慢性副鼻腔炎の治療に有効なマクロライド療法とは

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[投稿日] '16/07/28 [最終更新日] '18/07/31 1,113views
慢性副鼻腔炎の治療に有効なマクロライド療法とは

今回のコラムでは、慢性副鼻腔炎の治療としてベースとなるマクロライド療法や、それ以外の治療法についてご説明していきたいと思います。

 

慢性副鼻腔炎のマクロライド療法やその他の治療について

マクロライド療法

慢性副鼻腔炎治療のベースとなるのは少量のマクロライドと呼ばれる抗生物質を比較的長期間飲み続けるマクロライド療法という治療法です。マクロライドには細菌を殺す薬剤で、さまざまな種類があり、有効な細菌と、効果がない細菌があります。

マクロライド療法の効果は約2~4週間で現われ、大体60~80%の人に有効とされています。効果判定は基本的に鼻漏や後鼻漏など自覚症状の改善を目安にします。採血やレントゲンなどの検査は効果判定には使いません。マクロライド療法は特に鼻漏、後鼻漏、鼻のかみやすさなど鼻汁に関連した諸症状に対して効果が大きい特徴があります。

一方で、鼻粘膜のむくみなど鼻閉関連の症状にはあまり効果がないなど、20%~40%の人では効果が期待できません。3ヶ月間マクロライド療法を続けても効果がない場合は、速やかに他の治療法に変更する必要があります。またマクロライド療法以外の薬物療法として、痰や鼻水を出やすくする薬剤が用いられることもあります。

外科的処置(手術以外)

さらに、マクロライド療法以外の治療も存在します。

慢性副鼻腔炎の治療では、鼻や副鼻腔にたまった鼻汁や膿、さらには病的な分泌物を外科的な処置によって取り除くことがとても重要になります。鼻(汁)吸引、鼻洗浄、上顎洞穿刺洗浄などがあり、ふつうは耳鼻科の外来に通院して行ないます。

鼻(汁)吸引は文字通り貯留した鼻汁や膿を鼻から吸い出す処置です。吸引しやすくするために、薬で副鼻腔と鼻腔のつなぎ目の腫れを抑えます。鼻のとおりを良くしておくわけです。また鼻の穴に生理食塩水を注入し、その後に吸引する場合があります。

鼻腔を洗っているので、この処置は鼻洗浄と呼ばれています。一方で上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる副鼻腔に膿がたまっている場合には、上顎洞に刺した針から生理食塩水を直接注入して洗浄する場合もあります。上顎洞穿刺洗浄(じょうがくどうせんしせんじょう)と言い、抗生剤を注射することもあります。

手術療法

マクロライド療法などの薬物療法や、上記の外科的な処置を行なっても効果に乏しい場合には入院の上で手術を行ない、炎症を称している粘膜や鼻のポリープ(鼻茸)を切除します。最近では内視鏡を使用した手術(内視鏡下鼻内副鼻腔手術)が主流になっています。

 

マクロライド療法が効かない慢性副鼻腔炎

副鼻腔炎の種類のひとつに、好酸球(こうさんきゅう)性副鼻腔炎というものがあります。副鼻腔炎のなかでも厄介な種類ですので、覚えておいて損はないでしょう。

コラム「鼻水がたくさん出て治らないのは慢性副鼻腔炎かもしれません」の「慢性副鼻腔炎の原因」の項でもふれていますが、このタイプの副鼻腔炎は成人に多く、鼻茸が多くできることや鼻汁が非常に粘稠(“ニカワ様”と表現されます)であること、副鼻腔の中でも篩骨洞(しこつどう)に病変が多いことが特徴で、特徴的な症状や画像などの検査所見から診断は難しくないとされています。

ちなみに通常の副鼻腔炎は上顎洞にしばしば病変を認めます。好酸球性副鼻腔炎は未だにその原因や病態(しばしば合併する気管支喘息などの病気とどのように関係しているかなど)についてははっきりとは解明されていません。

好酸球性副鼻腔炎の治療

好酸球性副鼻腔炎に関するもっとも重要な点は、マクロライド療法の効果が期待できないことです。そのためステロイド(飲み薬や鼻に噴霧する点鼻薬として使用)や抗アレルギー薬(抗ロイコトリエン薬など)の薬物療法、さらには手術療法で治療します。近年では、わが国の慢性副鼻腔炎の手術例のうち3割近くがこの好酸球性副鼻腔炎であるとされています。

抗ロイコトリエン薬は気管支喘息などに対しても使用される薬剤であり、喘息合併例では内科と同時、あるいはまず内科での治療を耳鼻科よりも先に行なうケースもあります。

 

 

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