入院の大部屋って何?室料ってどういう計算になるの?など、入院の時に感じやすい疑問にお答えします!

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[投稿日] '17/12/08 [最終更新日] '18/02/16 4,108views
入院の大部屋って何?室料ってどういう計算になるの?など、入院の時に感じやすい疑問にお答えします!

前回は入院の仕組みについてお伝えさせていただきました。引き続き本コラムでも、入院についてお伝えさせていただきます。入院する理由や入院日が決まる流れの次にご説明するのは、入院する部屋についてになります。よろしければ、ぜひご覧ください。

またもし前回のコラムをお読みいただくと、本コラムの理解がより深まると思いますので、ぜひこちらも併せてご覧下さい。

入院日がかなり先だけど何でだろう…と思われている方へ。医師がその理由をお教えします。

個室部屋、大部屋、入院の部屋の種類

入院する部屋にはいくつか種類があるのはご存知でしょうか。大きくは大部屋と個室に別れます。

大部屋は、病院によって2人部屋もあれば6人部屋もあります。大きな部屋にベッドがいくつかあり、それらのベッドをカーテンで仕切っているという状態です。個室は、もちろん1人の個室ですが、トイレがついてたりなかったり、良い個室だとソファーなどの応接セットがあったりもします。

大部屋と個室のどちらを選ぶか悩む方も多いのですが、それぞれのメリット・デメリットを説明していきます。

まず大部屋のメリットとしては下記のようなことがあります。

  • ほとんどの場合ベッド代は無料(有料だったとしても個室よりは安い)
  • 周りに人がいるので孤独感は和らぐ
  • 周りの方の病状にもよるが、入院している人同士で親しくなることも

一方で大部屋のデメリットとしては

  • カーテン越しに声が筒抜けのため、プライバシーがあまりない
  • 部屋での診察の際の話で病状が周りに伝わり、お見舞いの家族などから家族構成など含めてなんとなく伝わってしまう
  • 見舞いの人も周囲の人に気を遣って話しにくい
  • 中にはうるさい人がいたり、夜中でも他の患者のところに医師や看護師がきたりするので、眠りにくい場合もある

 

個室のメリット・デメリットもやはり裏返しになりますが、個室の主なメリットは

  • 比較的自分の部屋のように自由に過ごせる、
  • 見舞いの人も長居しやすい

一方でデメリットとしては

  • 1日あたり数千円から数万円と有料
  • 何もない時間がほとんどなので時間をもてあます
  • 孤独感・不安感が増す

などがあります。

これらをよく考えて部屋をどちらにするか選ぶのがよいでしょう。ただ部屋は希望だけで決まるわけではありません。次でその理由をご説明します。

 

入院する部屋の決まり方

入院する部屋の決まり方は、もちろん患者さんの希望も考慮されるのですが、ベッドの空き状況にもよります。なので、希望している部屋に100%必ず入れるということはありません。病院の都合とその時入院している患者さんの都合により、希望の部屋が用意できない場合があるのです。

患者さん側の都合としては、一般的には大部屋を希望される方が多いです。やはりベッド代が無料のため、個室に最初入った方でも、大部屋が空いたら大部屋に移動させて下さいという方が多いです。そのため、すでに大部屋を希望される方が多くいる場合には、大部屋を希望していたとしても入れずに直前に個室になってしまう場合があります。

病院側の都合としては、大部屋の患者さんを個室に移動させる場合が多いです。どういう場合かといいますと、下記のような場合です。

  • 全身状態が不良で頻繁な診察や検査が必要な場合:この場合には、頻繁に医師や看護師が出入りすることになったり、心電図などのモニターがついたりして電子音でうるさい場合があるので、同じ部屋の患者さんの苦痛にならないように、個室にうつってもらう場合があります。また、緊急時にもすぐに駆けつけられるようにナースステーションの一番近くの部屋に移動してもらう場合もあります。
  • お亡くなりになるのが間近な場合:大部屋でお亡くなりになると周りの患者さんにも少なからずショックを与えてしまうのと、見舞いの方がゆっくりとお見舞いができるように、最期の数日は個室に移って頂く場合があります。
  • 夜に大声を出すなどで、周囲の方から苦情が多い場合:大部屋ですと周囲の方とも距離が近いのでトラブルが発生することがあります。夜に物音をたててうるさい、ものがなくなった、などの苦情が発生する場合がありますが、原因が明らかな場合には、部屋を移動していただく場合があります。

ただ、もちろん病院都合で部屋を個室に移ってもらう場合には、個室の差額ベッド代は請求されないことが多いです。

流れとしては、まずは外来を受診して入院が決まった日に、部屋の希望を聞かれるので、大部屋がいい、個室がいいといった希望を外来で伝えます。しかし実際に入院する部屋が確定するのは、入院前日もしくは当日になってしまう場合もあります。希望していた部屋と変わってしまうような場合には、病院から電話がかかってきて、ご希望の大部屋ではなく個室になってしまいそうなのですが、それでもよろしいですか?という風に聞かれます。それでよければそのまま入院で、どうしても大部屋がいいと言う場合には、入院日を一旦延期し再調整になる場合もあります。

個室の中でもいくつか種類があり料金が部屋ごとに違う場合がありますので、個室は個室で希望が通ったとしても希望した料金の部屋にならない場合があります。

 

差額ベッドの料金は数百円から数十万円まで!

大部屋はほとんどの場合は無料で、個室の場合には差額ベッド代がかかってくる、という話をしました。ここでいう差額ベッド代とは正確には、「特別の療養環境の提供による料金」といいます。これは4人部屋以下の部屋で、6.4平方メートル以上のスペースがあり、収納設備などがある部屋というような条件を満たしていれば、病院側で自由に設定した料金をとっていいというものになります。

2015年の厚労省のデータ(「主な選定療養に係る報告状況」)では、全国の19.3%のベッドが差額ベッド代の必要なベッドとなっています。そのうち個室が12.7%と大半を占めますが、4人部屋のベッドも2.6%を占めていますので、有料の4人部屋も存在することになります。実際に、4人部屋でも廊下側は無料で、窓側は有料ということがあります。

気になる1日あたりの料金は最低が100円で、最高が378,000円です。全国の平均は6,129円のようです。注意点としては、これらは”1日あたりの料金”なので、ホテルなどの1泊の料金とは違います。1泊2日の場合には、滞在日数が2日となるので2日分の室料がかかります。東京大学医学部附属病院の特別室で最も高い部屋は1日19万円しますが、部屋内に受付や会議室が存在し、テレビも3台備わっているなど、およそ病室とは思えないぐらいの部屋になっています。入院中も休まず働かなければならないような、政治家や会社役員のような方が使うのかもしれません。

 

いかがでしょうか。室料は病院ごとに違い、その分部屋の設備なども大きく異なります。入院はある程度長い期間になることが多いため、それだけでもストレスが大きくかかってきます。自分に適した環境を整えて、療養していくためにも必要な豆知識だったのではないかと思います。参考になっていたら何よりです。

次回は「入院に必要な持ち物」や「入院中の1日のスケジュール」についてお伝えします。よろしければご覧下さい。

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