「一般病院」とは何か?一般病院の役割 医療機関分類②

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[投稿日] '15/08/29 [最終更新日] '18/03/18 6,469views
「一般病院」とは何か?一般病院の役割 医療機関分類②

一般病院とは何か?

一般病院とは、確固たる定義があるわけではないですが、大まかには「病床数が20床以上で、クリニックより診療科、設備、実施できる検査などが幅広く、比較的重症な患者に対して標準的な治療を提供する医療機関」と位置付けされます。クリニックでも高度医療機関でもない医療機関であり、イメージされる大きな病院のほとんどがこの分類に入ります。

一般病院は全国に計7,500施設ほどあります。

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こちらのグラフを見ていただくと、8割の一般病院(6,000施設ほど)は200床未満の小規模な病院であり、200床未満の病院数と200床以上の病院数に少しギャップがあることがわかります。これは以前の記事(「受診する」って難しい!:① “初診料”)でも述べたように、200床以上では初診料(選定療養費)がとれる、200床未満では再診料がとれる、など、制度上200床以上と200床未満でいくつか違いが存在するためでしょう。結果200床未満を選ぶ病院経営者が多いと想定され、非常に興味深いです。

 

一般病院の特徴

次に、一般病院の特徴をお話します。

クリニックと比べ、掲げている診療科と、実施できる検査・治療が多いのが一般病院です。一方、高度医療機関とは違い、一般病院では先進的な検査や治療は基本的に行いません。

 

①一般病院は平均10診療科程度を掲げている

一般病院は、クリニックと異なり、規模も大きいため掲げている診療科が多いです。つまり対応できる病気の幅が広いということです。もちろん単科(掲げている診療科が一つのみ)の一般病院もあるにはありますが、希少です。下記は診療科別の病院数のグラフ(各診療科を掲げている病院がいくつあるか)になります。

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この合計を一般病院7,500施設で割ると、1施設あたり平均9.8診療科を掲げていることになります。

ですので、例えば、脳梗塞を発症し「脳神経外科」に入院している患者さんの嚥下(食べ物を飲み込む)機能が低下した際は「耳鼻咽喉科」の医師が協力、肺炎を合併した際は「呼吸器内科」の医師が協力するなど、専門分野の垣根を越え、医師一人のクリニックではなかなか難しい包括的な医療を提供することができます。

 

一般病院は設備が整っており、実施できる検査・治療が多い

例えば、強い磁石と電波を使い体内の断面像を撮影する「MRI」という機械が、かかりつけ医のクリニックにある…ということはまずありません。安いもので1台7,000万円、最新の高性能なもので、15億円(!)という高額な機器だからです。このように、検査機器の購入・維持には膨大な費用がかかるため、一般病院以上の規模の大きい病院でなければ設置することができないのです。(例外として、画像撮影のみを行い一般診療を行わないクリニックはMRIやCTを持っていますが、数は非常に少ないです。)

同様に、高価な器具・設備が充実している病院の手術室では、実施することのできる術式が多いことも容易に想像できると思います。

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一般病院はあくまでも標準的な検査・治療がメイン

一般病院の役割としては、確立された標準的な検査や治療を幅広い患者さんに提供することになります。そのため、基本的にまだ確立されていない、先進的な検査や治療を実施することはしません。その部分は一般病院ではなく、高度医療機関の役割となります。

例えば、亡くなった方(ドナー)から提供された、心臓弁や血管を液体窒素で凍結保存しておき、患者さん(レシピエント)に移植する心臓や血管の外科治療は、東京大学医学部附属病院、国立循環器病研究センター、などの限られた高度医療機関でしか実施されていません。

一般病院としては、日本のどこでも広く一定の質の医療が受けられるようにすることが役割なのです。

 

 

一般病院の対象とする患者さんは

それでは、一般病院の対象とする患者さんはどのような方でしょうか。おおまかにいうと、一般病院の対象となる患者さんは、入院や手術が必要、もしくは必要になりそうな、比較的重症の患者さんになります。

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①急性期重症患者の治療

脳梗塞、心筋梗塞など、生命に関わる危険性の高い状態では、早急な治療が求められます。この様な場合、クリニックでは対応ができないので、必要な検査・治療機器などの設備が整った一般病院で治療を行います。また虫垂炎など手術が必要な場合も、必要なスタッフ・手術設備の整った一般病院で治療を行います。

②状態の不安定な慢性期患者のフォロー、副作用の強い薬剤の使用

糖尿病を合併したハイリスク妊娠、など、今すぐに生命に関わる危険性はありませんが、病状が不安定であり、入院が必要となる可能性が高い場合、クリニックではなく一般病院で定期的に診察や検査、治療を行います。また抗がん剤治療など、薬剤の副作用がでるために、入院が必要となることがある場合も一般病院で治療を行います。

 

一般病院では先生が毎回変わっちゃう?

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一般病院の外来では、前回は◯◯先生だったのに、今回は違う先生だ…ということがあります。これは、曜日や時間ごとに医師のスケジュールが組まれていたり、医師の退職・入職も頻繁にあるためです。またもちろん違う症状で違う診療科を受診すると、違う医師の診察になります。

クリニックのかかりつけ医の様に、「いつ受診しても同じ先生」「同じ先生が幅広い症状を診察してくれる」ということはありませんので、高血圧など慢性疾患で長期間受診する場合は、一般病院で治療方針を決定してから、クリニックを継続的に受診します。

また今後コラムでも少しずつ取り上げていきますが、軽症であれば、一般病院ではなくかかりつけ医を受診した方がよいという理由が、初診料以外にもいくつかあります。

適切な医療を受けるために、一般病院とかかりつけ医、そして高度医療機関の役割をしっかり理解し、上手に使い分けましょう。

 

 

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