子宮体がんって子宮がんとどう違うの?

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[投稿日] '16/06/17 [最終更新日] '18/03/18 259views
子宮体がんって子宮がんとどう違うの?

子宮体がんとは

子宮体がんは子宮がんのうち、子宮体部にできたがんのことです。子宮体がんは月経のときに剥がれ落ちる子宮内膜にできるものが多いため、「子宮内膜がん」と呼ばれることもあります。

子宮の下部にある頸管にできる子宮頸がんは若い女性に多いことが特徴ですが、子宮体がんは40歳代の後半から増え始め、50歳代~60歳代の人に発症しやすいがんです。

厚生労働省の2014年の「人口動態調査」によると、子宮体がんによって2,200人ほどの方が亡くなっています。子宮体がんには検診方法が確立されていますので、生存率を高くするには子宮体がん検診を定期的に受けて早期に発見することが必要です。また、月経とは異なる出血があったときには、そのままにせず病院できちんと診てもらうことをお勧めします。

 

子宮体がんの発症の原因

子宮体がんは、女性ホルモンのエストロゲンの関与が指摘されているがんです。月経不順や排卵障害のある人、また、妊娠や出産の経験が少ない、あるいは閉経が遅い人などに多いといわれています。

エストロゲンは卵巣から分泌され、月経周期において子宮内膜の発育を促し、子宮を妊娠に適した状態にするには不可欠なホルモンです。しかし、エストロゲンが過剰になると「子宮内膜増殖症」という子宮内膜が異常に厚くなる病気になることがあり、子宮体がんはこの子宮内膜増殖症を経て発症すると考えられています。つまり、大きな流れとしては「子宮内膜の正常な細胞」→「子宮内膜増殖症」→「子宮体がん」というプロセスをたどるということです。

また、ホルモン補充療法のうち、エストロゲンだけを補充している人は子宮内膜増殖症を起こしやすく、子宮体がんの発症率が高くなるといわれています。さらに、肥満も子宮内膜増殖症を経て体がんを発症させるとという指摘があるので注意が必要です。

一方、閉経後の高齢者にみられる子宮体がんは子宮内膜増殖症の関与ではなく、がんに関連する遺伝子の異常ではないかといわれています。また、高齢者の場合、その他のリスクとしては高血圧や糖尿病などの生活習慣病も指摘されています。

 

子宮体がんの主な症状

子宮体がんは比較的、初期から症状が見られ、月経時以外の出血(いわゆる不正性器出血)がおよそ9割の人にあることが特徴です。しかし、はっきりとした出血ではなく、血液が混じった褐色のおりもの(帯下)、あるいは下着が少し汚れる程度の場合もあります。

ただし、不正性器出血は子宮体がんに限らず、子宮筋腫など他の病気でも起こる症状です。そのため、不正性器出血があったとしても子宮体がんとは限りませんが、いつもと違う症状がある場合には病院を受診してください。

 

子宮体がんの検査

細胞診と組織診

子宮内膜の細胞や組織の一部を採取し、がん細胞の有無を調べます。細胞診は子宮の入り口から細い検査用の器具を入れて子宮内膜の細胞を取って確認する検査です。

組織診とは細胞診を行った結果、がんの可能性が疑われたときに精密検査として行うもので、内膜組織を採取して顕微鏡で確認します。子宮体がんの細胞診や組織診は子宮の中に検査器具を入れるため、出産経験のない人など子宮の入り口が狭い場合には子宮口を少し拡げる処置を事前に行うこともあります。

画像診断

身体を輪切りにしたような断面画像が得られるCTスキャンやMRI(磁気共鳴画像装置)などを用いて、がん細胞が子宮だけでなく他の臓器やリンパ節に広がっていないか、転移の有無を調べます。

 

子宮体がんの治療

子宮体がんは、子宮頸がんに比べると抗がん剤による「化学療法」やがん細胞に放射線を当てる「放射線療法」の効果が低い傾向があるため、治療の中心となるの外科療法です。がんの摘出に伴いどの臓器を摘出するか、靱帯やリンパ節をどこまで取り除くかといった範囲などは、がんの性質や進行の程度、また、それぞれの病院の治療方針などによって違いがあります。

手術

がんの進行の程度やがんの広がりによって取り除く部位を決定しますが、初期の状態であれば基本的に「単純子宮全摘術」という子宮のみを摘出する手術も可能です。しかし、がんが子宮の周囲にある卵巣や膀胱などの臓器に、あるいは靱帯やリンパ節などにも広がっている場合はそれらも含めて広範囲に取り除く「広汎子宮全摘術」が必要になります。

・腹腔鏡下手術で広汎子宮全摘も可能に

従来、広汎子宮全摘術はお腹を切って行う開腹術が一般的でしたが、最近では腹腔鏡と呼ばれる内視鏡を使った手術が増えています。

腹腔鏡(ラパロ)下手術はお腹に数か所の小さな切開を入れて細い筒を挿入し、その中に腹腔鏡や電気メスなどを入れて切除などを行う手術です。手術の際は炭酸ガスでお腹の中を膨らませ手術する空間をつくり、腹腔鏡で切除する部分を拡大して見ながら行います。この場合、切除した子宮や卵巣は膣の方から除去します。

腹腔鏡下手術はすべての子宮体がんに行える訳ではありません。しかし、開腹術に比べて時間はかかりますが出血量が少なく、お腹の傷も小さいため術後の痛みも抑えられ、回復が早いといった点は大きなメリットです。

また、子宮がんのうち子宮頸がんは保険適用外ですが、子宮体がんの腹腔鏡下手術には保険が適用になります。

その他の治療

手術には、抗がん剤によってがんの縮小を目指す化学療法や放射線治療を必要に応じて組み合わせてるのが一般的です。もし、がん細胞が肝臓や肺などの子宮から離れた場所にも広がっている遠隔転移がみられる場合には化学療法を行います。

一方、遠隔転移がなく、一般の放射線療法では効果がないなどの場合には、放射線の一つである重粒子線を用いる「重粒子線治療」が行われることもあり、実施できる病院は徐々に増えてきました。

さらに、子宮を残す(温存する)場合にはホルモン療法を行うこともあります。

 

子宮がん検診を受ける際の注意点

子宮がん検診を受けたことがある人でも、子宮体がん検診を受けていないことがあるので注意してください。というのは、市町村や職場での集団検診で行っている子宮がん検診は子宮頸がんだけで、子宮体がん検診を含んでいないことが多いのです。

なお、人間ドックでも子宮頸がんのみのこともありますのでよく確認しましょう。子宮体がんの検診は、基本的に病院の婦人科で受ける、あるいは人間ドックでは子宮体がん検診も可能なところで受けることが必要です。

 

 

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