原発性アルドステロン症に対する副腎摘出手術では手術件数が7件以上が名医!

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[投稿日] '17/03/16 [最終更新日] '18/03/18 1,701views
原発性アルドステロン症に対する副腎摘出手術では手術件数が7件以上が名医!

副腎とは

副腎は腎臓のすぐ上に位置する臓器です。餃子くらいの大きさで左右1つずつあります。腎臓や肝臓といった臓器に比べるとあまり聞きなれない臓器だと思いますが、実は私たちが生きていく上で極めて重要な働きをしている臓器のひとつです。

副腎は表面にある「副腎皮質」と内側の「副腎髄質」の2つに分けられます。まず、副腎皮質は、副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)を分泌する働きがあります。副腎皮質ホルモンは、ナトリウム、カリウム、水分バランスの調整や、糖利用や血圧の調整、ストレスに抵抗する働きなど様々な役割を果たしています。代表的な副腎皮質ホルモンとしてはアルドステロン、コルチゾール、アンドロゲンなどが知られています。一方、副腎髄質には副腎髄質ホルモンであるアドレナリンやノルアドレナリンを作る働きがあり、それぞれ心拍数、血圧、血糖値を上げる働きをします。

副腎で作られる副腎皮質ホルモンや副腎髄質ホルモンは私たちが生きていくためになくてはならないものです。しかし、副腎に腫瘍ができてしまった場合(副腎腫瘍)や副腎が大きく腫れてしまった場合(過形成)にはこれらのホルモンが過剰に作られてしまい、高血圧、糖尿病などの病気の原因となることが知られています。副腎にできる腫瘍が原因で起こる代表的な病気としては、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などが知られていますが、今回は原発性アルドステロン症について説明したいと思います。

 

原発性アルドステロン症とは

原発性アルドステロン症は過剰にアルドステロンが分泌されることが原因で起こる病気です。若い人からお年寄りまで広く認められる病気で、日本人の約8割は副腎の片側に腫瘍ができることが原因であると言われています。また、両側の副腎全体が大きく腫れている状態(過形成)が原発性アルドステロン症の原因となることもあります。原発性アルドステロン症で共通しておこる症状は高血圧です。また、アルドステロンの過剰分泌により低カリウム血症(血液中のカリウムの低下)が起こると、脱力感、筋力低下、多尿などの症状が現れることがあります。

 

原発性アルドステロン症の治療方法

原発性アルドステロン症に対しては、主に手術療法や薬物療法が行われます。片側の副腎だけに腫瘍がある場合は、副腎腫瘍を取り除く手術(副腎摘出手術)を行います。通常は、腹腔鏡でお腹の中を覗きながら腫瘍を摘出しますが、腹腔鏡では手術を行う際の視野が限られるため、腫瘍が大きい場合などはお腹を開けて手術を行う方が良い場合もあります。そのため、手術の方式については副腎腫瘍の名医に判断を委ねるのが良いものと思われます。

また、手術の適応がない場合や手術を希望しない場合、あるいは両側の副腎が腫れている場合などは、薬を使ってアルドステロン過剰による症状を抑える治療(薬物療法)を行います。原発性アルドステロン症では、薬で血圧を下げたり、抗アルドステロン薬を用いてアルドステロンの作用を抑えたりします。

 

副腎摘出手術の件数と治療成績との関係を調べた論文

それでは、原発性アルドステロン症に対する副腎摘出手術の名医とはどのような医師を指すのでしょうか?今回ご紹介する論文は、副腎摘出手術の件数と副腎摘出手術の治療成績に関係があるかどうかを検討した研究です。本研究ではアメリカの診療報酬請求データベース(NIS)に登録された7,045件の副腎摘出手術の治療成績を調査しています。対象期間は2003年から2009年の7年間で、18歳以上で初めて副腎摘出手術を受けた患者を調査対象としています。

本研究では、医師が1年間に執刀した副腎摘出手術件数に基づき、年間手術件数が少ないグループ(下位25%、年間1件)、中間のグループ(年間2-6件)、多いグループ(上位25%、年間7件以上)の3つに分類し、副腎摘出手術後の合併症、入院期間、医療費を主要な評価項目として治療成績を検討しています。副腎腫瘍に関連した病気そのものがそれほど多くないので、副腎摘出手術が年間7件程度であっても多い部類に分類されています。

 

副腎摘出手術の年間手術件数が多い名医ほど合併症が少ない

分析の結果、年間手術件数が少ないグループでは年間手術件数が多いグループに比べて手術後の合併症のリスクが1.66倍に増大することがわかりました。また、医療費も年間手術件数が少ないグループに比べて年間手術件数が多いグループでは8.1%削減されるという結果でした。すなわち、副腎摘出手術の年間手術件数が多い医師は、副腎摘出手術後の合併症が少なく、医療費を節約できる名医であると言えます。

 

原発性アルドステロン症に対する副腎摘出手術の名医は年間手術件数を基準に選ぶと良い

今回紹介した論文の結果から、副腎摘出手術の年間手術件数が多い医師は少ない医師に比べて副腎摘出手術の手術成績が良い名医であることがわかりました。原発性アルドステロン症では、腫瘍の大きさやホルモンを分泌するタイプであるかどうかによって治療方法は異なりますので、内分泌科あるいは泌尿器科で副腎摘出手術の適応があるか判断してもらうことが必要です。副腎摘出手術の適応があると言われた場合には、まず手術件数を基準に副腎摘出手術の名医を探してみてはいかがでしょうか?

 

<参考文献>Surgeon volume impact on outcomes and cost of adrenal surgeries. Eur J Surg Oncol. 42(10):1483-1490, 2016

 

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