症状・疾患別受診すべき医療機関‐⑮膀胱・腎臓の症状・疾患:泌尿器科

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[投稿日] '16/06/14 [最終更新日] '18/03/18 471views
症状・疾患別受診すべき医療機関‐⑮膀胱・腎臓の症状・疾患:泌尿器科

泌尿器科とは

今回は泌尿器科を受診すべき症状・疾患のお話しです。

泌尿器とはそもそもどのような臓器でしょうか?医学的に厳密な表現ではありませんが、ここでは“泌尿器”を、「尿を作って、貯めておき、必要に応じて(適した状況のときに)排出するための臓器」と理解しておきましょう。尿が通る経路という意味で“尿路“とよばれることもあります。

具体的には、「尿を作る臓器が腎臓」「尿を貯める臓器が膀胱」「腎臓と膀胱をつなぐ管が尿管」です。膀胱から体外への通路が尿道で、男性では陰茎の中を比較的長い距離を通りますが、女性の尿道は非常に短く、膀胱と体外が非常に近いことになります。

 

泌尿器科を受診すべき症状・疾患

次のような症状が現れた場合には、泌尿器科を受診することをお勧めします。もちろん、泌尿器の疾患による症状のようでも、実は他科を受診すべき疾患も多くあるので一概には言えませんが、ざっくりと「尿(おしっこ)が変」な場合は泌尿器を受診すれば大きな間違いはないでしょう。各症状と考えられる疾患の例を挙げておきます。

  • 尿が赤い→尿路結石
  • 排尿時に痛い→膀胱炎、尿路結石
  • 残尿感がある→前立腺肥大症
  • 尿を出しにくい→前立腺肥大症
  • 頻回にトイレに行きたくなる(頻尿)→前立腺肥大症、過活動膀胱
  • 陰部(性器)が痒い・痛い→性器感染症

上記では触れていませんが、泌尿器にできる“腫瘍、がん”も泌尿器科で治療を行うことが一般的です。ただし、泌尿器のがんは他の臓器のがんと同様に早期には無症状なことが多いため、ご自身でがんを疑って泌尿器科を受診するのはまれなケースでしょう。

また、上記で最後に挙げた陰部(性器)の症状に関する注意点ですが、男性の性器感染症は泌尿器科が得意としていますが、女性の性器感染症は産婦人科(なかでも婦人科)が得意としていますので、女性の方は婦人科を受診するようにしましょう(症状・疾患別受診すべき医療機関‐⑧女性の症状・疾患(産婦人科)のコラムを参考にしてください)。

 

泌尿器科の代表的疾患と受診すべき医療機関の種類

尿路結石

尿が腎臓で作られて体外へ排出されるまでの通路(尿路)に、“石“ができてしまう疾患です。尿に溶けている様々な成分が溶け出して固まってしまうことによります(尿酸が有名ですね)。石が尿路の壁を傷つけてしまうと血がでてしまうため、尿に血が混じって赤くなることがあります。

そのほかに、代表的な症状として”痛み“があります。尿路、特に狭い尿管に石がつまってしまうことで、一般的には急激で、かなり強い痛みを生じます。痛みの部位は、腰、背中であることが多いのですが、腹痛として自覚することもあります。一度でも尿路結石による痛みを経験したことのある方なら、その痛みが尿路結石によるものだとわかるかもしれませんが、初めての場合は、その痛みが尿路結石によるものかどうかは判断しにくいと思われます。実際に、似たような痛みを生じる疾患は他にも多くあります。

ですので、初めての痛みの場合は、内科を受診し(重度の場合は救急車)、尿路結石と診断がついてから泌尿器科を紹介してもらうパターンが安全です。尿路結石の治療には様々なものがありますが、大きく、①自然に石が体外に出るのを待つ方法、②積極的な結石除去、に分けられます。①は、石が小さい場合に選択肢となり、水分を多めにとって尿量を増やすなど、いわゆる保存的な治療を行います。これは、特に専用の設備や治療器具は必要ありませんので、クリニックで十分可能な治療です。

②は、自然に出てくるのは難しそうな大きな石で選択肢となります。衝撃波で石を砕く(ESWLとよばれる治療)、内視鏡で石を砕く・取り除く、などの方法があり、いずれも専用の治療装置と、施行するための専門的なトレーニングが必要ですので、一般病院以上の大病院で泌尿器科専門医の在籍する施設で行われることが一般的です。

前立腺肥大症

これは男性に特有の疾患です。前立腺は膀胱のすぐ下にある臓器です。尿が膀胱から尿道を通って体外へ排出されますが、途中で前立腺を貫くことになります。肥大とは簡単に言うと“大きくなる”ということで、前立腺が肥大してしまうと尿道が締め付けられて、尿を排出しにくくなります。その結果、尿を出しにくいだけでなく、残尿感や、頻尿といった症状が出現します。前立腺は加齢とともに肥大していき、前立腺肥大症による症状を有する男性も加齢とともに増加します。

治療は、大きく①薬による治療、②外科的治療、に分けられます。①は、尿道の締め付けを緩める薬や、肥大を抑える薬を使用します。特殊な設備は必要ないため、クリニックでも施行できますが、特有の副作用もあるため、泌尿器科専門の医師がいるクリニックをお勧めします。②は、肥大してしまった前立腺を外科的に削って尿道を広げる治療(TURPとよばれる治療)です。麻酔をかけて手術室で行うため、一般病院以上の大病院で行われることが一般的です。

過活動膀胱

これは男性・女性のいずれにも起こる疾患です。膀胱は、尿を貯めて、適した状況で排出する機能を果たす臓器です。この機能が様々な原因で障害され、尿をしっかりと貯められなくなる病気が過活動膀胱です。突然尿意を感じてしまったり(尿意切迫感といいます)、頻回にトイレに行きたくなったり、ひどいときにはトイレに間に合わなかったり(切迫性尿失禁といいます)してしまいます。治療は薬物療法が中心ですので、この疾患に詳しい医師(主に泌尿器科医)がいる施設であれば、クリニックでも治療可能です。がんのように命にかかわる疾患ではありませんが、生活上とても不便に感じてしまう疾患です。また“歳のせいだからしかたない”と思って、治療せずに放置されていることも多い疾患でもあります。最近は、この疾患の治療薬も良いものができているため、気になる症状がある方は、泌尿器科に相談してみることをおすすめします。

 

 

 

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