膀胱がんの治療法:切除する方法、切除しない方法

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[投稿日] '16/05/02 [最終更新日] '18/03/18 1,000views
膀胱がんの治療法:切除する方法、切除しない方法

膀胱癌の治療法

・経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)

癌の根が浅い場合は内視鏡的に癌を削り取る、経尿道的膀胱腫瘍切除(TUR-BT)という手術が行われます。TUR-BTは、主に下半身麻酔下で行われる手術で、尿道口から手術用内視鏡を膀胱内に挿入し、癌を内視鏡用電気メスで切除するものです。手術時間はだいたい30分~1時間程度です。術後は、削った組織の塊や出血によって尿の流れが妨げられないよう、尿を排出するためのカテーテルを2~3日留置します。膀胱がんは再発が多いので、再発予防の目的で、TUR-BTで癌を削った後に、そのまま手術室で膀胱内に抗癌剤を注入する場合もあります。

副作用としては、出血や、細菌感染による前立腺炎や腎盂腎炎、術中に尿道が損傷されることにより尿道が狭くなってしまう尿道狭窄などがあります。

・膀胱内注入療法

筋層まで浸潤していない、根の浅い膀胱癌の場合はTUR-BTでがんを完全に取り除くことができますが、上述したとおり、膀胱癌は再発しやすい癌です。TUR-BTで癌を切除した後、抗がん剤(化学療法薬)またはBCG(体の免疫系を活性化させる物質)を膀胱に注入することにより、再発率を減少させることができます。これを膀胱内注入療法と呼びます。

膀胱内注入療法は、だいたい週1回、6~8 週程度続けて行います。再発のリスクが高いと判断されれば、その後も3ヶ月毎に3週程度の注入療法を行うこともあります。

副作用として良く挙げられるのは膀胱刺激症状です。頻尿や排尿時痛などがみられ、酷いときには治療を中断しなければなりません。また、萎縮膀胱といって、膀胱が縮んでしまったまま元に戻らなくなることがあります。膀胱に溜められる尿の量が減り、極端な頻尿と下腹部痛が現れます。

・膀胱全摘除術(+尿路変向術)

根の深い膀胱癌や、癌が広範囲でTUR-BTでは切除し切れない場合、膀胱内注入療法を行っても再発を繰り返す場合などには、膀胱を摘出しなければなりません。全身麻酔下で下腹部を切り開いて行う大きな手術です。男性では、前立腺と精嚢も摘出、女性では、場合によりますが子宮と卵巣および腟の一部が摘出されます。

副作用として、男性では術後に勃起障害になることが多いですが、術式によってある程度防ぐこともできます。ただし、前立腺、精嚢を摘出しますから、射精はできなくなります。ほかにも、出血や腸閉塞、術後の最近感染による腎盂腎炎や創部感染などいろいろな術後合併症が起こる可能性があります。

膀胱を摘出すると、尿を排出する手段を確保しなければなりません。これを尿路変向といいます。

一般的な尿路変向は回腸導管という方法です。小腸の一部を切り取って一方を塞ぎ、膀胱のあった場所に置き、そこへ腎臓から伸びた尿管をつなぎ合わせます。塞がなかった一方をお腹から外へ出し、ストーマという排出口を造ってそこから尿を排出させます。この方法は合併症が少ないことが特徴です。尿はストーマから絶えず流出するので、体の外に袋をつけておく必要があります。

他の尿路変向では、自排尿型代用膀胱形成術という方法もあります。腸管で膀胱の代わりになる袋(代用膀胱)をつくり、その袋を尿管と尿道につなぎます。この術式の場合は、尿道を残すことになるため、尿道に癌が再発する危険性が高い場合は行えません。代用膀胱では腹圧をかけることで排尿することができ、通常とほぼ変わらないといえます。しかし、夜間は失禁が起こることもあります。

 

他にも尿路変向の方法はありますが、主にこの2つが行われています。どの方法にもメリット・デメリットがあり、病状によっても行える術式が変わりますので、手術の前に医師と十分に相談し、納得の上で手術に臨むようにしましょう。

 

・化学療法、放射線療法

他にも、病状によって、化学療法(抗癌剤)や放射線療法を併用することもあります。
次のコラム「膀胱がんを切除しない最新治療も研究されていますでは膀胱がんの最新治療について紹介しています。

 

 

 

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