膀胱全摘出術を年間45症例以上執刀する医師は、手術リスク管理が上手な名医!

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[投稿日] '17/08/04 [最終更新日] '18/03/18 1,481views
膀胱全摘出術を年間45症例以上執刀する医師は、手術リスク管理が上手な名医!

膀胱がんは喫煙が最大のリスク

膀胱は、尿を溜めたり排泄する機能を持った臓器であり、膀胱の粘膜から発生した悪性腫瘍を「膀胱がん」と呼びます。日本においては1万人に1人ぐらいの発生率であると報告されており、男性のほうが女性よりも多い傾向にあります。アジア人においては発症頻度は少なく、白人に多いことも知られています。

膀胱がんの発生を高めるリスク因子は一部の抗がん剤や寄生虫、職業に関連した化学物質(殺虫剤などに使用されるナフチルアミンなど)など様々ですが、一番の発症要因は喫煙と言われています。特に男性の膀胱がんのおよそ半数は、喫煙により引き起こされた膀胱がんであると考えられています。

膀胱がんの予防において一番効果的な方法は禁煙です。また職業的なリスクのある人は、定期的な検診を受けることも予防の観点からは重要と言えます。

 

膀胱がんの初期症状は血尿や排尿時の痛み

膀胱がんの初期症状で最も多いものは、血尿です。その他、排尿時痛や頻尿などの膀胱炎症状を生じることもあります。肉眼的にも分かる血尿は、自分自身でも異常として認識しやすく、膀胱がんの精査のためにも症状発症時に医療機関への受診をすることが重要です。

中には無症状で健診などでたまたま発見されることもあり、比較的早期の段階で膀胱がんが診断されることが多く、転移した状況で見つかることは非常に稀であると言われています。

 

筋層まで浸潤している膀胱がんは手術の対象

膀胱がんの診断は、尿検査やCTなどの画像診断にて行われます。それらの検査と並行する形で、膀胱内にがんがどの程度広がっているかを確認することも、治療方針決定の上では重要です。

膀胱の粘膜層でがんが留まっている場合は、尿道を介して膀胱内の腫瘍を部分的に摘出する手術が行われます。また、BCG(弱毒化した結核菌)を膀胱内に投与する治療が行われることもあります。

診断の結果、腫瘍が膀胱の粘膜層から筋層に浸潤している場合は、手術による膀胱摘出(膀胱全摘出術)が行われます。膀胱を全て摘出するため、尿を蓄積する機能を補う機能を失うことになりますが、膀胱機能を代替する目的で、腸を用いた形成手術(尿路変向術と呼びます)が同時に行われます。

膀胱がんに対する膀胱全摘出術と尿路変向術は、膀胱がんにおける標準的治療の一つです。しかし手術の難易度は非常に高いため、合併症が発症してしまうケースもあります。また尿路変更術による膀胱機能の代替で合併症をきたしてしまうと、日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。

手術を受ける前には、このようなリスクをしっかり管理できる医師を探すことが重要と言えます。では、リスク管理のしっかりできる医師は、どのような観点から探すと良いのでしょう。そこで今回は、膀胱全摘手術の名医に関する論文をご紹介致します。

 

膀胱がんは年間45症例以上執刀している医師へ依頼するのがベスト

論文では、2011年ヨーロッパ諸国(ドイツ、オーストリア、イタリア)にて膀胱がんに対して膀胱全摘出術を受けた679人の患者さんを対象としています。

合併症の評価は、死亡やその他生命に関わるような重篤なもの(例えば重症敗血症や脳梗塞など)、術後合併症からの再手術介入といった重大なものだけではなく、予定外の輸血や創部感染症など比較的軽微なものも含めて検討がされています。

分析の結果、年間45症例以上の手術実績のある病院においては、術後30日、60日、そして90日いずれにおいても合併症の発生率が低いことが判明しました。死亡率で見ると、年間45症例以上の病院では4.1%であり、年間21症例以下の病院における死亡率12.8%よりも統計的に優位な低下を認めました。

また、観察期間中における全体的な合併症の有無を見た際にも、この傾向は同じでした。すなわち、年間45症例以上の手術を手がける病院では、70%近くの症例において合併症を併発することはありませんでした。その一方、21件以下の病院においての合併症発生率は60%以上と有意に高いものでした(P<0.001)。

 

膀胱がんの治療を受けるときは、年間手術件数に注目して探してみましょう

本研究結果から、膀胱がんの合併症と病院における症例数は密接に関係していることが判明しました。死亡を始めとした重篤な合併症のみならず、軽微なものも含めた合併症の発生を抑えつつ、安全に治療を受けることができる名医を判定するには、膀胱全摘出術の件数に着目することが有効な手段の一つです。

膀胱がんは早期に発見されることも多く、有効な治療を受けることで充分高い長期予後を期待できる疾患です。手術後の生活の質を担保するという観点も大切であり、名医を選択することの重要性はとても高いです。

今回の結果を受けて、膀胱全摘出術件数に着目して病院を選択してはいかがでしょうか。

 

参考論文:Vetterlein MW et al. Clin Genitourin Cancer. 2017 Apr 26. pii: S1558-7673(17)30105-2. doi: 10.1016/j.clgc.2017.04.021.

 

 

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