動悸が止まらない…まさか、恋?なんてしてないのに…

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[投稿日] '16/10/24 [最終更新日] '18/03/18 1,313views
動悸が止まらない…まさか、恋?なんてしてないのに…

急に胸のあたりが苦しくなることはありませんか?動悸がすると何かの病気なのではないかと不安になることもありますね。日常生活上、お酒を飲みすぎた時や、ストレスなどで起こりやすい動悸ですが、怖い病気が隠れていることもあります。どうして動悸が起こるのか、どのような病気があるのか、一緒にみていきましょう。

 

なぜ動悸がするのか?

心臓は常に動いていますが、普段から拍動を自覚することはあまりないと思います。動悸を感じるのは、例えば人前で話さないといけない時や、何かストレスを感じた時、急いで階段を走って昇った時など、拍動が速く、強く打つように感じますよね。心臓の拍動がいつもより早く感じる、脈拍が乱れ、不快に感じる症状を指します。心臓の拍動する回数のことを心拍数とよび、安静時に男性であれば1分間に60~70回程度で、女性であれば65~75回程度です。もちろん個人差があるため、これ以上多くても少なくても日常生活に支障をきたさない人もいます。ただし、心臓の拍動が乱れたり、特に運動をしたり、ストレスを感じた訳ではないのに、強い拍動を感じた時は注意が必要です。

 

日常生活で動悸がするときの原因

過度な緊張や興奮状態

動悸がする原因として、過度な緊張や興奮状態が挙げられます。

通常、心拍は交感神経と副交感神経からなる自律神経によってコントロールされていますが、不安や緊張状態になると交感神経の働きが強くなって血圧や心拍数が上がり、筋肉が緊張します。逆に副交感神経の働きが強くなると、血圧や心拍数が下がり、リラックスした状態になります。運動している時は、興奮状態にあるので、交感神経の働きが強くなります。通常、日常生活の中で動悸がするのは、体の自然な反応なため、一過性であれば特に問題はありません。しかし、安静時でも動悸がする場合は、何らかの原因があると考えられます。

カフェインやアルコールの摂取

コーヒーだけでなく紅茶にも含まれるカフェインを摂取することで、動悸がすることがあります。カフェインは自立神経を刺激し、興奮状態や覚醒状態を引き起こします。またアルコールも、カフェイン同様に、血管を拡張させる働きがあります。血管が拡がると、一時的に血圧が下がりますが、脳は血圧低下を防ぐために、血流の量を増やそうと働きかけます。これが、心拍が強くなる原因です。またアルコールは肝臓で「アセトアルデヒド」という成分に分解されます。アセトアルデヒドは強い毒性を持っていて、頭痛やおう吐、吐き気、動悸を引き起こす原因になります。カフェインやアルコールの取りすぎには注意しましょう。

 

動悸がするときに疑われる病気、症状

不整脈

心臓の拍動のリズムや脈の打ち方が乱れることをさします。日常生活でも、睡眠不足やストレスなどのきっかけによって一時的に不整脈がみられることもあり、誰にでも起こうります。しかし、不整脈が続いていると、何らかの心疾患が原因となっていることもあり、心臓内科や循環器内科へ受診が必要です。

不整脈には脈が遅くなる場合と脈が速くなる場合、脈が飛ぶ場合の3種類があります。症状が進むと、息切れやめまい、動悸がするほか、急に意識がなくなり失神するなどの重大な症状がみられます。突然の動悸や脈が乱れ速く打つと、冷や汗や息苦しさを感じるようになります。心筋梗塞などの病気を持っている人にこの症状が起こると大変注意が必要です。

不整脈の検査は、携帯型のホルター心電図をつけて帰宅し、心臓の状態を記録します。そのほかには心エコー検査をして、心臓の筋肉の厚さや動き、心室の大きさなど、詳しく検査します。治療は、不整脈の種類によって異なりますが、脈が少ない場合はペースメーカー治療が行われます。脈が速くなる場合、つまり頻脈の場合は、投薬治療の他、一部頻脈を起こさないような外科手術を行うこともあります。

狭心症

冠動脈の血管が狭くなり心臓へ送る血液が少なくなっているものをいいます。心臓が一時的に酸欠状態になって起こります。胸のあたりに圧迫されるように痛みや動悸、息切れを感じ、痛みは数分から数十分でおさまります。

狭心症の診断は、心電図検査、心エコー検査、心臓カテーテル検査などを行い、心筋が虚血を示す特徴的な症状がでているかを調べていきます。治療は、薬物治療と外科治療があります。薬物治療では、交感神経の動きを鎮め、心臓の負担を軽くするような薬や、狭心症の発作時には、ニトログリセリンとよばれる即効性のある薬を舌下錠やスプレーなどを使用します。外科手術は、カテーテルを用いて、冠動脈を広げる手術や、血管内をバルーンで広げて、カテーテルを留置する手術があります。いずれも合併症の恐れがあります。また心臓バイパス手術とよばれるものもあり、体内の別の血管を用いて冠動脈の代わりにバイパスを作る手術を行います。入院が2週間は必要であり、全身麻酔下で行われ、手術を受ける上でのリスクや後遺症の可能性なども考えることが必要です。

心筋梗塞

冠動脈の血流がほとんど止まってしまい、心筋の一部が壊死するほど悪化した状態をいいます。心臓の動きが止まっていると、脳や腎臓や肝臓など重要な臓器にも血液がいかなくなり、最終的に心臓が完全に停止してしまいます。左胸を中心に非常に強い痛みを感じ、肩や背中などに痛みが広がることがあります。冷や汗や吐き気を伴うことも多いです。症状は30分以上、時に数時間続きます。

現在では発症後6時間以内にカテーテルによる治療を受けることができれば、死亡率は10%以内に抑えることができるといわれます。カテーテルによる治療とは、詰まってしまった冠動脈を再度、開通させる手術のことです。ただし発症後意識がなく、心臓の動きが止まっている場合は、心臓マッサージやAEDとよばれる機械での電気ショックを行うことが必要です。心筋梗塞の前兆として、動悸がすることがあります。日常生活でよく起こる動悸ですが、不整脈などを普段から持っている方は特に注意が必要です。疲れたり、動悸を感じたら、無理をせず横になったり、楽な姿勢で休むことが大切です。もし、動悸がおさまらない、息切れや胸の痛みがあるなど、心筋梗塞の症状を感じたら、すぐに救急車を呼びましょう。

バセドウ病

甲状腺の機能が亢進し、過剰にホルモンを作る病気です。20代から30代の女性に多い病気です。バセドウ病の主要な症状は、甲状腺の腫れ、眼球突出、動悸がする、これらが代表的なものです。バセドウ病では、代謝亢進しつづけているために、常に走っているような状態になります。エネルギー消費も活発なため、食欲はあるのに太らない、もしくはやせるという場合も多くみられます。

バセドウ病は多くの場合、血液検査で診断されます。治療は薬物治療が中心となり、甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を規則正しく服用していきます。適切な量の薬を飲んでいれば、1~3ヶ月で普通の人と全く変わらない生活ができるようになります。その後も定期的に甲状腺のホルモンの量を測定しながら、治療を続けていきます。薬の副作用には、かゆみや湿疹、肝機能異常などの症状が現れることがあります。また、治療が完全に終わるまでには長い時間が必要になることがあります。

その他の治療には、アイソトープ治療や手術療法があります。アイソトープ治療は放射性ヨウ素療法ともよばれ、放射性ヨウ素を服用して甲状腺に集まった放射性ヨウ素の働きで、甲状腺の細胞数を減らす方法です。2~6ヶ月で甲状腺ホルモンは減少し、手術のような傷が残ることもなく、薬物療法よりも早く効果が現れますが、必要以上に甲状腺の機能低下を起こす場合があります。手術は甲状腺を外科的に取り除く方法です。甲状腺を取り除くことによって、ホルモンの過剰分泌を防ぎます。しかし、甲状腺を全摘出すると、甲状腺機能低下をもたらし、薬物治療を続けることが必要です。また部分的に取り除くと、甲状腺機能亢進が再発してしまう場合があります。術後に傷が目立つことや、入院を必要とし、全身麻酔で行うためにリスクを伴います。

貧血

貧血は、血液中のヘモグロビンとよばれる赤血球中のタンパク質が減少し、全身に酸素を行き渡らせることができずに、めまいや動悸、息切れなどの症状を起こします。その他、顔色の悪さや、口角炎、抜け毛や枝毛、爪が白っぽいなども貧血の症状として現れやすいです。ヘモグロビンは鉄によって作られるため、鉄分の摂取が少ないと、ヘモグロビンが十分に生産されません。女性は生理や出産時の出血、更年期の生理不順、成長期や妊娠・授乳期には鉄の必要量が増えるなど、貧血になりやすい条件が揃っています。また過度なダイエットや偏食が続くことでも起こりやすくなります。

貧血は血液検査でわかります。血液検査でヘモグロビンの量を測定し、貧血であると診断されれば、鉄剤を処方されます。鉄剤の副作用には、吐き気や胃の痛み、めまいなどがみられることがあります。また処方されてからすぐに完治するわけではなく、長期間の服用が必要になることがあります。貧血の場合、日常生活上でも偏食をなくし、積極的に鉄分を含む食事を取り入れていくことが必要です。

妊娠中は、葉酸性欠乏性貧血とよばれ、妊婦に起こりやすいといわれています。また貧血は、誰でもなりやすい病気ですが、時に子宮筋腫など婦人科系の病気や、再生不良貧血など重大な病気が潜んでいることがあります。ただの貧血だと思って無理をする前に、医師に相談してみましょう。

低血糖

糖尿病の症状の一つに低血糖があります。低血糖とは、血液中のブドウ糖が少なくなった状態をさします。急激に低下すると、動悸、唇の乾燥、発汗、震えなどがみられ、ゆるやかに低下すると、集中力低下、眠気、頭痛、けいれん、昏睡状態などの症状が現れます。

低血糖の原因には、インスリンの過剰投与、食事摂取の不足、抗不整脈薬、アルコール摂取などがあります。低血糖症状が起こった時には、甘い物や炭水化物を摂取することが必要ですが、効き目がでるまでに15分以上かかります。

低血糖にならないためには、規則正しい食事制限や、時間を守ること、激しい運動などには気をつけるなど、自己管理をして低血糖を予防することが必要です。また定期的に血糖値を測ることも必要です。

自律神経失調症

冒頭で心拍は自律神経によってコントロールされていると書きましたが、この自律神経のコントロールがうまくできずに動悸がすることがあります。

自律神経失調症は、不規則な生活や過度のストレスによって、からだを働かせる自立神経に乱れが生じる症状をさします。様々な症状をきたし、また個人差もあります。内臓や器官の病気ではないため、病気を特定するための検査が難しい場合も多く見られます。自律神経失調症の症状は、頭痛や耳鳴りのほか、動悸やめまい、立ちくらみ、手足のしびれ、不安になる、落ち込む、イライラするなど多岐に渡ります。

自立神経失調症の原因は、夜更かしなど生活リズムの乱れや、ストレスによるもの、環境の変化などがあげられます。女性はホルモンのバランスが変化しやすいため、それによる影響も考えられます。

治療には、副作用の少ない漢方薬などの他、つらい症状をやわらげるために、抗不安薬などが処方されることがあります。抗不安薬の副作用は、眠気やめまいなどがみられます。自律神経失調症の場合は、ストレスなどが原因である場合も多いため、まずはストレスを取り除くことや、生活を改善すること、また症状が重くなる前に、心療内科やカウンセリングなどを受けることも効果的と考えられています。

更年期障害

更年期とは女性の場合、卵巣機能が衰え始め、女性ホルモンの分泌が減少する閉経を迎える前後の期間のことをさします。個人差はありますが、大体45歳頃からと言われています。更年期障害とは、ホルモンバランスの乱れが原因で身体的・精神的不調をきたす、自律神経失調症の一つです。

症状としては、のぼせやめまい、動悸がする、冷え、体のほてり、汗かき、うつ、神経質になる、などがみられます。最近では、過度なダイエットや生活習慣の乱れで、30歳代の女性でも同様の症状をきたすことがあります。

更年期障害を乗り切るためには、ひとりで悩まずに、一度婦人科や産婦人科の更年期外来で、相談してみると良いでしょう。更年期外来では、問診や超音波検査、血液検査などを行い、原因がエストロゲンの減少によるものか調べます。原因がわかれば、ホルモン補充療法とよばれるエストロゲンの補充を、注射または飲む薬などで行っていきます。しかし、エストロゲンは補充しすぎると、子宮体がんの危険性もあるため、プロゲステロンの補充も同時に行います。そのほか、漢方薬や低用量ピルの処方もあります。うつなどの症状がみられている場合は、抗うつ剤が処方されることもあります。またひとによっては食事の改善や、適度な運動など生活習慣を整えることで、症状が軽減する場合もあります。

 

まとめ

今回は動悸がするときの原因と、動悸を起こしやすい病気についてまとめました。動悸は日常生活でも多くの人が感じたことのある症状ですが、時に深刻な病気がひそんでいることがあります。無理をせず、おかしいなと感じたら、病院を受診しましょう。

 

 

 

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