名医を早めに受診すると腹膜透析開始後の死亡率が低い

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[投稿日] '16/04/26 [最終更新日] '18/03/18 1,111views
名医を早めに受診すると腹膜透析開始後の死亡率が低い

自分の腎臓が機能しなくなった状態を末期腎不全と呼びます。末期腎不全になった場合には自分の腎臓の代わりになる治療法、いわゆる腎代替療法が必要になります。日本で行える腎代替療法には、血液透析、腹膜透析、腎移植があります。今回紹介する論文では、腎臓内科を専門とする医師に早めに診察を受けることが腹膜透析患者にとって良いことを明らかにしています。

 

腹膜透析について

日本で末期腎不全の患者が受けている腎代替療法の内訳は、95%以上が血液透析で、約3%が腹膜透析、残りの数%が腎移植となっています。アメリカでは約10%、香港では80%以上が腹膜透析を選択しているので、日本は世界に比べても低い割合になっています。

腹膜透析では、まずお腹に手術で専用のカテーテルを挿入します。カテーテルから透析液を注入し、自分の腹膜を透析膜として利用し、体の中の尿毒素や水分、カリウムなどを取り除きます。透析液の中にはブドウ糖が含まれているので、何時間か経過すると腹膜を介して透析液の方に、浸透圧の差を利用して毒素やカリウムが移動するしくみです。透析液の注入は約15-30分で終了し、その後は自由に過ごせます。治療内容によりますが、例えば6何時間経過した後にお腹に注入していた透析液を排出します。これを1日3-4回手動、または寝ている間だけ機械などで行います。

血液透析は週3回通院し平均4時間の治療を行いますが、腹膜透析は病状が安定していれば月に1回の通院でよく、自分のペースで治療を行えるところがメリットです。そのため就学時間を確保したい子供や頻回な通院が難しい働き盛りの方などが腹膜透析を希望することが多いです。

 

腎臓の専門医、名医に診てもらうのが遅れると死亡率は5.43倍に!

今までも専門医いわゆる名医を早く受診した方が、死亡率や合併症の発生が少ないといくつかの論文で報告されています。しかし、腹膜透析に関してはまだ情報がありませんでした。

今回の研究では、1つの病院で1年間の間に腹膜透析を開始した102名の患者を対象にしています。腹膜透析を開始する3か月以上前に専門医を受診した早期受診グループと3か月未満のグループに分けて、死亡率について解析しました。

全体の59.8%(61/102人)が、早期受診グループに分類されました。全体で25人が死亡し、そのうち12人は心血管疾患で死亡しました。末期腎不全の方の死亡原因として最も多いのが、心血管疾患ということがわかっています。心血管疾患とは狭心症、心筋梗塞、心不全などのことです。

専門医の受診が遅かったグループは、早期受診グループに比べて心血管で死亡するリスクが5.43倍も高いことが分かりました。

今回の研究の結果から、腹膜透析においても早めに専門医を受診した方が良いことが明らかになりました。

腹膜透析の名医がいる病院を探すには

クリンタルでも腹膜透析の名医がいる病院について紹介しています。血液透析に比べて、腹膜透析や腎移植は実施できる施設も限られています。また、腎臓内科医の中でもより多くの腹膜透析患者を診ている医師の方が、腹膜透析に関する経験が多い名医といえます。腹膜透析を最終的に選択しないとしても、一度相談に行くのもよいでしょう。

 

参考論文:Impact of early nephrology referral on mortality and hospitalization in peritoneal dialysis patients.

 

 

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