なかなか熱が下がらないのは単なる風邪じゃないかも!?

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[投稿日] '16/11/07 [最終更新日] '18/03/18 3,693views
なかなか熱が下がらないのは単なる風邪じゃないかも!?

風邪やストレスなどによって急に熱がでるときはありますよね。しかし、数日たっても熱が下がらないと他の病気が隠れているかもしれません。どうして熱が下がらないのか、どんな病気が現れるのか、一緒に原因を探ってみましょう。

 

どうして熱がでるのか

風邪やインフルエンザなど、ウイルスや細菌が体内に侵入すると、体が防御反応を起こします。体内の白血球やマクロファージなどの免疫をつかさどる細胞が体内に入ってきたウイルスや細菌を食べ始めます。これらの細胞が働き始めると、「サイトカイン」とよばれる物質が脳へ伝達されます。脳には、視床下部とよばれる体の体温調節などを行う部位があり、ウイルスの侵入が伝達された視床下部は全身へ発熱命令をだします。この命令によって、血管は収縮され、汗腺を閉じ、体の外へ熱を逃がさないようにするのです。いわゆる「さむけ」で体がふるえるもの、熱を作り出すためです。このように熱がでるのは、自然な体の防御反応なのです。ウイルスや細菌は高熱により増殖をやめたり、死滅したりします。それが、解熱剤を飲んだり、体を冷やしすぎると、治りが遅くなるといわれるゆえんです。(ただし、高熱は体力を消耗しますので、辛いときにはもちろん解熱剤を服用してください)

とはいえ通常の風邪では3~4日で熱は下がってきます。4日以上すぎても熱が下がらない場合は、他の病気を疑った方がよいでしょう。また、平熱には個人差がありますが、高熱が続くと脳などいろいろな臓器にも影響を与えてしまうので、早めに医療機関を受診しましょう。

 

熱がでる代表的な病気

熱がでる病気は果てしなくありますが、主には、ウイルス細菌などによる感染症、関節リウマチなどによる膠原病、がんなどの悪性腫瘍があります。今回はその中でも特に一般的なものだけご紹介します。

風邪・インフルエンザ

風邪の原因の多くはウイルス性の感染によるものです。症状は、咳の他に、鼻水や鼻づまり、発熱、喉の痛み、体のだるさなども同時に現れます。感染から多くは2日以内に症状が現れます。3~4日熱が下がらないことも多いですが、徐々に症状が軽くなるのが特徴です。治療は検査、問診、体温測定や喉の視診などを行います。治療は細菌感染の場合は、抗生物質が処方されますが、ウイルスによるものの場合は対症療法とよばれるもので、咳を鎮める薬や喉の腫れを抑える薬、熱を下げる薬など、症状を抑える薬が処方されます。

インフルエンザの場合は、市販の感冒薬や解熱剤では熱が下がらない場合もあり、感染力も高いため、早めに受診した方がよいでしょう。また、1週間以上咳や発熱が続く、風邪の時の抗生剤を飲んでも改善しないというような場合は、肺炎など他の病気を疑います。その際、胸部X線検査や、血液検査などを行います。風邪やインフルエンザなどの場合、通常入院は必要ありませんが、高齢者や乳幼児など抵抗力がない場合は、重症化しやすく、風邪などウイルス感染がきっかけとなり肺炎などを引き起こす場合もありますので注意が必要です。

肺炎

肺炎は、肺に炎症を起こす病気の総称をさします。細菌やウイルスによる感染から起こるもの、食べ物が誤って気管に入ってしまう誤嚥性肺炎、インターフェロンによる間質性肺炎、抗がん剤や漢方薬などによる薬剤性肺炎、リウマチなど膠原病が原因による肺炎、アレルギーが原因の急性好酸球性肺炎など、様々な種類の肺炎があります。急性肺炎の場合は、なんらかのアレルギー物質を吸引してしまうことによって起こります。

いずれの肺炎も、咳の他に1週間以上37〜38度前後の熱が下がらない症状や、痰、呼吸困難、全身のだるさ、食欲不振がみられます。初期症状は風邪と似ていますが、肺炎は重症化しやすく、日本では肺炎の死亡者数がガンや心疾患に続いて3位になるなど、特に高齢者では予防が必要となります。肺炎の検査は、まずは胸部X線など画像検査と血液検査を行います。画像検査で肺に影がある場合、肺炎を疑います。血液検査では、CRP値とよばれる数値が通常より上昇していたら、体の中が炎症を起こしているサインとなります。また肺炎の種類の特定も重要になります。細菌やウイルスによるものか、薬剤によるものか、また脳梗塞などにより体に麻痺が残っているなどの後遺症がある方の場合、誤嚥性肺炎にもなりやすくなります。間質性肺炎の場合は、痰は伴わず、空咳が続く症状がみられますが、最悪の場合心不全起こすことがあります。いずれの場合も、重症化する前に早めに内科のある病院での受診が必要となります。

熱 下がらない

 

扁桃炎(急性扁桃腺炎・慢性扁桃腺炎)

口腔内や咽頭内には、扁桃腺とよばれるアーモンドのような形をしたものがあります。扁桃腺は、リンパ組織といい、免疫細胞を作り、体を病原菌から守る役割を果たしているのです。子供の頃は役割が活発ですが、大人になるにつれて、体内の他の免疫細胞も発達していくので、扁桃腺の役割は減少していきますが、大人になっても、体が弱っていると、病原菌によって扁桃腺が炎症を起こすことがあります。これを扁桃腺炎とよびます。扁桃腺炎には急性扁桃炎と慢性扁桃炎の2種類があります。

扁桃腺炎の症状は、あご下から喉の痛み、寒気、全身のだるさ、38〜40度の熱が下がらない、頭痛、耳やのどの痛み、関節の痛みなど多岐にわたります。また、風邪やインフルエンザ、肺炎などがきっかけで扁桃腺炎になることもあります。悪化すると慢性化して治りにくくなる他、腎臓の病気や、関節リウマチなど、他の病気の合併症として扁桃腺炎になっている危険性があります。早めに内科、耳鼻咽喉科などの医療機関へ受診をしましょう。

扁桃腺炎の治療は、薬物治療、手術が一般的です。薬物治療には、主に抗生物質が投与されます。また免疫力を高めるビタミンCや、痛みがひどい場合は鎮痛剤、また熱が下がらない場合や痰がでている場合は解熱剤や、喀痰をうながす薬剤が使用されます。また原因のウイルスがはっきりしている場合、そのウイルスを排出させる薬剤が使用されます。うがい薬なども処方されることがあります。

慢性扁桃腺炎の場合は、扁桃腺が通常より肥大しているため、扁桃腺炎を頻繁に起こしやすい、睡眠時に呼吸を止めてしまうなど日常生活に支障がある場合、手術が適応になることがあり、扁桃腺を切除、摘出します。これによって、その後扁桃腺炎になりにくくなります。

心因性の発熱

長く熱が下がらず、病院で検査を受けても原因がわからない場合、心因性の発熱が考えられます。急に高熱がでてすぐにさがるということが続く場合や、特に体調はなんでもないのに(咳がでるとか、下痢をしているとかもないのに)37度以上の熱がしばらく下がらない場合などは、心因性の可能性もあります。こどもは突然高熱がでて、翌日には治っているということもありますが、大人の場合、残業を無理に続けることや、介護や家事など、熱が下がらないのに日常的に無理をしすぎてしまう、ストレスを抱えていても休まずに頑張りすぎてしまうこともあります。精神的には頑張ることはできても、体はついていけないこともあります。

熱が下がらないということは、多くのエネルギーを消費することを意味していて、体にとっては多くの負担をかけています。原因不明の心因性発熱の場合の治療は、まずは生活の見直しが重要です。こまめに休憩をとり、睡眠時間が少ないのであれば、十分に休息とるように心がけてください。また、リラックスができるような環境を整えることが必要です。それでも熱が下がらない場合は、心療内科を受診してもよいでしょう。心療内科では、生活指導のほかに、薬物療法、心理療法、自律訓練法などが行われます。また熱が下がらない原因として、うつ病や不安障害などを同時に併発していることがあります。それらの治療は精神科と共同して行われます。

膠原病

膠原病は、全身性エリテマトーデス、リウマチ熱、強皮症、多発筋炎、関節リウマチ、シェーングレン症候群など、全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が起こる、自己免疫疾患の総称です。熱が下がらない、関節に痛みがあるなどによって発見されることがあります。以前は原因不明の病気でしたが、最近では、遺伝子の異常や何か環境因子がきっかけで発症することもわかってきています。膠原病の診断は、目や口の乾燥、皮膚硬化や筋肉痛など、それぞれの膠原病のタイプによって特徴的な症状は異なりますが、全身の診察でおおよそ判断されます。膠原病が疑われた場合にあわせて、血液検査を行います。一般的な白血球数やCRP、赤沈などの炎症反応とよばれる検査の他、抗核抗体とよばれる膠原病に特有の検査を行います。

リウマチなどでは、手のレントゲン検査や、尿検査で蛋白尿、血尿などがあるかも調べます。治療法は、膠原病のタイプによって異なりますが、副腎皮質ステロイドを使用することが多いです。ステロイド治療は効果が期待できる一方で、副作用も多いためそちらに注意を配ることも必要です。不眠や便秘、にきび、肥満、などの他、長期使用によって、高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗しょう症などの症状が現れることもあります。また体の抵抗力を弱めます。

全身エリテマトーデスの場合は、女性に多く、37-38度前後の熱が下がらないことや、顔や手の湿疹が主な症状が現れて、発見されることがあります。診断がつくと難病特定疾患の指定を受けることができます。

腎盂腎炎

腎臓に細菌が侵入することによって発症します。腎盂腎炎の主な症状は、高熱が下がらない、体がだるい、食欲不振や、だるさ、血尿などがあります。膀胱炎とも症状が似ていますが、熱が下がらないのが腎盂腎炎です。発症のきっかけは、尿路結石や、尿の逆流、妊娠や前立腺肥大などによって起こりやすくなります。糖尿病や、ステロイド剤などの使用によって抵抗力が落ちていると感染しやすくなります。腎盂腎炎が疑われたら症状が悪化する前に、泌尿器科、腎臓内科、内科にいきましょう。

検査は、尿検査、血液検査、画像検査などを行います。尿検査では、尿の中にどのくらい細菌がいるか、血尿がでているかなどを調べます。血液検査ではCRP値を調べて、細菌感染しているかを調べます。画像検査は、尿道が狭くなっているかなどを調べます。腎盂腎炎の治療法は、抗生物質、抗菌薬を使用します。症状が軽ければ、入院する必要はありません。いずれも規則正しい生活や、トイレを我慢しすぎない、十分な睡眠をとることが必要です。

 

熱が下がらない時の対処法

熱が下がらないときには、基本的には安静にしていただくことが重要ですが、その際に下記のようなことに気をつけていただく必要があります。

とにもかくにも水分を補給

熱がでると汗をかきます。汗をたくさんかくと、体が脱水状態になり、脱水がすすむと最悪意識を失ってしまうこともあります。熱を出している時にトイレに行って、尿の濃さに驚いたことがあるかもおおいのではないでしょうか。あれは体が脱水状態になっているので、尿が濃くなっているのです。ですので、十分な水分補給が重要です。汗をかいていますし、食欲も落ちていることが多いので、通常の時よりも水分を積極的に取るように心がけてください。その際には通常のお水でもよいですが、やはり汗でナトリウムなどの電解質も出てしまっているので、ポカリスエットなどのあまりあまくないスポーツドリンクがよいでしょう。

体を温める

また熱が下がらないときは、衣類や、布団、暖房などで、体を十分に温めることが重要です。体を温めると、汗をかき、熱が放出されます。こまめに着替えをして、シーツをとりかえて、過度に冷えないようにすることが大切です。また、体を安静にして、体力を消耗させないことです。

解熱剤の使用は抑え気味にする

熱がなかなか下がらないと、身体も辛いのでついつい解熱剤を必要以上に多く使用してしまいがちです。しかし、高熱は防御反応でもありますので、37度少しの発熱で特に体も辛くない場合などはそのまま様子をみてもよいでしょう。

安静にする

体のエネルギーの消耗を避けるために、安静にすることも重要です。熱が下がらないときは、無理をせず、十分な休息と睡眠をとることが大切です。またストレスを日頃からためないようにしましょう。

 

熱が下がらないことが続くときは

37~38度の熱が5日以上続くときは、風邪以外の症状が考えられます。早めに内科や、他の全身症状もみられる場合は、総合病院など医療機関の受診をおすすめします。

 

 

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