遠視の症状は疲れやすいだけ!?視力がよくても要注意!

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[投稿日] '16/08/29 [最終更新日] '18/03/18 1,233views
遠視の症状は疲れやすいだけ!?視力がよくても要注意!

遠視の概要

眼球は大変性能の高いカメラのような役割をしています。人は何かをみるとき、光を眼球の中に取り込み、その情報を脳に送ります。目に入ってきた光は、角膜を通り、レンズの役割を果たす水晶体を通って屈折され、眼球の奥にあるカメラのフィルムの役割を果たす網膜に到達します。ここで、その網膜で正しく焦点があうように、眼の中の筋肉(毛様体筋)を動かして、水晶体の屈折が強くなるように調整します。これを「調整力」と呼びます。この調整力は子供の頃に最大に持っており、それ以降は加齢とともに徐々に低下すると考えられています。

遠視とは、この「調整力」がピンボケしたカメラのように上手く働かずに、目に入ってきた光が網膜より後ろで焦点があうように調節されてしまいます。近視の場合は、網膜よりも前でピントがあっている状態のことを指します。いずれも、網膜上にピントがうまく合わない状態を「屈折異常」と呼びます。屈折異常には、遠視、近視の他、角膜の縦・横のカーブが異なるため焦点が合わずに二箇所でピントがあってしまう乱視もあります。人によっては、遠視だけではなく、乱視の症状も合わさった「遠視性乱視」の方もいます。

近視は遠くが見えにくく、近くが見えやすいと考えられ、遠視はその反対に遠くが見えて、近くが見えにくいと考える人もいますが、そうではなく、近くも遠くも焦点が合わずに見えにくい状態のことを指します。

正常な目では水晶体を休ませた状態で遠くをみたときに、網膜上にピントがあいます。そのため、筋肉や調整力を使わなくても、遠くがよく見えています。また近くを見るときは、水晶体の厚みを調整して、ピントを合わせてみています。

 

遠視の症状

遠視は、軽度であれば、視力に問題を生じないことがあります。また若いときは目にピントを調整する能力があり、この調整力により、遠視が存在していても視力に問題がないため、気がつきにくいことがあります。加齢とともに、調整力が衰え、見えにくさが生じてきます。そのため、遠視が軽度で若い頃であれば身体的な疲れやすさは感じにくいのです。

遠視がひどくなると、ピントを合わせるために必要以上に調整を行います。つまり、何気なく遠くを見ているつもりでも、目は調整力を使って働いているため疲れやすくなります。また近くを見る場合、さらに調整力を働かせる必要があります。そのため、目に多くの負担を与え、目が疲れやすくなり、頭痛や肩こりを伴う場合もあります。またそういった身体的な疲れやすさから、集中力が続かずに、勉強や作業が長続きしないことも症状として挙げられます。はっきり見るために、余分な調整が必要となってくるために、寄り目(内斜視)になります。また強度の遠視で、子供の場合では、矯正しないままだと視力の発達が止まってしまい、弱視になることもあるので、注意が必要です。

子供の遠視

遠視の子供は、自覚がなく、訴えることができないことも多くみられます。目が疲れやすく、肩が凝るなどの不調が続けば、慢性的に落ち着かずに、読書や勉強に集中ができないこともみられます。学校の視力検査では、遠くはよく見えるため、見落とされてしまい、発見が遅れることもあります。左右の視力に差があったとしても、軽度の遠視であれば調整されてしまうことがあります。そのため、片眼はぼんやりとしか見えていなくても、両眼でははっきりと遠くは見えてしまうために、一般的な視力検査では見過ごされてしまいます。この場合、9歳頃までに矯正をしないと、左右差のある弱視がみられてしまいます。また、左右の視力に差がみられるため、遠近感に問題を生じ、運動に支障がでます。

遠視 眼科

遠視の原因

軸性遠視

眼球が小さいために、角膜から網膜までの眼球の長さ(眼軸)が短くなり、網膜の後ろでピントがあってしまう状態を指します。いわゆる「遠視」とよばれるものは、これが原因のほとんどです。

屈折性遠視

角膜・水晶体に原因があり、光の屈折力が弱いために網膜の後方でピントがあうことを指します。

遠視の原因は、はっきりとした原因はまだ解明されておらず、ほとんどの場合が遺伝性と考えられています。また眼球の長さや、水晶体・角膜の屈折力が子供によって異なるために、屈折異常が起こる、とも考えられています。

また赤ちゃんのときは、ほとんどの人が遠視であり、ぼんやりとしか見えていません。成長不足であるために、成長とともに改善されることも多いです。遠視の頻度は、新生児100%、幼児60%、小学生50%、中学生20%、高校生15%と減少します。老人では、水晶体の加齢変化のために、近視や遠視が再びみられることがあります。

子供の場合は、3歳児検診で発見されることが増えてきましたが、軽度の場合は見逃されることも多いため、検診以降でも、生活上で疲れやすさや集中力低下などの症状がみられていないか注意が必要です。

 

遠視 眼科

遠視の治療法

遠視は病気ではないので、必ずしも治療をする必要はありません。基本はメガネをかけて、視力を矯正することです。運動をしている方は、メガネでは外れてしまうこともあり、コンタクトレンズで矯正することもあります。その上で子供の弱視の場合、よく見える方の目を隠して、視力の悪い方の目を積極的に使わせる訓練を行います。視力の発達を妨げて弱視にならないように、遠視をしっかり矯正させる必要があります。

また、内斜視の場合はプリズムという光を曲げるレンズを使って治療することもあります。

子供の場合、屈折力が強いので、検査の際に目が緊張してしまい、そのままでは正しい屈折度を測定することができません。一時的に調節を麻痺させる点眼薬をつけて、検査を行う必要があります。眼科で精密な屈折検査を受けたあと、処方箋をもらい、眼鏡店でメガネを作ります。

 

遠視の最新治療

レーシック手術

大人の遠視の場合は、レーシックによる治療が可能です。レーシックは近視手術が有名ですが、遠視手術でも同様に角膜を削り、光の屈折力を増加させて、ピントを網膜に合わせます。軽度の遠視の場合、若い頃はあまり症状の自覚がみられず、40代くらいになって、調整力が徐々に衰えてから、なんだか目が疲れやすくなった、見えにくくなった、というような遠視の症状がでてきます。このため、レーシックを受けると、そういった症状が軽減されます。レーシックの場合、術後は裸眼で生活できるため、水泳などスポーツをやっている人やコンタクトが合わない方は適しています。

手術前は、さまざまな検査と相談などを行います。ハードコンタクトレンズは最終検査の1ヶ月以上前に使用を中止されることが多く、ソフトコンタクトレンズの場合は3日前に装用を中止します。手術は、点眼を行うために2時間ほど前に来院し、手術自体は15分程度です。その日入院は必要なく、30分ほど休憩してから帰宅できます。洗顔・洗髪は翌々日から行えますが、次の日から首下からの入浴も可能となります。目の周りの化粧も、一週間後くらいが目安となります。通常の仕事は翌々日から行えますが、車の運転や目を酷使するような仕事の場合は一週間くらいが開始の目安となります。一般的に費用は20万円から40万円で、保険適用外となるため、10割負担となります。ただし、生命保険に加入している方は、保険給付が一部可能な場合もあります。

レーシックは18歳以上でないとできないため、子供では受けることができません。また、強度の遠視(遠視度数+6.0D)、角膜の薄い人や、角膜の形状不正の方は手術不適応になることもあり、誰でも受けることができるわけではありません。レーシック自体、近視回復術として、近年受ける人が増加したものの、どこの眼科医でも実施しているわけではありません。そのため、実施しているクリニックを探す必要があります。また、角膜を削ることによって、視力を回復させますが、角膜は元には戻らず、また後遺症などが出現する場合もあるので、リスクについては十分に医師と話をし、理解したうえでどうするのか判断すべきです。

フェイキックIOL(有水晶体眼内レンズ)

強度の遠視の場合は、フェイキックであれば実施できる可能性もあります。白内障治療で用いられるレンズと同じ素材でできた人工レンズを目の中に挿入し、近視や遠視、乱視を治療します。角膜が薄く、レーシックが不適応になった方でも実施が可能となります。角膜を切除することがないため、術後に視力に誤差が生じても、再度レンズを取り除くことで元に戻すことができます。またドライアイなどにもなりにくく、レンズ自体にUVカットの機能があるために紫外線なども予防できます。デメリットは、レンズを取り寄せるのに時間を要します。また術式によっては白内障を誘発する場合があります。緑内障や白内障、そのほか眼の疾患がある方は不適応になる場合があります。コンタクトレンズ・メガネ、レーシックに比べると費用が50万から100万円ほどかかることがあり、高額となります。自由診療のため、公的保険は適応になりません。生命保険等に入っている方は、保険会社に還付されるかどうか確認が必要です。確定申告で一部還付されることもあるので、お近くの税務署で確認するとよいでしょう。

オルソケラトロジー/オサート

オルソケラトロジーは、個々人の角膜の形状に合わせた特殊なコンタクトレンズを夜間、就寝中に装用することで、角膜の形状を矯正し、レンズを外した後も裸眼で生活ができる方法のことです。従来は近視治療のみ用いられてきましたが、三井メディカルクリニックでのみ「オサート」と呼ばれる方法を実施しており、遠視の矯正も可能です。角膜を削る等の手術の必要はなく、リスクも少ないと考えられます。使用を中止すれば、元に戻ります。また子供から高齢者でも使用できます。ただし、費用が高額であること、毎日夜間装用が必要なこと、眼科疾患、アレルギーの他、強度のドライアイがある方は使用が困難です。

 

 

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