紹介状とは…?紹介状に書かれていることやその必要性について、詳しくお伝えします!

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[投稿日] '17/10/30 [最終更新日] '18/03/18 10,446views
紹介状とは…?紹介状に書かれていることやその必要性について、詳しくお伝えします!

病院で「紹介状」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。風邪ぐらいしかひかないし、クリニックぐらいしか行ったことないな、という方はあまり聞きなれないかもしれません。逆に、大病院を受診したことがある人であれば「紹介状はお持ちですか」と、受付でほぼ必ず聞かれますので、耳にしたことがあるかもしません。

今回は「紹介状」に関するすべてを、4つのコラムに分けてお伝えできればと思います。よろしければぜひご覧ください。

 

紹介状はどんな場合に必要になるか、紹介状の役割

紹介状とは、正式には「診療情報提供書」と呼ばれ、医師が他の医師に患者さんを紹介する際に発行する書類のことをいいます。それではどのようなときに医師が他の医師に患者さんを紹介するのでしょうか。主な場合としては下記のような場合が考えられます。

  • 病気や症状がその先生の専門と異なるため、他の診療科の医師のほうが適切な場合
  • その病院にはない機器による検査や治療が必要な場合(手術設備なども含め)
  • 患者さんさん側が、引っ越しや長期出張・旅行などでかかりつけ医に通うことが難しくなる場合
  • 患者さんさんが他の医師に診てもらいたいと思い、転院を申し出る場合

これらのように、ある医療機関から別の医療機関へ受診先を変更する必要が生じたときには、医師は次の病院の医師に宛てて紹介状を書くこととなります。
紹介状があることで、病院が変わっても診療が途切れず、飲んでいる薬を何度も聞かれたり、同じ検査を何度もされたりということが減り、よりスムーズに医療を受けることができるようになります。

このように病院同士が紹介状を介してつながることを、病診連携、病病連携と呼びます。病診連携とは病院と診療所(クリニック)が、病病連携とは病院と病院が、それぞれの役割・機能を分担し、患者さんのために連携しながらより効率的・効果的な医療を提供することを指します。具体的には、風邪などの軽い症状は診療所(クリニック)にて治療し、がんなど診療所(クリニック)では治療が難しい疾患については地域の総合病院や大学病院などが治療を行うという仕組みです。

紹介状はこのような病診連携、病病連携の架け橋となる大切な役割があります。

 

紹介状の内容としてどんなことが書いてある?

紹介状には、その患者さんのことを全く知らない医師が診察する際に、患者さんの状態やこれまでに行ってきた治療を事前に把握できるために必要な情報が書かれています。具体的には以下のような項目が記載されています。

紹介状 とは

  1. 紹介先の病院の情報:紹介先の病院名、診療科名、特定の先生に紹介したい場合には先生名まで記載する場合もあります
  2. 患者さんの基本情報:氏名、年齢、住所、性別などの一般的な情報があります
  3. 紹介の目的:なぜ患者さんを紹介するのか、詳しい検査が必要だからなのか、入院加療が必要だからなのか、病院での手術後の自宅そばでの経過観察のためなのか、などが記載されます
  4. 既往歴:これまでどのような病気をしてきたか、手術などをうけたことはあるか、持病は何かというような情報が記載されます
  5. 現在の症状と治療経過:紹介の主な理由となる、現在の主な症状や病気に対して、これまでどのような検査を行い、どのような病気を疑っているか、またはどのような治療をした結果、改善したのかしていないのか、など、直近の経過が詳細に記載されます。ここが紹介状のメインとも言える部分です。
  6. 薬剤情報:現在どのような薬を内服しているか、を記載します。
  7. その他:薬へのアレルギー情報、喫煙、アルコール摂取の度合いなど、特に治療上注意すべき患者さんの特徴が記載されます。治療に際して、医師が気にかける情報が含まれますので、複雑な家庭環境などがある場合もそのような情報を記載する場合があります。

 

また、紹介状とはいえ、医師から医師への手紙ですので、やはり手紙としての始まりと終わりの句が存在します。例えば、よくある言い回しとしては、「ご多忙の折恐縮ですが、ご高診いただけますと幸甚に存じます」といったような表現を用います。メール文化に慣れている世代としては、これほど丁寧な言い回しは他では見たことがないほどに丁寧な記載がされています。

これらの情報がA4の紙 1,2枚程度におさまっています。病院によって、パソコンで書く場合と、手書きの場合とがありますが、印象としてはまだまだ手書きのほうが多いです。そのため患者さんを紹介しようとしても、紹介状はその場でぱぱっとかけるものではなく、多忙な医師としては就業時間後に時間をとってじっくり書くものであり、かなり労力を使う仕事ではあります。

さらに、場合によっては紹介状だけではなく、検査データも一緒になる場合がございます。血液検査や超音波検査のように結果が紙で出て来るものは、紹介状と一緒に同封されることが多いですが、X線やCT、MRIといった画像検査の場合には、それらのデータが保存されたCD-ROMやDVDが別で渡される、もしくは同封されることもあります。

これらをもとに紹介先の医師はどのような検査、治療をするのか判断するため、紹介状は非常に重要な書類です。そして同時に、紹介状が簡素で十分な情報が記載されていないと、紹介元の医師自身の評判に関わりますので、紹介元の医師にとっても重要な書類となります。

 

紹介状の依頼の仕方、紹介状をお願いするのは怖くない

紹介状をもらうシチュエーションとしては冒頭で述べたように、患者さんの病状から鑑みて、より大きな病院で詳しい検査をしたり、専門的な治療をしたりする必要があると”医師が判断した場合”と、引っ越しや長期の出張で転院が必要になったとき、現在の治療に納得がいかず転院したいとき、などの”患者さんから紹介状の発行を医師に依頼する場合”の2通りあります。

前者の場合は医師が積極的に紹介状を発行してくれるので特に問題はないかと思います。しかし、後者の場合は、患者さん都合で紹介状発行を依頼することとなるため、気が引ける方も多いかもしれません。

病院・診療所・助産所の開設・管理・整備の方法などを定めた「医療法」という法律には、「病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所を退院する患者さんが引き続き療養を必要とする場合には、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携を図り、当該患者さんが適切な環境の下で療養を継続することができるよう配慮しなければならない。」(第一章第一条の四第四項)と記されているように、医師は患者さんが適切な治療を受けられるように配慮し、協力する責務があります。もちろんそれにかかわらず、医師は患者さんに適切な治療を受けて頂きたいと考えているため、紹介状が必要となったときは遠慮せずに医師に頼んでみましょう。

ただ、その際に2点だけ気をつける必要があります。

  • まず1点目は、やはり合理的な理由があることです。他の病院にかかることが医学的に正しいかどうか、それが本当に適切な治療につながるか、といったところから紹介に反対される場合はあります。例えば、明らかに抜歯する以外に治療法がない患者さんが、「抜歯しないで治してくれる先生を探したいから紹介状を書いてくれ」というような場合には、なかなか「じゃあ紹介状をすぐ書きます」とは言いづらいと思います。そのため、ちゃんとこういう理由で他院に紹介してほしいと思っているということを説明し、医師と相談することが重要です。
  • 2点目としては、やはり医師も人間ですので、依頼の仕方は失礼にあたらないよう気をつける必要があります。例えば、「先生の性格が好きではないので、病院が汚いので、かかりつけ医を変えたいと思っています、紹介状をください」というような場合には、理由は正しいのですが、医師としては傷つき、場合によっては起こる人もいるでしょう。その患者さんのことを疎ましく思い、「そんなことを言う人はこちらからお断りなので、どこかに行ってください」と紹介状を書いてもらえない場合もあるかもしれません(とくにそういう場面をみたことはなくあくまでも想像です)。なので、そこは手がかかるのですが、仮に医師の性格が問題であったとしてもなるべく傷つけないように、「少し家から遠いので」「患者さんが一杯で待ち時間がながいので」といったような表現を試してみるのも手です。よりスムーズに書いてもらえると思います。

 

いかがでしょうか。意外と分かっていなかったところがあったかもと思われた方も、『今回のコラムを読んで紹介状についての理解が深まった!』と思っていただければ何よりです。次回のコラムでは、紹介状の宛名について、詳しくご説明をさせていただきます。よろしければご覧下さい。

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