尿路結石の治療は名医が行うと、大きい石でも治療でき、成功率が高い!【クロアチア論文】

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[投稿日] '17/08/09 [最終更新日] '18/03/18 1,101views
尿路結石の治療は名医が行うと、大きい石でも治療でき、成功率が高い!【クロアチア論文】

尿路結石は摂取したシュウ酸と体内のカルシウムが腎臓で結合して出来る

腎臓では血液中の水分や不要な物質を濾過させ尿を生成しますが、左右の腎臓から膀胱へ尿を送り出す器官が尿管です。尿管は長さ約25~30cm・太さ5~10mmほどの大きさで、下記の3箇所で一部狭窄をしているのが特徴です。

  • 腎盂(じんう)尿管移行部:腎臓と尿管の接続部で腎臓の尿を集める部分
  • 血管総腸骨動脈交差部:腸骨と尿管が重なる部分
  • 尿管膀胱移行部:尿管と膀胱の接続部

コーヒーなどにも含有しているシュウ酸を多量に摂取し続けると、体内中のカルシウムと結合して腎臓で結石が出来ます。尿の排出に伴い、結石も腎臓から膀胱へ移動します。結石が7~8mm以上と大きい場合、排出過程にて尿管の狭窄部に引っ掛かってしまい、尿路結石を生じます。この尿路結石の大半は、腎盂尿管移行部での発症といわれています。

 

尿路結石の症状は、激痛や血尿

尿路結石の主な症状は、「激痛」「血尿」「結石の排出」です。結石により腎臓からの尿の流れが止められてしまうため、激痛を生じます。痛みは突然に感じ、痛みの度合いでは吐き気や嘔吐もみられます。また細菌に感染した場合、腎盂(じんう)腎炎(腎臓と尿管の接続部における炎症)が引き起こされ、悪寒や発熱を伴うこともあります。

なお腎臓に「腎結石」として留まっている場合、基本的に症状はありません。また結石が小さい場合、無症状のままに結石は尿管を通過して、自覚しないうちに尿とともに体外へ自然排出されます。

 

尿路結石は様々な方法で砕いて摘出します

治療が必要とされる結石でも、比較的小さい場合は自然排出での治療を試みます。具体的な治療方法は鎮痛剤・鎮けい薬(筋肉の収縮・緊張を緩和する薬剤)・結石形成抑制薬の使用と、水分摂取(1日2リットル以上)と運動療法の併用療法です。

結石が大きい場合は自然排出が望めないため、全身麻酔あるいは下半身麻酔を行ったうえで処置を行います。代表的な治療法は下記の3つです。

  • 体外衝撃波結石破砕術(ESWL):体外からレーザーをあて結石を砕き、尿との排出を促す
  • 経尿道的尿管砕石術(TUL):尿道から尿管鏡を挿入して結石を砕き、摘出する
  • 経皮的尿管結石除去手術(PNL):腎臓から尿管鏡を挿入して結石を砕き、摘出する

これらのレーザーや尿管鏡による治療を行えば、大半のケースで尿路結石と合わせて原因となる腎結石腎を一回で完全に除去することが可能です。

ですが、尿道を通すような治療法はやはり手術による合併症などが心配だと思います。出来るだけ治療の上手な先生にお願いをしたいものですが、どのような先生にお願いするとリスクの少ない治療を受けることができるのでしょうか。今回はそのような尿管鏡治療の名医に関する論文をご紹介します。

 

尿路結石治療の1つである尿管鏡治療の成功率と医師の治療実績の相関関係

今回の研究論文では、尿管鏡治療の成功率と医師の治療実績・技術との相関関係について検討されています。

「クリニカル・ホスピタルセンター・スプリト」(クロアチア南部スプリト)は、2001年から2009年に掛けてクリニックにて尿管結石の治療を受ける患者422人(男性234人、女性188人)を対象に、熟練医師(尿管鏡経験5年以上の医師)と尿管鏡経験の浅い医師の尿管鏡治療における成功率について対比調査を実施しました。

分析の結果、遠位尿路結石(膀胱付近の結石)における尿管鏡治療の成功率は、経験が豊富な熟練医師のグループは95%、経験が浅い医師のグループでは74%と示されました。中部尿路結石(腸骨に重なる部分の結石)の場合、経験が豊富な熟練医師のグループは治療成功率66%でしたが、経験が浅い医師のグループは38%と半減しており、治療成功率に大きな差が見られています。

またこの分析の際に、処置をした結石の大きさについても検討がされています。経験の浅い医師のグループあは平均7.1mm程度の結石へ処置を行っていましたが、経験が豊富な熟練医師は平均8.3mmの結石に処置を実施しており、1mm以上大きな結石を治療していました。

この結果を総合すると、経験の豊富な医師が処置を行えば、治療困難な患者であっても高い成功率で処置を行ってくれるため、治療のリスクが低くなるということが言えます。

 

尿路結石は、5年以上の経験を有する医師から治療を受けましょう

研究論文の結果より、尿路結石の尿管鏡治療における成功率は、医師の治療実績、専門知識・技術に影響を受けることが分かります。細い尿管内における尿管鏡の操作 (蛇行する尿管から腎臓までの挿入、レーザーによる結石の破砕、破砕した結石の摘出)は、少しの操作ミスにより尿管壁に穴が開いたり、尿管が裂けてしまうため、など尿管損傷が起こる危険性が高い、非常に繊細な治療といえます。

名医は技術水準が高く、治療実績も豊富であるため、尿管を損傷・破裂・断裂させる危険性が極めて低くなります。結石のサイズが大きい際には、なおのこと治療経験の豊富な医師にお願いをする方がいいと思います。尿管結石の尿管鏡治療を検討する場合は、治療実績・技術を基準に名医を探してみてはいかがでしょうか。

 

参考論文:Ureterorenoscopic treatment of ureteral stones–influence of operator’s experience and skill on the procedure outcome.

 

 

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