子宮筋腫は良性腫瘍とはいえ、早期発見が重要

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[投稿日] '16/06/16 [最終更新日] '18/03/18 1,021views
子宮筋腫は良性腫瘍とはいえ、早期発見が重要

子宮筋腫とは

子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍で、婦人科ではよくみられる病気です。30歳以上に多く、40歳以上になると3~4人に1人といわれるほど多くなります。

子宮筋腫は1cmに満たない小さなものから数十cmもの大きさまでかなり幅がありますが、ゆっくり大きくなるために子宮筋腫の存在に気づかない人も多いです。重さでは1kgほどになることもあり、極めてまれに5kgを超えるような筋腫もあります。

また、子宮筋腫は女性ホルモンのエストロゲンの作用で大きくなるため、閉経してエストロゲンの分泌がなくなると縮小するのが一般的です。さらに、子宮筋腫は1つではなく複数できることも多いので、手術で子宮筋腫を取り除いても小さな子宮筋腫が残ってしまい再発することもあります。

症状としては子宮筋腫の種類にもよりますが小さいうちは目立った症状がありません。しかし、大きくなるにつれて月経時の出血が増えたり、月経痛がひどくなったりします。月経以外の症状としては、月経時以外に起こる出血(不正出血)や腰痛などです。また、子宮筋腫が大きくなると周囲の臓器を圧迫するので、膀胱が圧迫されてトイレが近くなることもあります。

子宮筋腫は良性腫瘍のため、そのまま放置しても生命に危険が及ぶものではありません。しかし、出血が多くなると立ちくらみや疲れやすさなどの貧血症状が強くなり、日常生活がつらくなることもあります。また、子宮筋腫によって妊娠しにくくなり、妊娠後には流産しやすいなど産科的な問題が起こるあるので、気になる症状があったら病院で診てもらうことをお勧めします。

 

子宮筋腫の種類

子宮筋腫はどこにできるか、どちらの方向に大きくなるかによって大きくは三つに分けることができ、子宮筋腫の種類によって現れる症状にも違いがあります。

筋層内(きんそうない)筋腫

子宮の筋肉の中(筋層)にできる筋腫です。子宮筋腫が小さいうちはほとんど症状がありませんが、大きくなると子宮の内膜が引き延ばされることで症状が現れるようになります。

主な症状は、月経痛や月経時の出血量の増加、不正出血などです。また、妊娠した時には流産や早産の可能性が少なくありません。

 

漿膜下(しょうまくか)筋腫

子宮の外側に大きくなる漿膜下筋腫は、下腹部のしこりとして気づくこともあります。しかし、多くの場合、子宮筋腫がかなり大きくなるまで月経痛などの月経に関連した症状が強まることはありません。

 

粘膜下(ねんまくか)筋腫

子宮の内側にできる筋腫を粘膜下筋腫といいます。比較的、筋腫が小さいうちから重い症状が現れ、月経のときの出血や痛みがひどくなることが多いです。

また、粘膜下筋腫の場合は受精卵が子宮内膜に着床しにくいため不妊になる人が多く、妊娠後も子宮が大きくなりにくい、子宮収縮が起こりやすいなどの影響で流産や早産が起こりやすくなります。

さらに、子宮の入り口付近にできた子宮筋腫が膣の方へ垂れ下がることがあり、筋腫分娩と呼ばれています。筋腫分娩になると不正出血や細菌が子宮筋腫を伝わって子宮内に侵入して感染が起こることもあります。

 

子宮筋腫の検査と診断

子宮筋腫が小さいうちは発見が難しいこともありますが、医師による腹部の触診や超音波(エコー)検査によって子宮筋腫の有無や大きさなどを判断します。

また、子宮筋腫の種類を判断する場合など詳細な情報が必要なときには、磁気共鳴画像診断装置と呼ばれるMRI検査で腹部の断面画像を撮影することが多いです。MRIは高額な医療機器のためMRI検査ができる病院は限られてしまいますが、ドーナツ型の機器で360度の方向から撮影できるため骨で隠れてしまうこともなく鮮明な画像を得ることができます。

なお、大きくなった子宮筋腫や急激に大きくなったものの中には悪性の子宮肉腫が含まれることもあるので、子宮筋腫と子宮肉腫との鑑別は重要です。しかし、画像診断を行っても鑑別が難しいことも少なくありません。子宮筋腫の手術を行い、取り除いた腫瘍を検査したところ、子宮肉腫だったということもあります。

子宮肉腫は子宮体がんと同様に子宮にできる悪性腫瘍の一つですが、子宮体がんに比べると発症率はかなり低いといわれています。しかし、子宮肉腫は40~70歳代の人に多い傾向があるため、閉経後に腫瘍が大きくなる場合には子宮筋腫ではない可能性もあるようです。

筋腫の診断は、多くは筋腫の大きさや形状、大きくなる速さ、また、患者さんの年齢などによって行いますが、より的確な診断とするには医師の専門的な知識や経験が重要ともいえます。

 

次のコラム「子宮筋腫の治療法:摘出するか薬物治療か」では子宮を残すか、治療を優先するかの選択と、その場合の治療法の詳細について説明しています。

 

 

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