dl以下

CRPの測定方法についてご説明します。CRPの検査を行うには、採取した血液に、CRPと結合する試薬を添加します。一定時間の経過後、CRPと結合した白い沈殿物を装置にかけて、光を通して量を定量(数値化)します。

CRPの値の基準値は以下の通りです。

  • 正常値 0.3 mg/dl以下
  • 軽度の炎症が疑われる 0.4~0.9 mg/dl
  • 中程度の炎症が疑われる 1.0~2.0 mg/dl
  • 中程度以上の炎症が疑われる 2.0~15.0 mg/dl
  • 重大な疾患が疑われる 15.0~20.0 mg/dl

ここで注意して頂きたいのがCRPの値には、影響する因子が多いということです。少し正常値を超えたからといって慌てる必要はありません。ケガをしているとき、風邪をひいているときもCRPは高くなります。

しかし、ケガや風邪などの自覚がない状態でCRP値が2mg/dlを超えるような場合は、何かしらの疾患を疑った方がよいでしょう。

 

CRPが高いことが判明したらどのような病気を疑ったらよいのか

CRPは体の中の炎症により値が高くなりますので、考えられる病気は、非常に多くなります。CRPが高いというだけでは、ほとんどすべての病気の可能性が存在するため、特定の病気だ、と断定することはできません。

ただ、割合としては、細菌感染症、ウイルス感染症がほとんどで、その他にも、がん、関節リウマチや全身性エリテマトーデスといった膠原病などがあります。

細菌性感染症には、肺炎、細菌性胃腸炎をはじめ、結核やマイコプラズマ、クラミジア、などがあります。ウイルス性感染症では、感冒、ウイルス性胃腸炎、インフルエンザやウイルス性肝炎、小児に多い手足口病、プール熱などがあります。ウイルス性感染症でも細菌性感染症でもなく、CRPが高い場合はがん、自己免疫疾患などその他の病気が考えられます。

CRP高い

 

CRPが高いときに原因を特定するには様々な検査が必要

ではCRPが高い場合には、次にどのような検査をすればよいのでしょうか。上で記載したように非常に多くの疾患の可能性があるので、CRP以外の検査の値や咳や下痢などの症状に基づいて、どの病気の可能性が高いかを検討します。それによりいくつかの病気に絞った上で、どれであるかを鑑別するのに必要な検査を行うという流れになります。

例えば、発熱を伴い、咳や下痢などの症状がある場合には、ウイルス感染や細菌感染の可能性が高いといえます。血液検査で肝臓の数値がウイルスや菌を特定する検査を行い、抗生物質などを使って治療します。発熱および関節の変形・痛みなどを伴っている場合は関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病の可能性があります。膠原病は自己免疫疾患であり、自分の組織を攻撃する抗体が体内で大量につくられます。よってこの自己抗体の量を血液検査で測定することでこれらの病気かどうか判断します。

がんはCRPというよりは画像検査で発見される場合が多いです。ですので、健康診断で血液検査と同時に行われる胸部X線や、人間ドックで行われる内視鏡、CTスキャンなどの検査を参考にします。その他の検査方法としては、PET、MRI、エコーなどの画像検査や、生化学検査とよばれる血液や尿を採取してその中に存在する化学物質からがんを判定する検査、がんがうたがわれる組織をまで幅広く方法があります。

 

CRPが高いときはかかりつけ医で原因を探りましょう

前述した通り、CRPが高いと様々な病気の可能性があります。その際に受診するべき診療科は、どこなのか、と迷われるかもしれませんが、まずは近くの内科のクリニックで診てもらうのがよいと思います。

おそらくCRPが高い場合には、多くの場合に何かしらの症状があると思いますので、その症状に従って受診されるのが一番良いでしょう。咳など呼吸器の症状があるなら呼吸器内科、下痢など消化器の症状があるなら消化器内科、関節に症状があるなら整形外科、という感じです。これらが原因でCRPが高くなっているのであれば、適切に治療を受けて症状が軽減されれば、それに従ってCRPも低下していくでしょう。

しかし、レントゲンやさらなる追加検査を受けても原因がわからず、CRPが何週間も高い状態が続くようであれば、自己免疫疾患、がんの可能性も疑い、詳しく検査するために総合病院で診てもらう方がよいでしょう。より詳しく原因を探るために、CTやMRIといった画像検査や、膠原病を特定するための抗体検査を受けることをオススメします。

早期発見、早期治療が予後のためにも大切です。

 

CRPが一度高くなったら下がるまできちんと治療!

CRPが高いことがわかり、検査の結果、なんらかの疾患が見つかり治療が始まったとします。そこで安心してはいけません。治療が進み、症状が良くなってきたりしたタイミングで、もう一度CRPを測定し、きちんと正常値に下がるまでは油断しないようにしましょう。

例えば、肺炎ということで抗生剤を処方されても、CRPが1週間たっても下がっていないようであれば、抗生剤の効果が薄いということです。

CRPは炎症が治るとすぐに下がりますので、治療を続けてもCRPの値が「変わらない」あるいは「上がっている」場合には治療の効果がない、または診断が間違っている可能性もあります。その場合には、抗生剤を変える、追加の検査を行うなどが必要になってきます。

CRP高い

 

CRPの値で心筋梗塞の予測の可能性も?

心筋梗塞は国民病とも呼ばれ、3大疾病の1つに含まれています。この心筋梗塞が、CRPの値を測定することで心筋梗塞になるリスクが予測できるのではないかということが考えられています。2001年Dr. Ridker PMの研究結果によると、健康な中高年のうち、「CRPが高い人の方が心臓血管系疾患になるリスクが高い」というデータが得られています。

持続的に血管内で炎症が起きていると血管が傷つき、それが動脈硬化(血管がもろくなること。血の流れが悪くなり、血栓が血管をふさぐと心筋梗塞になる)を引き起こしてやがて心筋梗塞をもたらします。つまり、定期的にCRPを測定し、値を把握することで心筋梗塞のリスクが把握できるということです。(ただしその場合には高精度のCRP測定が必要となります)

このように、持続的な炎症は心筋梗塞やがんなどの疾患につながっている可能性があるということです。特に理由が思い当たらないのにもかかわらず常にCRPが高い人は、何か検査で発見できていない疾患があるか、もしくは心筋梗塞になりやすい体質である可能性も否定できないということになりますので、頭のすみに記憶しておいたほうがよいかもしれません。

 

健康診断時にCRPを確認しておきましょう

CRPという血液検査項目が体の状態を把握するのにいかに有用であるかということがお分かりいただけたでしょうか。CRPは炎症マーカーとして、体内の感染、重大疾患の有無、重症度などを示す大変簡易で便利な検査項目です。そのため健康診断の項目にも必ずCRPの値が表記されています。自分の値がどのくらいなのかを把握しておくとCRPが上がったときに分かりやすいと思います。

CRPが高い場合は、ウイルス性感染症、細菌性感染症、がん、自己免疫疾患の可能性を疑い、詳しく検査してもらいましょう。そしてCRP値が高くなっている原因を突き止め、値が下がるまで適切な治療を続けることが必要です。CRP値が常に正常値よりも高めの結果になる人は心筋梗塞になりやすい可能性も否定できないので、常に意識して食事、運動を含めた生活習慣を見直し、予防することが大切です。

 

 

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