超音波検査(エコー)で異常な影あり、って言われたら…

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[投稿日] '16/10/17 [最終更新日] '18/01/19 5,341views
超音波検査(エコー)で異常な影あり、って言われたら…

超音波検査(エコー)で、異常な影ありと言われたときの意味とは?

超音波検査は、患者さんに直接超音波を当てながら検査を行います。そのため、検査中も一緒に画像を見ることができますが、専門的な知識がないとどれが正常でどれが異常なのかもわかりませんし、異常な影が何を意味しているかもわからず、不安になってしまいますよね。

そこで、超音波検査にて異常な影がある、と言われた場合の意味合いについて、解説していきましょう。

 

超音波検査(エコー)とは?

超音波検査とは、対象物に超音波を当て、その反響を画像に移し、対象物の状態を見る検査です。CTやレントゲンと違い放射線を使わないので、妊婦さんなど放射線を使えない患者さんでも行うことができます。また、患者さんに対し痛みや苦痛はほとんど与えずに検査を行うことができるので、多くの診療科で行われています。他の検査と比べ、様々な部位に対して検査を行うことができるので、対象となる臓器や部位も多岐にわたります。消化器系の臓器を見る場合は「腹部エコー」、心臓を見る「心エコー」、足の静脈を見る「下肢静脈エコー」など、それぞれの診療科に応じて超音波検査の名前も若干変わります。

 

超音波検査(エコー)の方法

超音波検査は、通常横になった状態で行います。検査する部位を露出し、検査する部位よりもやや広範囲にゼリーを塗ります。このゼリーは超音波の機器と検査する体の間に空気が入ると正しい画像が映し出されないため、空気を遮断するために使われます。

画像をより鮮明に見るために、検査時に身体を多少押されることもあります。痛みや押されることによって苦痛がある場合には、遠慮なくその旨を検査技師へ伝えましょう。対象物によって検査にかかる時間は変わりますが、おおよそ15分から長くても30分ほどで済みます。

 

超音波検査(エコー)の注意点

超音波検査を受ける際は、検査する部位を露出する必要があるため、脱ぎやすい服装を着ていく必要があります。病院によっては、事前に検査着に着替えてから検査を行うところもあります。広範囲にわたってエコー検査を行う場合、ゼリーを多く塗布することになり、衣服に付着することもありますので、ある程度汚れても良い服装で受けるとよいでしょう。

また、超音波検査の中でも腹部エコーを受ける場合には、基本的に検査前は食事を抜いて行う必要があります。これは、食事内容がそのままエコーに移りこんでしまい、正しい検査ができないからです。糖尿病など持病があり、食事を抜くことで持病が悪化してしまう可能性がある場合などは、その旨を事前に病院へ伝えておくことが大切です。

 

超音波検査によってわかること

超音波検査は、対象物によってわかることも変わります。そのため、それぞれの超音波検査にてわかることを、超音波検査の中でも特に多く行われている検査を対象にして解説します。

腹部エコー

対象物は主に肝臓や膵臓、胆管や腎臓、膀胱などとなります。近年の技術向上により、本来は空気が多く見えにくいとされていた胃や腸などについても、エコーを通してある程度判別がつくようになりました。

超音波検査によって、それぞれの臓器の大きさや形状、腫瘤の有無や臓器内の血管の拡張や狭窄などをみることができます。
腹部エコーでは、他の検査では詳しく調べることが難しい肝臓や膵臓についても調べることができます。そのため、健康診断や人間ドッグなどでも、多く行われるようになってきました。

心エコー

心エコー

心エコー

心エコーは、心電図検査によって異常な波形が見られた場合、心臓の状態をより詳しく調べるために行われる検査です。心臓の検査は患者さんにとって負担が大きい検査が多いのですが、エコー検査は超音波を当てるだけで検査ができるため、心臓の検査の中でも初期に選択されやすい検査となっています。

心エコーは、大きく分けて「断層心エコー法」「Mモード心エコー法」「ドプラシ心エコー法」の三つがあります。これらのエコー方法を使い分け、心臓の大きさや心臓を形成している筋肉の厚さ、4つの部屋を分けている弁の動きなどを詳細に評価し、病気や異常の有無を調べます。

また、この分類とは別に、食道から心臓をエコー検査する「経食道心エコー」もあります。この方法は心臓の中でも裏側となる部分をより詳細に検査するために行なわれます。

頸動脈エコー

対象物は頸動脈という、首の動脈になります。動脈硬化の程度を調べるために行われる他、脳へ十分な血液が送られているかの評価のために行われることもあります。エコーによって、血管の柔軟さ、頸動脈のつまりや狭窄の有無、プラークというゴミがたまっていないかどうかを評価します。

下肢エコー

対象物は両足の静脈と動脈、二つの血管です。足の血管内に流れている血液量や狭窄の有無、血管につまりがないかどうかを評価します。災害時などで話題になる「エコノミークラス症候群」は、下肢エコーによって血の塊である血栓ができているかで判定されます。

 

超音波検査の検査結果後の診断

腹部エコー

腹部エコー

超音波検査を行うのは検査技師が多いのですが、検査技師から直接検査の結果を伝えることはできません。そのため、検査技師は画像をいくつかプリントアウトし、医師にその結果を伝えます。そして医師から検査結果を聞くことになります。

造影CTなど、画像をつなぎ合わせる必要がある検査の場合は、検査結果が出るまでに時間がかかりますが、超音波検査の場合には、検査結果がそのまますぐに出るので、検査からの診断に時間がかかる、ということはありません。

 

超音波検査は、どれくらい正確なの?

超音波検査では、対象物を超音波に当て、その反響を画像に移すことで検査を行います。超音波の性質上、水分を多く含む臓器や部位については音の反響がしやすいために正確な検査が行えます。一方で、胃や腸など中が空洞で空気を多く含んでいる臓器は音が通過しやすいために反響しづらく、正確な情報が得にくくなっています。空気の他にも、骨など硬いものは音を通さないために真っ白に映るため、結石などの判別には有効ですが、骨そのものの診断には向いていません。

また、超音波検査は行う医師、または検査技師の技量によって正確性が左右される検査であるといわれています。経験の浅い医師や検査技師がいきなり一人で超音波検査を行うということはありませんが、ベテランの方に比べると若い方は経験が少ない分、正確性にややかけるリスクもあります。

 

超音波検査にて異常な影がありと言われたら?

超音波検査は、対象物に超音波を当て、その反響を映像に移すことで行います。そのため、異常な影があるというのは、「本来ならばないはずのものが存在している」ということを意味しています。そこで、それぞれのエコーによる「異常な影」が表すものについて、解説していきます。

腹部エコー

腹部エコーでは、様々な消化器や泌尿器を対象としています。そのため、異常な影がどの部位に見えたかによっても変わりますが、「異常な影」と診断されるものは、おおよそ腫瘍やポリープ、炎症や結石などがあげられます。特に結石についてはエコーの中でも真っ白な丸状のものが画面上に写るため、専門的な知識がなくてもすぐにわかるかと思います。

心エコー

心エコーの場合は、主に血流や弁の動きなどを観察することを目的としています。お腹の赤ちゃんに対するエコー検査では「心臓に影」として診断されることもありますが、大人の心エコーにおいて「異常な影」として診断されることはほとんどありません。

頸動脈エコー

頸動脈エコーの場合、プラークというごみが血管の内部に張り付いている場合、それが影となってみえることがあります。この場合、プラークがたまりすぎると血管そのものを狭めてしまい、血液の流れを阻害してしまう恐れがあります。

下肢エコー

下肢エコーでは、血の塊である血栓がある場合、影となって現れます。
エコーによって血栓の大きさ、部位などを測定することができます。

 

異常な影があると言われたら、今後はどうすればいいの?

超音波検査で異常な影があるといわれた場合、より詳しい検査を行い、異常な影の正体を探る必要があります。ここでは、腹部の超音波検査において「異常な影」と言われた際についての流れについて、説明します。

腹部の超音波検査では、エコーだけでは影の種類が腫瘍によるものなのか、それともポリープなどによるものなのか特定することができません。そのため、異常な影が何を映しているのかを調べるために、精密検査を行います。

血液検査・腫瘍マーカー

異常な影が見られた臓器によっても変わりますが、簡単に検査ができてすぐに異常がわかるのが「血液検査」そして「腫瘍マーカー」です。血液検査にて、肝臓の値や貧血の有無などを調べることができます。また、腫瘍マーカーは血液から検査することができ、これらのマーカー値が異常値を示していると、悪性腫瘍が存在している可能性が極めて高くなります。

画像検査

異常な影が見られた特定の臓器を対象とし、より詳しく臓器の状態を見るために造影剤を使用した「CT」あるいは「造影CT」の画像診断を行います。造影CTの場合、CT検査の前に造影剤を注射することで検査を行います。造影剤によって一時的に血管が拡張し、手先が温かく感じることがあります。なお、造影CTの場合は検査での画像を組み合わせる必要があるため、検査から結果が出るまで加工に時間がかかり、超音波検査のようにすぐに結果はでません。

生検

異常な影が見られた部位について、直接針を刺し、細胞の一部を採取して検査するのが「生検」です。生検時には、超音波を行い、部署を確認しながら行います。生検によって疾患名を特定するだけでなく、治療方針などについてもある程度決めることができます。

 

まとめ

超音波検査は、検査中画像を見ることができますが、専門的な知識がないと「どれが影で、どれが正常か」といった反別が付きにくい検査でもあります。そのため、「異常な影がある」と診断されると自分ではどういった場所なのかわからず、不安が大きくなってしまいます。そんな時は、その不安を隠さずに医師へ直接伝えられることをお勧めします。医師に直接伝えにくい場合は、周囲の看護師にその旨を伝えると、看護師から医師へ相談してくれます。

医療を受ける際、一番大切なのは医師と患者の間の信頼関係です。異常な影、と言われて不安に思わない方はいません。自分が今不安に思っていること、そしてこれから先どういった検査や治療を行うのか、その都度医師にしっかり確認し、「不安を解決し、積極的に治療を受けられるように」することが大切です。

 

 

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