子宮内膜症は不妊につながる可能性が!

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[投稿日] '16/06/12 [最終更新日] '18/03/18 208views
子宮内膜症は不妊につながる可能性が!

子宮内膜症とは

子宮内膜症は子宮の内膜に似た細胞が子宮以外のところにできてしまい、重い月経痛などの痛みや不妊の原因にもつながる病気です。20歳代~30歳代で発症することが多く、月経のある女性のおよそ10%にみられるといわれています。

子宮内膜症がなぜ起こるのか、はっきりしたことはわかっていません。しかし、子宮内膜症は女性ホルモンのエストロゲンの分泌が関係するといわれ、閉経してエストロゲンの分泌が止まると症状が急激に改善することが特徴です。

また、発症に関連する要因としてストレスや出産経験が挙げられており、ストレスの多い女性は内膜症の人が多く、逆に出産経験の多い人には少ないといった報告もあります。

 

子宮内膜症の主な症状

子宮内膜症の主な症状は月経痛をはじめとする痛みで、月経以外のときの下腹部痛、排便時や性交時の痛み、また、頭痛や嘔吐、発熱なども現れます。さらに、内膜症の人のおよそ3割は不妊症という指摘もありますので、内膜症は妊娠を希望している人は注意が必要となる病気です。

ただし、内膜症になっても初期のうちはほとんど自覚症状がありません。それが病気の進行に伴って月経痛が重くなり、多くの場合、鎮痛薬が次第に効かなくなって薬の量が増えていきます。月経痛がひどくなると日常生活を送ることもつらくなり、極めてまれですが緊急でお腹を切る開腹手術が必要になるほどの激しい痛みが起こることもあります。

また、子宮内膜症のうち、卵巣にできる「チョコレート嚢胞(のうほう)」は卵巣がんの発症リスクが高くなるといわれるので注意が必要です。チョコレート嚢胞は卵巣に血液が溜まって膨らんだ状態で、古くなった血液がまるでチョコレートのような色になることから名付けられました。チョコレート嚢胞は卵巣全体を占めてしまうほど大きくなることもあり、さらに、卵巣が周囲の臓器などにくっついてしまい、ひどい癒着を起こすことも少なくありません。

 

子宮内膜症で痛みが起こるのは?

通常、子宮内膜は妊娠の準備のためにエストロゲンの働きにより、受精卵が着床しやすいように厚くて、柔らかいふかふかの状態に変化します。しかし、妊娠しないと子宮内膜の組織は剥がれ落ちて血液と一緒に排出され、これが月経です。

子宮内膜症になると、本来は子宮の中だけにあるはずの子宮内膜や内膜に似た細胞が卵巣などの子宮以外のところに付いて、そこで根付いてしまいます。そして、子宮以外の場所にできた内膜であっても、月経周期に伴うエストロゲンの影響で内膜は厚く、柔らかく変化し、その後、剥がれるといったことを繰り返します。

一方、内膜症ができやすい場所は卵巣のほかに、「ダグラス窩」と呼ばれる子宮と直腸の間にある狭いくぼみ、あるいは内臓やお腹の内側を覆っている「腹膜」などです。子宮であれば月経血として排出できますが、排出のできない場所で内膜の増殖と剥離を繰り返すので、剥がれた内膜や血液は卵巣やお腹のくぼみなどに溜まってしまいます。

そのため、炎症が起こりやすく、子宮と周囲にある直腸などの臓器がくっついてしまい、癒着がひどくなると組織が硬くなり、引きつるようなことも多くなるのです。その結果、月経痛だけでなく、排便や性交の時の痛み、さらに、月経でないのときにも下腹部痛などが起こりやすくなります。

 

子宮内膜症の検査

内診

膣から指を入れて子宮の大きさや向き、また、周囲の臓器などの状態を確認します。子宮内膜症の症状が進むと、内診の際に子宮を動かすようにすると痛みを伴うことがあります。

画像診断

超音波検査やCTスキャン(コンピュータ断層撮影)、また、MRI検査(磁気共鳴画像断層撮影)などを行い、子宮や卵巣などを中心に腹部の状態を確認します。

CTスキャンとMRIはいずれも360度の全方向から撮影できる検査です。しかし、「X線の立体型」ともいわれるCTスキャンは放射線を浴びることになります。一方、MRI検査は強い磁力と電波を使いますが放射線による被爆をせずに詳細な断層画像を撮影することができ、検査による痛みもないことがメリットです。

超音波検査は、プローブという検査器具をお腹の上から当てて調べる場合と膣の中に入れて調べる方法があります。

血液検査による腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、特定の腫瘍ができたときに血液中の濃度が高くなる物質のことです。卵巣がんになると血液中の「CA125」と呼ばれる物質の数値が上昇するので、卵巣がんの腫瘍マーカーとして血液を採取して調べます。

腹腔鏡検査

子宮内膜症の問題が起きている場所の特定や進行の程度を確認するために、腹腔鏡による検査を行うことが多いです。腹腔鏡検査はお腹の2~3か所に小さな切開を入れて、そこから腹腔鏡と呼ばれる細長い管のような内視鏡を挿入して卵巣やお腹の中を調べます。

検査の時に電気メスやレーザーを使い、切除したり、臓器などの癒着を剥がしたりします。

 

受診している人は1割程度

子宮内膜症は主な症状が月経痛のため、「私は月経がひどいのよね」といった認識に留まってしまい、病院で治療を受けるという行動になかなかつながりません。ある調査では、子宮内膜症の治療をしている人はおよそ1割といわれるほどの少なさです。

自覚症状としてはたとえ月経痛だけであっても、子宮内膜症は不妊につながる可能性があります。もし、徐々に月経痛がひどくなり、鎮痛薬の量も増えている場合は内膜症を疑い、一度、病院で診てもらいまでしょう。

 

 

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