肥満症の手術は、年間50症例以上の医師が名医!合併症発症率や再手術率が低下!

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[投稿日] '17/08/01 [最終更新日] '18/03/18 578views
肥満症の手術は、年間50症例以上の医師が名医!合併症発症率や再手術率が低下!

肥満症:BMI30以上で、肥満による健康被害の可能性がある人

肥満症とは肥満に関連する健康障害があるか、健康障害を起こすと予測される内臓脂肪が過剰に蓄積した状態を差し、減量治療を必要とする状態のことです。単なる肥満な状態は疾患とは見なされませんが、肥満症は疾患であり、医学的に治療が必要となります。

肥満症の診断の際に、BMI(body mass index)という指標が用いられ、BMI30位上の場合には肥満症と診断されます。BMIの算出方法は「体重(kg)➗身長(m)の二乗」であり、下記のように分類されています。(日本肥満学会の肥満基準)

  • 低体重(痩せ型):18.5未満
  • 普通体重:18.5−25
  • 肥満(1度):25−30
  • 肥満(2度):30-35(肥満症はBMI30以上)
  • 肥満(3度):35-40
  • 肥満(4度):40以上

世界的に見ても肥満症の頻度は高く、実に6億人以上の成人が肥満症であると報告されています(WHO fact sheetより)。また小児における肥満傾向も強くなっており、保健衛生上の重要な課題として捉えられています。

 

肥満症の人は、心疾患や糖尿病など様々な疾患を合併する

肥満症では、体重増加することに加え、呼吸困難や歩行困難など重篤な健康障害ももたらします。また肥満症は様々な病気を引き起こす原因と言われており、関連する疾患を下記にお示しします。

  • 心疾患、糖尿病、高血圧
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 逆流性食道炎
  • うつ
  • 関節炎(体重により関節に対して過度に体重がかかります)
  • 不妊
  • がん(前立腺がんや乳がん、大腸がんなど)など

以上のように、肥満症は日常生活における生活の質を落とすのみではなく、長期的な生命予後にも関わる問題であり、積極的な治療介入が必要となります。

 

肥満症治療の一つとして、胃を切除してカロリーをコントロールする方法がある

肥満症の治療の基本は、食事内容や運動療法が主なものになります。しかしながら、こうした内科的なアプローチだけでは充分な体重減少を図ることは達成されないことも多く、外科的な手術が選択されることもあります。具体的な手術としては、Roux-en-Y胃バイパス術、スリーブ状切除術、などがあり、腹腔鏡で行うことが可能です。

  1. Roux-en-Y胃バイパス術:肥満に対する手術としては、とてもよく行われる手術になります。胃と食道の接合部位付近で消化管を切除し、胃に食物が入らないようにします。また食物の通り道として、小腸の一部を先の消化管切除部位に結合させます。
  2. スリーブ状切除術:近年に入り開発された手術方法の一つです。胃の一部を切除することで、胃の容量を減らします。

上記のような手術を受けることで、少量の食物でも満腹感を感じやすくさせます。その結果、摂取カロリーが減り、結果として体重減少が期待できます。日本においても2014年から一部手術が保険適応となっており、肥満に対しての手術が今後増加することが予測されています。

 

肥満症の名医の基準は年間手術件数50件以上

今回ご紹介する論文は、肥満症の手術の中でも最も標準的なものの一つである、腹腔鏡下Roux-en-Y胃バイパス術と術後合併症の関係性について検討しています。

対象となった患者さんは、アメリカ合衆国ノースカロライナ州の医療データベースに載っている32,521例のRoux-en-Y胃バイパス術を受けた患者(平均年齢:45.7歳、平均BMI:47.2)であり、年間50件以上の手術を行なっているかどうかを条件として、医師のグループ分けをしています。

検証の結果、50件以上手術をしている医師の場合は、それ以下の医師と比較して「有意に術後30日以内の再入院率が低下する」ことがわかりました。さらに、手術件数の多い医師に手術を受けた患者では、「術後30日後の死亡率、合併症発生率、再手術率についても統計的に有意な低下を示す」こともわかりました。

本研究結果から、肥満症の手術を受けるには、年間50件以上の手術経験のある医師の方が名医であることが明らかとなりました。

 

適切なリスク管理が出来る、名医から手術を受けましょう

肥満症患者への手術というのは、BMIの高い患者さんに対して行われる手術であるため、通常よりも手術によるリスクが高まり、合併症や再手術率などについても高くなりやすい傾向があります。

しかし今回の結果を見ると、手術実施件数が多いグループでは術後の合併症発生や再手術率が低下しており、通常リスクの患者と同様の結果が示されています。つまり、手術件数の多い医師はハイリスク患者に対しても適切なリスク管理を実施でき、安定した手術成績を残すことができる名医であるということが言えます。

日本においては保険適応が始まったばかりではありますが、今後肥満症の手術を受ける人が増えていくことが予測されます。肥満に関しての健康障害について理解を深め、より手術によるリスクへ減らすためにも、名医を選択することは非常に重要です。本論文を基にして、「手術件数」を一つのキーワードとして病院を選択してみてはいかがでしょうか。

 

参考文献:Celio AC, Kasten KR, Burruss MB, Pories WJ, Spaniolas K.Surg Endosc. 2017 Mar;31(3):1402-1406. doi: 10.1007/s00464-016-5128-y.

 

 

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