太田母斑に効果的なレーザー治療!

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[投稿日] '16/10/06 [最終更新日] '18/03/18 1,891views
太田母斑に効果的なレーザー治療!

太田母斑の概要

太田母斑とは、顔面の頬を中心にして眼の周囲にかけて、片側だけ、もしくは両側に青色から褐色の小さな斑が集まり、あざのように色素が沈着する症状を指します。眼皮膚メラノーシスともよばれていますが、1938年に太田氏により報告され、この名前で呼ばれています。生まれた直後から目立つ場合と、思春期頃に目立ってくる場合があり、そのまま消えてなくなるものではないため、治療が必要となります。

太田母斑の色素沈着が起きる位置には段階があり、目の周りにパンダのように現れるものや、眼の下や眉毛のあたりに三日月様にできるもの、小鼻にのみ起こるものがあります。これらはまだ症状としては軽い方です。中等度になると眼の周りにアイマスク状にできます。高度になると、額から頬、時には側頭部あたりまで全体的に発生することがあります。また眼球や鼻の中、時に肩から腕のあたりまで色素沈着が広がることもあります。メラニン色素の沈着が主な原因のため、青色や黒色、褐色などメラニンの濃さや密度によってあざの色が異なります。

先天性の病気ではありませんが、症状が現れるのが早いときは、生まれてから生後1年以内に発症することが多くみられます。幸いなのは、他の病気に悪化することはなく、痛みや痒みなども特にないことです。色素沈着の程度は人によって様々ですが、薄い場合であっても自然治癒はせず、むしろ少しずつ濃くなっていき、思春期の頃に最も目立つことがあります。この時期は、外見を一番気にしてしまう年齢でもあるため、早めの治療が推奨されています。

また、女性に多く発症し、生まれた直後から乳幼児にかけてできる他、ごくわずかですが20代から40代頃にかけてできる場合もあります。この場合、妊娠や出産後、閉経などホルモンバランスが大きく変化することによって症状が現れます。

 

太田母斑の人口

白人や黒人にもわずかながら発症がみられるようですが、日本人などアジア系の人種に多く発症することで知られています。とはいえ全体の発症率はそれほど高くなく、日本の人口の0.1%〜0.2%の割合で発生していると推定されています。男女で比較すると、男性よりも女性に多く見られます。

 

太田母斑の原因

太田母斑は、皮膚の比較的深い部分(真皮とよばれます)に、メラニンを生成する細胞が増殖し、色素が沈着することによって発生します。色素はメラニンの深さや密度によって異なりますが、典型的なものは青紫色から灰青紫色で、そこに赤っぽい褐色の斑が混ざります。広く密集したものがほとんどで、そばかす状に点在しているものもあります。時に、そばかす、また中年以降に現れるシミと区別が難しい場合もあります。その他、太田母斑は通常、片側性ですが、両側性のこともあり、両側性後天性メラノーシスとよばれるものや、肝斑とよばれるシミの一種とも判別に注意が必要な場合もあります。

なぜ太田母斑ができるのかという原因は、いまだに解明されていません。遺伝子による説もありますが、現在も解明のための研究が進められています。

 

太田母斑の治療

通常のシミは、皮膚の比較的浅い部分に、メラニンを過剰に作ってしまう色素細胞(メラノサイト)があり、通常のレーザー治療によってシミを取り除くことができます。

一方で、太田母斑の場合、真皮とよばれる皮膚の深い部分に色素細胞が存在しているため、通常のレーザー治療ではなく、シミやあざなどの治療にも用いられる「Qスイッチレーザー」とよばれる特別なレーザーを使用することが一般的です。以前は、皮膚切除などの形成手術が行われてきましたが、跡を残してしまうことや、完全には治療が難しかったこともあり、最近はQスイッチレーザーによる治療が主流となり、患者さんの満足度も高くなっています。また太田母斑のレーザー治療には、健康保険が適用になります。

 

太田母斑のレーザー治療

Qスイッチレーザーは、メラニンの吸収率がとても高く、またレーザーの照射時間が大変短いため、ターゲットとなる色素(黒色、茶色)以外の正常な皮膚にダメージを及ぼすことなく、治療を行うことができます。レーザーの光エネルギーは特定の色素に反応し、吸収される性質があります。治療したいシミやあざにレーザーを照射すると、その光のエネルギーは熱エネルギーに変換され、ターゲットとなる色素細胞を熱で破壊し、除去します。一掃された色素細胞は、体内で不要物として排出されます。その後は、皮膚のターンオーバーにより、新しい皮膚に生まれ変わっていきます。

具体的なレーザー治療方法

Qスイッチレーザーを数回照射していきます。レーザーで治療を行うとやけどに近い症状がでます。炎症後色素沈着で一時的に色が濃くなることもありますが、色が濃くなっても通常、3~4ヶ月で薄くなります。炎症後色素沈着がある状態のときに、連続してレーザー照射を行うと、色が白く抜けてしまうことがあるため、レーザー治療は通常3~4ヶ月間隔をあける必要があります。適切な治療を通常5~6回受けることができれば、色素斑はほとんど目立たなくなり、太田母斑はほとんどわからなくなるとされています。

レーザー治療のメリット・デメリット

レーザー治療のメリットはメスを入れるなど、直接肌を傷つけることなく治療を行うことができ、また治療後にはほとんど目立たなくなりますが、通常レーザー治療は長時間照射することができないため、1回の治療で行える面積が限られてきます。そのため、治療期間については、個人差はありますが、比較的長期になることが多く、根気強く通院が必要となります。一過性の炎症は起こりますが、レーザー自体の副作用はなく、レーザー照射部に傷が残ることはありません。

レーザー照射は輪ゴムで弾かれたような痛みを伴います。通常、範囲が小さい場合は、麻酔の必要はありませんが、ある程度の大きさの面積の治療を行う場合は、麻酔テープやクリームなどの併用することもあります。こどもの場合は、全身麻酔をせざるを得ないこともあるようです。そのため3歳くらいからが適応となります。若ければ若いほど、レーザー治療に効果はありますが、乳幼児期に治療して、きれいに消失し改善しても、再度思春期頃に再発することがあります。またレーザーの光は目にダメージを与えてしまうために、眼のまわりに太田母斑がある場合、目を保護するための特別なコンタクトレンズを使用します。

 

太田母斑においての心理ストレス

太田母斑は女性が多く、外見をいちばん気にする思春期では精神的負担が大きくなることもあります。そのため、肌色をカバーできるファンデーションや、早めのレーザー治療などを行って、ストレスを軽減していくことが推奨されています。

レーザー治療においても、必ず効果がでるとはいえ、長期的な通院が必要となり、治療も痛みを伴います。またレーザー照射後は、赤く腫れたり、一時的に色素が濃くなったりと、日常生活の中で精神的な負担があります。また保険適応とはいえ、治療費も回数に伴い負担額が増えていきます。そのため、治療方針や生活スタイルなど、主治医としっかり相談した上で、治療を継続していくことが良いでしょう。

 

白目の部分の太田母斑の治療

太田母斑は眼の白目の部分にも色素沈着が行ってしまうことがあります。皮膚の治療に関しては、最近ではレーザー治療が主流となり、治療が可能となってきましたが、眼球部分に関しては現在も困難である場合が多くみられます。しかし、ごく一部のクリニックでは、眼球上の色素斑に対して、眼科・緑内障治療用の低エネルギーのレーザーを使用して治療を行っています。

一度で多くの色素斑が消えることはないため、数回に分けて治療を行う必要があること、また複数回照射する場合は、通常3ヶ月間感覚をあけて照射します。レーザー照射後に結膜下出血と照射後の炎症が2~4週間生じます。また炎症性色素沈着や、眼感染症、眼圧上昇、視力低下などの症状が起こることがあります。リウマチや緑内障、免疫異常、糖尿病の合併症がある方は治療を行うことができないのと、妊娠中・授乳中の方も適応外になることがあります。レーザー中に眼球を動かさないようにしないといけないため、乳幼児は適応外となります。そのほか重篤な眼疾患がないか、初回で一般的な眼検査を行います。

 

 

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