食物アレルギーのお子さんの比率は年々増えており15%を超えています!

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[投稿日] '16/05/15 [最終更新日] '18/03/18 170views
食物アレルギーのお子さんの比率は年々増えており15%を超えています!

食物アレルギー

食物アレルギーは乳幼児に多く、患者さんのおよそ8割は6歳以下のお子さんです。特に、0~1歳児のお子さんに限ると、1割弱にみられるといわれています。

また、東京都が3歳児健診の際に5年ごとに行っているアレルギーの調査をみると、食物アレルギーは増加傾向にあるようです。食物アレルギーの診断を受けたお子さんは平成11年度には全体の7.1%でしたが10年後の平成21年度には14.4%となり、平成26年度には16.7%に増加しています。

成長に伴い食べられることも

食物アレルギーになると、その食品を一生、食べられないのでは?と考えがちですが、消化機能の発達などに伴い摂取が可能になるお子さんも多いです。たとえば、乳児のときに鶏卵や牛乳などのアレルギーがあるお子さんでも3歳くらいになるとほぼ半数の子が食べられ、6歳頃には8割以上の子が食べても問題がなくなるといった報告もあります。

しかし、幼児期や学童期になると、乳児期とは違うエビや果物などが原因となってアレルギー症状が出ることも少なくありません。また、食物アレルギーを発症した時期が遅く、小学校の入学直前や思春期になってから発症した場合などは治りにくいこともあるようです。

食物アレルギーの原因(アルゲン)となりやすいのは鶏卵や牛乳、小麦のほかに、エビやカニ、あるいはピーナッツや大豆、そばなどが指摘されています。さらに、特殊なタイプとして食物の摂取だけでは症状はないものの、食後、数時間以内に運動すると症状が起こる「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」もあるので注意が必要です。「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」を引き起こす食物としては小麦やエビなどが指摘されています。

アレルギーがあっても一つの検査だけで食物制限は決められない

アレルギーの場合、「IgE(アイジーイー)」という抗体の名前を聞くことでしょう。IgE抗体は「免疫グロブリン」というタンパク質の一種で、食物特異的IgE抗体の値が高いと特定の食物に対してアレルギー反応が起こりやすいという傾向がみられます。

そのため、血液検査でIgE抗体が高いと「食物アレルギーで食べられない」と考えがちです。しかし、食物制限をする必要があるかどうかの判断はIgE抗体だけでは難しいといわれています。というのは、IgE抗体値が極めて高いレベルでも症状の出ない子もいれば、かなり低値でも症状が出る子もいることが最近の研究でわかってきたからです。

また、皮膚テストというアルゲンを皮膚に少量、付けて反応を確認する検査も同様で、アレルギー症状が現れた場合でも「制限が必要」と簡単には決められないとされています。

食物制限の可否を判断する上で有用な検査といわれるのは、アレルゲンとなっている食物を専門の医師のもとに実際に摂取してアレルギー反応を確認する「食物(経口)負荷試験」です。しかし、食物負荷試験にしても「反応が出たから即、制限」とはいえず、さまざまな検査の結果とアレルギーに関する専門的な知識や経験によって判断する必要があります。

アレルギーの食事療法は「必要最小限」の制限へ

以前の治療では、鶏卵がアレルゲンであれば鶏肉も魚卵も制限する、また、大豆で反応が現れる人には大豆油など大豆関連の食品はすべて控えるなどの方法で幅広く制限していました。

しかし、近年ではアレルギーに関する医学の進歩で詳細な点まで把握できるようになり、「必要最小限の制限」が治療の基本になってきました。そのため、鶏卵がアレルギーの原因になる場合でも鶏肉や魚卵まで控える必要はないとするのが現在の考え方です。

食物アレルギーに対する経口免疫療法は今なお研究段階

食物アレルギーに関する研究が進む中、原因となる食物を少量ずつ食べ続けることによって摂取が可能になることが報告され、経口免疫療法が行われるようになりました。経口免疫療法はアレルギーの専門医の指示のもとに毎日、食べるようにし、摂取後の症状の有無や程度を確認し、徐々に目標まで摂取量を増やす治療法です。

経口免疫療法は基本的に自宅で行うため、家族は症状が誘発されたときの対応について事前に指導を受けておくことが必要になります。医師からは症状が現れたときの内服薬や吸入薬などが処方されますが、重篤な反応が生じる可能性もあるため緊急時の対応が大きな課題です。

「食物アレルギー診療ガイドライン2012」では、経口免疫療法について専門医による体制が整った医療施設において研究的に行われる治療と位置づけています。経口免疫療法を希望する場合には治療法とリスクを正しく理解し、医療体制の整った施設を選び、自宅近くにも緊急時の対応をしてもらえる病院を探しておくことなどが必要でしょう。

 

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