子供のやけど(熱傷)を多く診ている病院では死亡率が低い

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[投稿日] '16/03/13 [最終更新日] '18/03/18 602views
子供のやけど(熱傷)を多く診ている病院では死亡率が低い

子供は何にでも興味を持つので、気付かないうちに熱いものを触ったりしてやけどになってしまうことがあります。そして、子供の皮膚は大人よりも薄いのでやけどが重症化しやすいと言われています。

例えばテーブルに置いたお茶やスープ、炊飯器の湯気、アイロンやストーブ、お風呂など日常生活の中には子供のやけどの原因となるものがあふれています。今回は子供のやけどの死亡率に関する報告を紹介しながら、子供のやけどに対する対処法から名医のかかり方まで分かりやすくまとめます。

 

子供がやけどになった時の対処法

やけどは、医学用語では熱傷と呼ばれ、体温より高い熱が皮膚や気道の粘膜に伝わることによって起きる皮膚や粘膜の障害のことを指します。皮膚は表面から、表皮、真皮、皮下組織に分けられ、表皮までの障害を1度、真皮までを2度、皮下組織までのものを3度の熱傷と呼びます。水ぶくれができるものは2度の熱傷です。1度ではあとが残らないですが、2,3度の熱傷はあとが残る可能性があります。

 

やけどの時の対処法は、水道の水、流水で冷やすのが一番と言われています。冷やすとやけどが深く進行するのを抑えて、痛みも軽くなります。少なくとも20分以上、できれば2-3時間は冷やすと良いと言われています。病院に行くときも、待ち時間の間は冷やしながら待つようにします。それだけでも、やけどの深さを1度減らすことができると言われています。

 

子供のやけど(熱傷)の経験症例数の多い病院では、死亡率が40%も低い

火事などにならない限りは、一般的な家庭での子供のやけどは2度までと言われています。今回の報告はアメリカの熱傷センターのデータを集計したものなので、重症度のやけども含まれているため死亡例を認めています。各病院において子供の熱傷の経験症例数が違うと、結果にどのように影響するか見てみましょう。

 

今回の報告では、9年間でアメリカにある67の熱傷センターにやけどで入院した18歳未満の33,115人を対象にしています。26,280人が体全体の皮膚の10%以下のやけどを負い、32人が死亡しています。病院によって年間経験症例数は大きく違い、多い施設では年間400例以上で、少ない施設では25例未満でした。

 

小児の熱傷による死亡率には、年齢、やけどの程度、気道熱傷の有無、病院の経験症例数が関連することが分かりました。具体的には、15歳未満、やけどが体全体の皮膚の40%以上、気道熱傷(のどの粘膜のやけど)あり、という因子が小児のやけどによる死亡率を増加させていました。

 

そして興味深いことに、年間の経験症例数が100例増えると死亡率が40%低下することがわかりました。また、年間経験症例数が200例以上の病院で最も死亡率が低いことが明らかになりました。特にやけどの大きさが広い場合に、病院の年間経験症例数が多いと救命率が高い傾向がありました。

今回の研究により、子供の熱傷に対する治療経験や情報を多く持ち、専門性が高い名医がいる病院では、死亡率が低いことが示されました。

 

子供のやけど(熱傷)はどの診療科の名医にかかるべき?

子供の場合には、親が受診する科を選ばなくてはいけません。子供だからって何でも小児科でいいのかなと悩むことがあるかもしれませんが、症状・疾患別受診すべき医療機関-⑤こどもの症状・疾患(小児科)でも紹介しているように、発熱、発疹、腹痛、咳、けいれんなど小児科では基本的に子供のほとんどの症状に対応します。やけどの場合も同様で、明らかに重症でない限りは、まず小児科のかかりつけ医を受診した方が良いです。

 

やけどはまず小児科や皮膚科で診察を受け、もし重症と判断されたり、治ってもあとが残ったり、ひきつれてしまっている時にはかかりつけ医によって作成された紹介状を持ち、より高度な医療を提供できる大きな病院の小児科や形成外科へ紹介されます。

 

クリンタルで名医がいる病院として紹介している国立成育医療研究センター病院のホームページを検索すると、形成外科で扱う疾患に、熱傷、潰瘍,褥瘡などの皮膚軟部組織欠損、熱傷,外傷後の瘢痕拘縮が含まれていることが分かります。国立成育医療研究センター病院は、日本で最大規模の小児・周産期・母性医療を専門とする唯一の国立高度専門医療センターです。 「高度医療機関」の役割ー医療機関分類に記載してあるように、このような高度医療機関をいきなり自分で選択して受診すると時間やお金が無駄になってしまうことがあります。緊急時以外には、かかりつけ医から紹介状をもらって受診した方が本当に診てもらうべき名医に会える確率が高いでしょう。

 

参考論文:Burn center volume makes a difference for burned children.

 

 

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